〈池田先生の業績をたたえる欧州議会での行事から〉㊦ 差異を超え平和のために連帯を2024年2月29日

 欧州連合(EU)の欧州議会の施設内で行われた、池田先生の業績をたたえる行事「対話と人間革命による平和の推進――池田大作の生涯」(20日、ベルギーのブリュッセル)。登壇者の発言を要旨で紹介する。

●ローマクラブ サンドリン・ディクソン=デクレーブ共同会長

人間革命の潮流を今こそ!

 創価学会とローマクラブは長きにわたって歩みを共にしてきましたが、その歩みは、人類に必要な社会変革と人間革命との関係を理解しようとする試みの旅路でありました。
 
 ローマクラブは、創価学会、そして池田氏が、平和のために文化や社会の差異を超えた連帯を呼びかけてこられたことを深く理解しております。
 
 私が共同会長に就任した2018年のクラブ設立50周年記念行事に、池田氏がメッセージを寄せてくださったことも、よく覚えております。この年、氏はノーベル平和賞受賞者のアドルフォ・ペレス=エスキベル氏と共同声明を発表し、眼前の課題に一歩一歩立ち向かっていくよう、世界の青年に呼びかけました。差異を超え、青年が連帯して行動を起こすなら、解決できない課題などないと訴えたのです。
 
 まさに青年は、変革の主体者であり、人々の希望と夢を双肩に担い立つ、この時代の指導者であります。個人の人間革命、また若い世代に対する池田氏の呼びかけが、今ほど重みを増している時はありません。
 
 現在の社会が直面する複雑な諸問題に立ち向かい、尊厳と繁栄と他者への尊敬が息づく社会を、未来を、この地球上に築く――そのための人間革命の潮流が花開く時への思いを強くします。

欧州議会の施設内で行われた、池田先生の業績をたたえる行事「対話と人間革命による平和の推進――池田大作の生涯」

欧州議会の施設内で行われた、池田先生の業績をたたえる行事「対話と人間革命による平和の推進――池田大作の生涯」

 ローマクラブ創設者のアウレリオ・ペッチェイ氏と池田氏は、人間革命の必要性と困難さを理解し、「エゴ」から「エコ」、「私」から「私たち」へ、人類がより大きな意識に向かっていかねばならないと考えたヒューマニストでありました。
 
 40年前に発刊された対談集『21世紀への警鐘』(邦題)の中で両者は、当時の世界の深刻な状況について語り合っています。その中で池田氏は、こう述べています。
 
 「科学技術によって巨大な力を手に入れたものの、人類は、それを人類全体の幸福と人間としての尊厳性のために使おうとせず、自己の欲望だけを満たそうとする利己的な目的や、他に対する優越を確かなものにしたいとする競争心で、これを利用しようとしているのではないでしょうか。こうした人間の心の動きを(中略)仏教は貪欲・瞋恚・愚癡と指摘し、これらを“三毒”と名づけています」
 
 人類はいまだ貪欲・瞋恚・愚癡の中にあることを忘れてはなりません。今日の困難な挑戦に対峙するには人間革命が必要であり、仏教的ヒューマニズムに基づいたリーダーシップが必要です。我々の生存を脅かす昨今の危機を脱し、物質主義への依存から抜け出し、技術革新が全てを解決するという幻想から目覚めるためには、責任ある個人としての自覚が不可欠なのです。
 
 私たちは今、分岐点に立っています。人権を否定し、自然や地球の存続を脅かす政治的な動きの拡大を目にしています。その一方で、民主主義や自由、平和が失われゆくことに抗する仏教的ヒューマニズムの萌芽が、社会の中で確かに見られます。
 
 だからこそ人間革命の流れを強めていかねばなりません。その責任は他の誰でもなく、私たち一人一人にあるのです。
 
 人間革命を他者に呼びかけ、力づけることを継続していく。これこそが池田氏の精神を受け継いでいくことであり、氏に敬意を表することになるのです。人間革命を訴え続けることによって、私たちは現在と未来の平和と繁栄、そして健全な地球を保っていくことができるのです。

●ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン) メリッサ・パーク事務局長

核兵器廃絶へSGIと共に

 卓越した先見性を持ち、思いやりにあふれた指導者である池田第3代会長の人生をたたえる重要なイベントにお招きいただき、誠にありがとうございます。私自身、平和を願う一人として、池田会長の平和構築者としての優れた活動に大変、感謝しています。
 
 核兵器のない世界のために、会長が果たした多くの業績を改めて皆さまと確認し合いたいと思います。
 
 池田会長は、2009年に発表した核廃絶提言の中で、“核時代に終止符を打つために私たちが真に克服すべきなのは、核兵器を容認する思想である”と訴えました。この指摘は、会長の核兵器問題に対する考え方の本質を表しています。人々の考え方を変えることによってのみ、私たちは核兵器の時代を過去のものにすることができるのです。
 
 池田会長が核廃絶を訴える淵源となったのは、師である戸田城聖第2代会長が1957年に発表した「原水爆禁止宣言」です。戸田会長は核兵器を人類の生存の権利を脅かす“絶対悪”と断じました。二人の指導者は、仏教の基本的な思想に基づき、核兵器の廃絶に向けて行動を起こしました。
 
 残念ながら、私は池田会長にお会いしたことがありません。しかし先日、日本を訪れた際、東京の創価学会総本部を訪問しました(1月23日)。その折に拝見した、池田会長が撮られた写真に感激しました。会長の自然を愛する心を感じたのです。会長は、人間が自然を切り離して生きることができないと、よく理解していたのでしょう。人間が自然を傷つけるとき、私たちは自分自身を傷つけているのです。
 
 その美しい自然を含め、地球上のあらゆる生き物に壊滅的な影響を与えるのが、最悪の大量破壊兵器である核兵器です。

欧州議会の施設内で行われた、池田先生の業績をたたえる行事

欧州議会の施設内で行われた、池田先生の業績をたたえる行事

 そのような核兵器の廃絶に向け、SGI(創価学会インタナショナル)とICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)は共に歩んできました。SGIは、我々の初期からのパートナー団体の一つです。SGIは若者のエンパワーメントと教育の分野に、特に力を注いでこられました。
 
 核兵器と環境の問題に対する意識を高めるため、3月24日に東京で若者・市民団体の協働による平和イベント「未来アクションフェス」が開催され、SGIユースも参画すると伺っています。
 
 2012年には、SGIとICANが共同で「核兵器なき世界への連帯」展と題した展示を制作し、世界の21カ国90都市以上で開催されています。展示は、私たちが生活の中で大切にしている全てが、大量の核兵器の存在によって毎日脅かされていることを思い起こさせるものです。
 
 池田会長は1983年以降、核廃絶などをテーマに、「SGIの日」を記念する平和提言を国連に毎年提出し、その数は40にのぼります。
 
 2007年に始まった私たちのキャンペーンよりも、ずっと前から会長は核兵器の廃絶に向け、声を上げ続けているのです。
 
 2022年に発表された提言では市民社会の活動を通じて、核兵器禁止条約の理念を普遍化するよう求めました。
 
 会長が2021年の提言で書かれたように、核兵器の脅威が続く限り、地球上の全ての人が物理的・心理的安全を完全に享受することは不可能です。
 
 楽観主義の行動を通して悲観的な展望を乗り越え、核兵器の廃絶に向けて前進しましょう。そして私たちが、この美しい宇宙の中で生きている喜びを共に分かち合いましょう!