【世界広布の源流 青年に語る創価の魂】第34回=完 「世界青年学会 開幕の年」㊦
· 〈出席者〉原田会長、西方青年部長、大串女性部主任部長、梁島男子部長、林池田華陽会委員長
1992年2月のインド訪問の折、一人一人に温かい励ましを送る池田先生。このインド訪問では、1000人を超える友と出会いを結んだ(ニューデリーで)
誓いは果たしてこそ誓い
◆西方 明2024年3月30日、池田先生が、青年部の室長に就任されてから70周年を刻みます。1月から3月は、「世界青年学会 開幕キャンペーン」として、青年世代の人材育成と対話拡大に総力を挙げていきます。創価の青年の“報恩の証し”を示し抜いていきます。
◆梁島 同キャンペーンの一環として、2月を中心に、全国各地で「世界青年座談会」が開催されます。
◇原田 男子部・学生部・池田華陽会・ヤング白ゆり世代、そして未来部の友が、広布の陣列に一人でも多く加われるよう、地域一体となって応援していきたい。世界青年学会の主役は、若き皆さん方です。
◆大串 3月24日には、若者・市民団体の協働によるイベント「未来アクションフェス」が国立競技場で開催されます。学会青年部も、「SGIユース」(国連NGOであるSGIの平和活動を推進する青年世代の総称)として参画します。
◆林 イベントを目指し、グローバルな問題に対する「青年意識調査」を実施しています(2月29日まで)。私たち若者世代が、「核兵器」や「気候危機」といった問題に正面から向き合いながら、友情の輪を広げていきます。
◇原田 学会は、仏法を基調とする平和・文化・教育運動を一貫して進めてきました。その根幹の精神性について、小説『新・人間革命』第17巻「本陣」の章に書きとどめられています。
同章の舞台は、50年前の1973年(昭和48年)。元日に行われた各部部長会で、当時の男子部長が、多角的な運動を展開するに当たって心すべきことを、山本伸一に質問します。
伸一は、「師弟の道を歩めということです」と答え、こう強調します。
「仏法を社会に大きく開いた運動を展開するというのは、これは円運動でいえば遠心力だ。その遠心力が強くなればなるほど、仏法への強い求心力が必要になる。この求心力の中心こそが、師弟不二の精神だ」
同年、青年部による「核兵器、戦争廃絶のための署名運動」が展開されます。青年部は、師弟の精神に立ち返り、共戦の平和運動を広げていきます。
74年(同49年)に入ると、青年部は年内を目標に、署名1千万を目指すことを決議します。
伸一は、署名運動に汗を流す青年たちを見て、「平和のために戦う青年部は私の誇りだ」(『新・人間革命』第20巻「信義の絆」の章)と語ります。
平和を願う草の根の対話は、すさまじい勢いで拡大し、同年9月、署名は千百万に達するのです。
志を同じくする友と手を取り合って
◆大串 75年(同50年)1月、訪米した池田先生は、青年たちの奮闘に応え、自ら国連本部を訪れ、国連事務総長に署名の一部を手渡されました。
◇原田 国連事務総長に対し、製本された3冊の署名簿を提出したことが、『新・人間革命』第20巻「信義の絆」の章につづられています。
このアメリカ訪問は、キッシンジャー国務長官との会談や、SGI発足の場となったグアムでの「第1回世界平和会議」への出席など、歴史的な平和旅でもありました。
国連事務総長との会見後、伸一は、日本協会(ジャパン・ソサエティー)主催の歓迎レセプションに出席。核兵器の問題にせよ、環境問題にせよ、帰着点は「人間」そのものにあると指摘し、“人間の心のルネサンス”を強調。人類が目指すべき新しい方向性を示します。
「『タテには人間存在の根源である生命的存在に立脚し、現実行動のうえでは、ヨコに、その生命的存在を共通とする地球人類という普遍の連帯をもつこと』こそ、現代に必要な視座である」
「タテ」とは、一つの側面から見れば、“求心力”と言えます。その力の根源こそ、仏法の生命哲学に立脚した視座です。その上で、「ヨコ」とは“遠心力”、すなわち地球的課題に対し、連帯を広げることです。
伸一は、レセプションでこう呼びかけます。
「これからも人類の頭上には幾たびも冬の季節が猛然と襲ってくるでありましょう。
人間連帯の平和の拠点を不屈の信念と勇気で築き上げていかねば、人類の輝かしい明日はありえません。志を同じくするすべての人びとと手を取り合い、平和へ、果敢なる挑戦をしていきたい」
核兵器使用の脅威や気候問題など、世界は今、数多くの危機に直面しています。だからこそ、仏法の人間主義の哲理を根幹としながら、平和の連帯を大きく広げていくべき重要な時です。青年部が先頭に立って、「世界青年学会 開幕キャンペーン」を展開していく意義は非常に大きい。
44カ国・地域のSGI青年リーダーが集い、真剣な語らいを広げた「世界青年サミット」(本年9月、創価文化センターで)
師弟の精神こそ新時代開く原動力
◆西方 青年部の室長に就いてから5カ月後の54年(同29年)8月、池田先生は、夏季地方指導のため、北海道を初訪問されました。その際、戸田先生と共に、恩師の故郷・厚田に足を延ばし、世界広布を誓願されます。
◇原田 小説『人間革命』第12巻「涼風」の章には、戸田先生が、厚田の浜辺で、山本伸一に対して、次のように語る場面があります。
「ぼくは、日本の広宣流布の盤石な礎をつくる。君は、世界の広宣流布の道を開くんだ。構想だけは、ぼくが、つくっておこう。君が、それをすべて実現していくんだよ」
恩師の言葉を胸に焼き付けた伸一は、翌朝、厚田の港に一人立つと、海に向かって叫びます。
「先生! 東洋広布は伸一がいたします。世界広布の金の橋を、必ず架けます!」
その誓いは現実のものとなり、妙法の大光は、世界192カ国・地域へと広がりました。
先生の不惜身命の大闘争によって、世界中に人間主義の“金の橋”が架かったのです。“金の橋”をいっそう輝かせていく深い使命を担うのが、青年部の皆さんです。
◆梁島 明年1月4日から、聖教電子版で『新・人間革命』第30巻〈下〉「誓願」の章の配信がスタートします。日々、師との“心の対話”を重ねていきます。
◇原田 仏法西還の地であるインドの同志は、同国の広布の淵源がつづられた『新・人間革命』第3巻「月氏」の章を胸に刻んできました。
61年(同36年)、初めてインドの地を訪れた伸一は、アジア広布への決意を燃やします。
「私はやる。断じてやる。私が道半ばに倒れるならば、わが分身たる青年に託す。出でよ! 幾万、幾十万の山本伸一よ」
その呼びかけに呼応するかのように、インドの青年部一人一人が、「アイ アム シンイチ・ヤマモト!(私は山本伸一だ!)」と口々に叫びながら、師弟直結の実践に励んでいるのです。
広布の目覚ましい発展を遂げ、約30万人の陣容となったインド創価学会は、“100万の陣列”という次なる峰に向かって、対話の大波を起こしています。
池田先生は、恩師への「誓願」を胸に、世界広布の大絵巻をつづられました。新時代を開く池田門下の飛躍の根幹も、師匠への「誓願」にほかなりません。
先生はかつて、「誓いは果たしてこそ誓い」と教えてくださいました。先生が世界広布を誓願されてから70年を刻む「世界青年学会 開幕の年」が、いよいよスタートします。清新な決意をみなぎらせながら、師への誓願を果たし抜く一年にしていこうではありませんか!
1961年2月4日、池田先生はインド・ブッダガヤで、「東洋広布」の文字を刻んだ石碑などを埋納した(現在はインドの創価菩提樹園に移設)
【参照】
◆小説『人間革命』=第12巻「涼風」
◆小説『新・人間革命』=第3巻「月氏」、第17巻「本陣」、第20巻「信義の絆」