〈明日を照らす〉 テーマ:励まし

 御書をひもとけば、日蓮大聖人が門下に認められた、励ましの言葉があふれています。
 池田先生は「励ましとは、その人を尊敬し、その人に学ぼうとする一念から出発すると、私は心に期してきた。人と人の絆が引き裂かれる『闘諍言訟』の悪世にあって、奇跡の如く、あらゆる差異を超えて、幸と平和の大連帯を広げゆくのが、創価の励ましである」とつづっています。
 今回の「明日を照らす」は、「励まし」をテーマに学んでいきましょう。

妙密上人御消息

 金はやけば弥色まさり剣はとげば弥利くなる・法華経の功徳はほむれば弥功徳まさる、二十八品は正き事はわずかなり讃むる言こそ多く候へと思食すべし(御書1241ページ)

たたえ合う喜びの世界

 【通解】金は、焼けばいよいよ色が良くなり、剣は、研げばいよいよ良く切れるようになる。(同じように)法華経の功徳をたたえるなら、ますます功徳が勝っていく。(法華経)28品は、法理の真髄を説くところは、わずかであるが、たたえる言葉こそ多くあることを、心得ていきなさい。
 ◇ 
 創価学会には、世界中、どの国の会合に参加したとしても、信心に励む同志が、お互いの奮闘を、たたえ合う姿があります。
 本抄は建治2年(1276年)閏3月、日蓮大聖人が55歳の時に身延で著され、妙密上人に送られたお手紙です。
 金は精錬するほど輝きを増し、剣は研ぐほど鋭くなるように、法華経の功徳も称賛すればするほど、功徳が勝っていくと仰せです。自身の体験や信仰の喜びを語っていくことは、法華経をたたえていくことに、ほかなりません。
 また、広宣流布に励む同志をたたえていくことも、妙法をたたえていくことに直結しています。ゆえに、功徳も輝いていくのです。
 今、社会には、どんなことにも否定的で、人をけなし、おとしめるような言動があふれています。それでは、自分も他人も、生きる力を弱められてしまうのではないでしょうか。
 それと対極にあるのが、大聖人直結の学会です。仏法を実践することで得た、信心の確信と歓喜があふれています。そして、人間革命を懸け、学会活動に励む同志を“わが事”のように応援し、喜び合う伝統が根付いています。
 創価学会は、この“励ましの連帯”を広げることで、功徳にあふれ、世界宗教に飛躍していったのです。

 

千日尼御前御返事

 御身は佐渡の国にをはせども心は此の国に来れり、仏に成る道も此くの如し、我等は穢土に候へども心は霊山に住べし、御面を見てはなにかせん心こそ大切に候へ(御書1316ページ)

感謝と真心を大切に

 【通解】あなたの身は佐渡の国にいらっしゃいますが、心はこの国に来ています。仏に成る道もこれと同様です。私たちは、けがれた国土におりますが、心は霊山浄土に住んでいるのです。お会いしたからといってどうなりましょう。心こそ大切です。
 ◇ 
 たとえ遠く離れた佐渡にいても、あなたの心は、間違いなく私のところにきていますよ――。
 本抄を与えられた千日尼は、“心はいつも、私と共にある”との大聖人の真心の励ましに、どれほど勇気づけられたか、計り知れません。
 千日尼と夫の阿仏房は、佐渡流罪中の大聖人に帰依し、お護りした、佐渡の門下の中心的存在でした。大聖人が赦免され、身延に入られた後も、高齢の阿仏房は何度も御供養を携え、海を渡り大聖人のもとを訪ねます。大聖人は、留守を守る千日尼を思いやり、温かな励ましのお手紙を送られています。
 「仏に成る道」も心が大切であると仰せです。大事なのは求道心です。師を求める心があれば、物理的な距離を超えて心を通わせることができるのです。
 だからこそ大聖人は「御面を見てはなにかせん」と、会えるかどうかよりも、師弟不二の信心の大切さを教えられているのです。
 池田先生はつづっています。「どんなに離れていても、心と心はつながる。たとえ会えなくとも、命と命は通い合う。一つになれる。これが、妙法の世界です。創価学会です」
 師弟の心と心が織りなす励ましの世界。どこまでも師匠と共に、そして、師の心をわが心として、目の前の「一人」に感謝と励ましを送っていきましょう。