【第43回】「御義口伝」要文編⑧ 見宝塔品第11・提婆達多品第12 清水舞池田華陽会書記長 

 

世界を照らす太陽の仏法 「大白蓮華」2023年6月号から

学会の宝である女性たちの健康・勝利を念願し、私は語ったことがあります。

「自分以上の宝はないのだ。自分を離れて幸福はない。本来、自分ほど素晴らしいものはないのである。

これが仏法である。自分という最高の宝を輝かせるのだ。これが真実の哲学である」と。

 

御本尊に向かって題目を唱えることは、私たち一人一人が虚空会の儀式に列なる甚深の意義があるのです。

日々の勤行・唱題のたびに、高貴にして絢爛たる虚空会の儀式に列座し、荘厳なる宝塔の生命を薫発できます。

まさに女性部の皆さんは、何があっても「祈りからすべては始まる」との清新な決意に立ち、御本尊への深き祈りから出発しています。妙法と合致し、偉大なる自体顕照の法則に則っているのです。

だから強い。絶対に負けない。断じて行き詰まらない。三世十方の仏・菩薩から讃嘆され、厳護されていくのです。桜も梅も桃も李も、それぞれが懸命に生命を燃やし、咲き誇るからこそ美しい。

「桜梅桃李の己々の当体を改めずして無作の三身と開見」(新1090・全784)です。

妙法受持によって自身の仏の生命を輝かせていく時に、それぞれの個性が最大限に開花するのです。

私にも、あなたにも、尊貴な生命がある。だから、互いに自分らしく輝かせていくのです。

これが妙法の実践です。私たちにとって、現実世界において迫ってくる苦難は、成長するための土台です。

人生のただ中で遭遇する病気や、けが、経済苦、家族の問題や将来の悩みなども、その一つ一つが宿命転換の契機になるのです。全てに深い意味がある。そう確信して信心根本に、困難に立ち向かっていくのです。

妙法を持った人に、乗り越えられない壁は断じてありません。

 

気品をたたえる創価世界女性会館(2018年6月、池田先生撮影)。

ひまわりの花をほうふつとさせるイエローの外壁は、“創価の太陽”女性部の友を象徴するかのように。

2000年に開館して以来、世界中の創価の女性たちが来館し、平和と文化の光を放っている

 

自分を離れて幸福はない

今回研さんする、見宝塔品第11、提婆達多品第12についての「御義口伝」の講義には、池田先生の、創価の女性に対する限りない期待がつづられています。

“自分以上の宝はない”との誇りを胸に刻み、自らの境涯を、そして友情のスクラムを、大きく広げる夏にしていきたいと思います。

先生は、「御義口伝に云わく、『七宝』とは、聞・信・戒・定・進・捨・慙なり。また云わく、頭上の七穴なり。

今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、『有七宝』の行者なり云々」(新1031・全739)の一節を拝し、次のように講義してくださっています。

「七宝で輝く宝塔は、法華経の高貴さを讃えるだけでなく、仏道修行によって自身の宝の生命を輝かせていくこと、すなわち、妙法を持ち、行ずる私たちの尊厳性を讃嘆するものなのです」

「虚空会の儀式をはじめ、法華経とは、釈尊の己心のドラマであり、同時に、私たち自身の生命のドラマです」

高等部の頃、任用試験で初めて学んだ時は、「宝塔」や「虚空会」は、法華経の素晴らしさを説明する、たんなる例え話、おとぎ話のように考えていました。

しかし、訪問・激励や仏法対話に励む中で、その考えは変わっていきました。

「折伏の中で、必ず信心の原点を築けるよ!」――学生時代、この先輩の言葉に背中を押され、仏法対話に挑戦。友の幸せを祈り、語らいを重ねる中で、信心の確信が深まっていく体験をつかみました。

初めて友人に弘教が実った日の前日、題目をあげていると、不思議と“自分自身が南無妙法蓮華経の当体なのだ”と歓喜が込み上げてきました。

そして“絶対に友人を幸せにしていける”との確信が一段と深まったのです。

先生は、「万人に仏性を見、開き、輝かせていくのが妙法です。

あらゆる差異を超えて、誰人も本来、等しく尊貴な宝塔なのです」と講義してくださっています。

折伏という、“目の前の一人”に仏性を見いだし、開き、輝かせていく挑戦の中で、自身の生命にも仏界を見ることができ、地涌の菩薩の使命を実感することができるのだと思います。

「11・18」へ、心広々と、拡大に取り組んでいきます。

 

信仰の喜びをあの友、この友に!――全国各地の会館を中継で結んで開催された池田華陽会の全国キャップ会(先月15日、東京・信濃町の創価世界女性会館で)

 

同世代の中には、仕事や人間関係など、現実に課題があったり、満足していなかったりしても、“それはそれ”と諦めて、趣味などの違うところに充実を求める風潮も感じます。

ですが本当は、“自分を変えたい、向上したい”といった願いを、心のどこかに持っていると思います。

先生は講義の中で、「ありのままで仏であるといっても、“ありのままの生命でよい”ということではない。

それでは、単なる現状肯定となってしまい、向上も進歩もありません。

大切なのは“ありのままに生命を輝かせる”ことです」とも教えてくださっています。

一時、社会で“ありのまま”という言葉がはやりましたが、それは“努力しない”ということとイコールではないはずです。

“自分らしく、ありのままに”輝いていくには、この信仰しかありません。

自分を変革し、現実を変えていける、この希望の哲理を、友に寄り添いながら、伝えていきます。

 

先生は、講義を次のように結んでおられます。

「現実のどんな苦難も悠々と乗り越え、飛翔の力に変えていくための信心です。

日々、師子吼の題目を唱え、共々に前進していきたい。

そして、確信の大音声で信心の歓喜を語り伝え、『宝の青年』を先頭に、幸福と平和の宝塔の連帯を拡大していこうではありませんか!」

師匠・華陽姉妹・友人との絆を一段と強める“つながるプロジェクト”の取り組みを推進し、希望と正義の対話の華を咲かせながら、輝く宝塔のスクラムを、大拡大していきます。

 

【宝塔品・提婆品の概要】

前回の法師品第10に続いて、滅後の弘教がテーマである。

まず、見宝塔品第11では、巨大な宝塔が涌現し、多宝如来が、法華経は真実であると賞讃する。

さらに、虚空(空中)での会座(虚空会)が始まる(嘱累品第22まで)。

提婆達多品第12では、提婆と竜女の成仏が説かれ、悪人成仏と女人成仏が示される。法華経が万人成仏の経典であることを改めて明かすとともに、この大功徳のある経典の弘通を勧めていると拝される。