【第42回】「御義口伝」要文編⑦ 法師品第10 浦沢信越青年部長

 

夏空に白雲が力強く湧き上がる。

はつらつたる青年の生命のように――。

2018年7月、池田先生が長野でカメラに収めた。

広宣流布という師弟の誓願に生き抜く時、

くめども尽きない仏の偉大な生命力が湧き上がる

 

池田先生が長野の地で小説『新・人間革命』を寄稿・脱稿された8月6日は、「信越師弟誓願の日」。

今年は制定から15周年を刻みます。

誓願の夏に新たな戦いを起こし、次なる夏を目指す――。

この師弟勝利のリズムで、信越は人材の山脈を築いてきました。

私にとっても夏は原点の季節です。中学2年の夏、未来部の代表として参加した長野研修道場での会合で、初めて先生とお会いしました。

先生は一人一人と握手してくださり、温かく励ましを。その時の誓いを胸に、家庭の経済苦を乗り越えて、創価大学に進学できました。

”あの夏”を思い起こすたびに、”報恩の人生を生き抜こう。師弟の誓願、広布の大願を果たしていこう”との原点がよみがえります。

 

先生は今回研さんする講義の中で、「『大願』を果たし抜くために、あえて悪世

――苦しみ多き現実社会の最前線に打って出るのが真の菩薩であり、今回、法師品第10で学ぶ『法師』です」と述べられています。

悪世末法で、法華経を弘める「法師」。

その法師の特筆すべき点として、先生は、「すでに清浄の大果報を得た菩薩が、あえて、その果報を捨てて悪世に生まれて法華経を弘通する」という点を挙げられています。

そして、「『生於悪世』の人とは、日蓮等の類いなり」(新1027・全736)との御文に言及され、つづってくださいました。

「”私たちは、願ってこの悪世の国土に共に生まれてきた誓願の師弟なり!”との誇りと喜びが胸に脈打ちます。

現実に今、創価の師弟が閻浮提広布に邁進する中で、この『宿命を使命に変える』願兼於業の体験を、五大州の数多くの同志たちが喜々として語っています」

この講義の通りの世界広布の光景を、2019年、青年文化訪印団に参加した際に目の当たりにしました。

社会で信頼の実証を示しながら、生き生きと学会活動に励むインドの友。

躍動の原動力は、小説『新・人間革命』の研さんと語っていました。小説を通して、師匠と心で対話しながら、皆が”山本伸一”の自覚で広布に駆ける姿に、感動の連続でした。

今、男子部が掲げる「我、新時代の山本伸一なり!」とのスローガン。それは”広宣流布は自分がやる”との自覚とも言えます。

その自覚は、”誰かから言われたから”といった受け身ではありません。生命の底から湧き上がる誓願です。

使命の目覚め、願兼於業の自覚は、祈りを重ね、折伏に挑む中でこそ、深まっていくものです。

そして『新・人間革命』を学び、胸中で師弟の対話を交わしながら、人生の課題に応戦していく――。

この実践を生き方の柱に据える弟子の連帯を、今こそ構築します。

 

続いて先生は、法華経に説かれる法師の実践の中で、「一人のために語る」という点に光を当てられています。

「広宣流布といい、民衆救済といっても、目の前の『一人』の心に触れることから始まります」「『今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、真実の御使いなり』(新1027・全736)とも仰せです。

ひたぶるに題目を唱え、あの友へ、この友へと仏縁を広げ、対話を重ねていくわが同志こそ、如来の『真実の御使い』なのです」

誰よりも「一人を大切に」してこられたのが池田先生です。

学生部時代に、ある会合で、1人で駐車場の役員をしていた際に、先生から激励の伝言をいただきました。

”先生はここまで一人を大切にしてくださるのか”と感動し、陰の労苦が分かる自分にと決意しました。

方面男子部長時代には、同じアパートで仲良くなった友人と交流を深めていくと、その友人が「悩みを抱えている私の友に信仰の話をしてほしい」と。

その方に仏法対話すると、弘教が実りました。「一人を大切にする」ことは、その一人の”先にいる方”をも大切にすることに通じるのだと改めて教えていただきました。

 

先生は、2008年8月24日の信越代表者会議で、呼びかけられました。

「恩師・戸田先生は、よく言われていた。『仏勅をこうむって戦えば、仏の使いである。

仏の使いは、仏と同じ力をもっているのである』

信越の皆さんは、この大確信に燃えて、わが生命の偉大なる仏の力を発揮し、広宣流布の師弟の大道を歩みぬいていただきたい」

「『長野を見よ!』『新潟を見よ!』そう満天下に示しながら、堂々たる人材城を築いてもらいたい。時は今だ。

正義が勝つ時代を開くのだ。『信悦代立ち上がれ!』と万感の期待を込めて叫びたい」

先生の呼びかけに応え、信越青年部は断固と立ち上がります。誓いに生き抜く人材の城を必ず築いていきます。

「世界を照らす太陽の仏法」「大白蓮華」2023年5月号から

 

大聖人は、「今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉る者は、法師の中の大法師なり」と断言されています。

今日、この御文の通りに、法華経の真髄である題目を唱えに唱え、智慧と慈悲と勇気を湧き出しながら社会に貢献する創価学会員こそ、直系の「大法師」でありましょう。

「生ぜんと欲する所に自在」(法華経360ページ)です。

皆、自ら願って、この国、この地に、この時、この境遇で末法に地涌の使命を果たさんと生まれてきたのです。

この元初の大願に目覚めれば、人生の意味が一変します。

苦悩が使命へと転じていくのです。一人も残らず、誓願の菩薩だからです。

 

法華経には、説く相手が多人数でなければならないとはありません。

「たった一人のために」語る人は、すでに「如来の使」であると説かれています。(中略)

一人一人の生命には仏性が具わるゆえに、本来、誰もが尊極の存在です。軽んじていい人などいません。

だからこそ「一対一の対話」「少人数の語らい」が大切なのです。

 

私は確信していました。ガンジスの大河も一滴から始まる。

創価の原点に込められた「大願」が真実なるがゆえに、人間の魂と魂の触発によって必ず青年が、また必ず同志が、試練の時こそ立ち上がり、人材の大河となって、遂には時代を変え、世界を変えていくと――。

広宣流布の大願に燃え、立正安国の対話をもって人びとの中へ飛び込み、新たな道を切り開く菩薩こそ、法華経が描いた「法師」といってよい。(中略)

我ら創価の「法師」には、誰もが自らの尊厳を輝かせ、桜梅桃李の生命の花を咲かせゆく新時代の建設へ、法華経の万人尊敬と共生のメッセージを、地球民族に伝え広げゆく偉大な使命があるのです。