サウダソン・ア・センセイようこそ、先生! 世界の王者 ブラジルのせき〉2024年2月28日

  • 広布の大道をあゆむ人にさちはなぞの

 ブラジルの友は、一日千秋の思いで池田先生の3度目のほうもんを待ち続けていた。18年の時をて、その願いがようやくかなった。1984年2月19日、先生はサンパウロの大地をんだ。飛行機のタラップをりると、「来たよ! 18年間の空白を全部めるから」とせんげんした。この日、サンパウロ市内では、1週間後にせまったブラジル大文化祭の練習が行われていた。その報告を受けると、先生はメッセージをせ、げきれいの品々をたくした。訪問初日から激励にぐ激励。このすんしんでの師のはげましが、現在のブラジル広布しんてんいしずえとなっている。当時の先生の激励こうを、ブラジルSGI元理事長のエドアルド・タグチさんに聞いた。

“必ず強くなる”

 ――本年は、1984年2月、池田先生の第3次ブラジルほうもんから、40周年をきざみます。
  
 あの時の感動は、40年がたった今もわすれることができません。
 74年3月、先生はブラジルを訪問する予定でした。当時、ブラジルは軍事せいけんで、国内には学会に対するかいうずいていました。一部のにっけいじんけんでんしたデマによって、ビザが発給されず、先生は入国できませんでした。その時のメンバーのたんとうていひつぜつくせません。
 この時、先生はブラジルの中心者をはげましてくださいました。
 「今こそ立ち上がり、これをだいはってんだいやくの因にして、大前進を開始していくことだ」
 「長い目で見れば、苦労したところ、しんぎんしたところは、必ず強くなる。それが仏法の原理だよ」
 私たちはくやしさをむねに、“ブラジル社会からしんらいされ、しょうさんされる時代を必ずつくろう!”とちかい合いました。
 同年9月、サンパウロ市のしゅさいで、「ブラジル独立記念日」をけいしゅくするスポーツ文化祭が行われます。市のようせいを受け、同文化祭に8000人が出演。なかでも、人文字はぜっさんされ、国内のテレビでも放送されたのです。
 よく75年4月には、首都ブラジリアせん15周年をいわう記念行事のいっかんとして、ブラジリアれんぽうから文化祭かいさいの要請がありました。
 サンパウロ、リオを中心に、出演者・参加者は、137台のバスに分乗して、1000キロはなれたブラジリアへ20時間かけて移動。文化祭を開催し、見事、大成功をおさめました。新聞には「わが国がほこる文化団体」と大きく報道されました。
 こうした文化活動に加えて、先生のちょさくぶつなどを手に、地道に対話を続け、学会理解の輪を広げていきました。
 83年7月、私たちは先生がたいざいする鹿児島・きりしまの九州研修道場(当時)にけつけました。こんだんかいの席で、青年部の中心者であったジュリオ・コウサカさんが「先生、ブラジルに来てください」とうったえました。それは、ブラジル全メンバーのなおな思いでした。
 先生は「近いしょうらい、必ず行かせていただきます」と言われました。その約束をたされたのが、翌84年2月のほうはくだったのです。

日本から遠く離れたブラジルから駆け付けた友を、池田先生が激励した(1983年7月、九州研修道場〈当時〉で)

日本から遠く離れたブラジルから駆け付けた友を、池田先生が激励した(1983年7月、九州研修道場〈当時〉で)

「ピケ! ピケ!」――待ち望んだ池田先生との出会いに、会場は歓喜にあふれた(1984年2月、ブラジル・サンパウロで)。歴史的な大文化祭の公開リハーサルに、足を運んだ先生。この時のことを、「2万人の王者の勝ちどきは、今も私の耳の奥から離れることはありません」と述懐している

「ピケ! ピケ!」――待ち望んだ池田先生との出会いに、会場は歓喜にあふれた(1984年2月、ブラジル・サンパウロで)。歴史的な大文化祭の公開リハーサルに、足を運んだ先生。この時のことを、「2万人の王者の勝ちどきは、今も私の耳の奥から離れることはありません」と述懐している

かんの声がひび

 ――84年2月19日、18年間待ちに待った、先生のブラジル訪問が実現します。先生は空港でむかえた友に、「さあ、いっしょに、師子のごとく進もう」とびかけられます。
  
 先生は18年分の空白をめるかのように、同志のげきれいちからそそがれます。
 ブラジルにとうちゃくした後、次々と和歌をしたためます。私と妻にも、「夫婦して ついにきずけり 新天地 ブラジル広布に 歴史とどめむ」とおくってくださいました。
 先生はブラジルにたいざいちゅうすんしんで激励を続けられました。行く先々で、メンバーと記念さつえいをされました。いずれの地でも、先生をブラジルにむかえることができた同志の喜びがあふれていました。
 一方で、フィゲイレド大統領をはじめ、外相、教育・文化相、にっぱく文化協会会長など、ブラジル国内の要人とあいぎ会談していきます。さらに、ブラジリア大学への図書ぞうていなど、日伯友好のはしいくにも築いてくださいました。
 26日、サンパウロのイビラプエラ体育館で、ブラジル大文化祭が開かれることになっていました。
 その前日の25日、リハーサルがかいさいされることを聞かれた先生は、急きょ、会場へ向かわれます。
 午後6時、先生は体育館にとうちゃくすると、手をりながら、場内をゆっくりと1周されました。
 思いもよらない師との出会いに、“先生! 先生!”“ピケ! ピケ!”との声が会場中にき上がり、だいかんだいかんげきだいかんるいでした。
 期せずして、ブラジルSGIの愛唱歌「サウダソン・ア・センセイ(ようこそ、先生)」の大合唱が始まります。合唱が終わると先生は、メンバーを最大にたたえてくださいました。
 「これまでに、どれほどの労苦と、たくましき前進と、美しい心と心のれんけいがあったことか。私は、お一人お一人をほうようし、あくしゅする思いで、感謝をめ、なみだをもって、みなさんをしょうさんしたいのであります」
 26日の文化祭は、サンパウロ、リオを中心に、3000キロはなれたアマゾン等、全国各地より約2万人が参加。大成功でしゅうりょうしました。よく27日、先生はブラジルSGIの記念幹部会でこう強調しました。
 「信心と広宣流布の大道を歩みゆく人は、常に生命のじゅうじつかんがある。この充実感の人こそ、その生命の内面の世界はさちはなぞのとなっている」
 「確信のある信心には、常に夢がある。せいがある。希望がある。無限のちからが出る。生命力がわいてくる。ゆえに、人生と社会にあって、行きまりは、絶対にない」
 この84年のほうはくを機に、宿命てんかん・人間革命のドラマが、各地に生まれます。
 先生のげきとうによって、ブラジル広布は加速度を増してしんてんしていったのです。

ブラジルの首都ブラジリアで、青年たちと握手を交わす池田先生(1984年2月)。「皆さんの元気なお姿を見て、本当にうれしい」と

ブラジルの首都ブラジリアで、青年たちと握手を交わす池田先生(1984年2月)。「皆さんの元気なお姿を見て、本当にうれしい」と

青年こそ原動力

 ――ブラジルの永遠のしんとなっているのが、2001年に先生がまれた長編詩「世界の王者たれ! ブラジル」です。
  
 これまで、メンバーと何度も、長編詩にめられた先生の“心”についてさくかさねてきました。
 その中でかくにんし合ったことは、「世界」とは、めれば、私たち一人一人のことであり、私たちが自身の人間革命をし、広布の「王者」としてかつやくすることを、先生は指標とされている、ということです。
 先生は長編詩の中で、「さあ/二〇一〇年の/ブラジル広布五十周年へ/共々に/比類なき団結で/ほがらかに勝ち進もう!」とびかけられました。
 先生が示された2010年へ向け、ブラジルSGIは、「7わりじょうの世帯が座談会に参加する」など、4こうもくを達成するブロックを「王者ブロック」とし、それぞれのブロックが「王者ブロック」を目指して、ちょうせんを開始しました。
 リーダーそっせんほうもんげきれいに取り組みました。私も“年間200けんの家庭訪問”を目標に、全土をけ回りました。また、一人一人が小説『新・人間革命』のどくりょうにも挑戦しました。
 2010年の「11・18」を前に、6000ブロック全てが目標をかんすいし「王者ブロック」を達成しました。そのすいしんりょくとなったのは、青年部でした。目標を達成していないブロックを、青年部が自発的におうえんしたのです。
 かえれば、ブラジルはってんの原動力は、いつも青年でした。座談会では、かく・運営を青年部がになっています。かつて先生は、ブラジルにせる思いを、こうつづられました。
 「私は熱いかんるいをもって、『ブラジルは勝った! ビバ、ブラジル!』とさけびたい。ブラジルと日本は、地理的なきょは遠い。だが、同志と私の心は最も近い」
 ブラジルでは今、今年5月の「ブラジル創価ユース記念総会」に向け、同志とスクラムを組み、きょうちゅうしょうと対話しながら、前進しています。10万の青年と共に、しょうがい、師弟不二の道を歩き続けてまいります。