【世界広布の源流 青年に語る創価の魂】第11回 | 励まし慈悲感動通信

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【世界広布の(げん)(りゅう) 青年に語る創価の(たましい)】第11回 大阪の戦い㊤

· 〈出席者〉池田主任副会長、(やな)(しま)男子部長、林池田華陽会委員長、田島学生部長、先﨑女子学生部長

師弟()()の道を歩み()

ペンを走らせる池田先生(1999年3月、東京・八王子市で)。先生はつづっている。「恩師の『妙悟空』の筆名を『法悟空』として引き継いだ〈人間革命〉は、それ自体が師弟継承の物語といってよい。師の厳しくも温かな眼差しを常に感じながら、先生ならどうされるかを常に問いながら、ペンの闘争に打って出たのだ」

 
 ◆先﨑 今回から、1956年(昭和31年)の「大阪の戦い」について学んでいきます。小説『人間革命』第10巻には、その歴史と精神が(しょう)(さい)につづられています。
  
 ◇池田 関西の(かんむり)は「常勝」です。56年の「大阪の戦い」が、今日まで続く「常勝関西」の(げん)(りゅう)となっています。
 私にとって、『人間革命』第10巻は、信心の原点とも言える一書です。10巻の(れん)(さい)が聖教新聞で始まったのは、第1次宗門事件が表面化し始めた77年(同52年)の9月3日。(しゅう)(りょう)したのは、78年8月3日です。
 そして、同年11月18日、単行本が発刊されました。この年の4月、私は創価女子学園(現・関西創価学園)に教員として()(にん)しました。私は10巻を大阪の地で学びました。
 会合に行くと、「大阪の戦い」に参加したという(かた)と会う機会が何度もありました。共通していたのは、池田先生との共戦が、決して過去の思い出で終わらず、現在の戦いや信心のあり方にも生かされていることです。「常勝関西」の強さの(みなもと)は、ここにあると感じました。
 また、“10巻を読んで、当時の池田先生の心境を初めて知った”と語る方が多かったことも印象に残っています。池田先生は10巻を通して、「大阪の戦い」の精神を、後世の私たちに語り残されているのです。
 10巻には、それまでの9巻とは(こと)なる(とく)(ちょう)があります。戸田先生が主人公の物語が、山本伸一の(じっ)(せん)を中心とした形で(えが)かれていることです。池田先生は「師の()(だい)な『構想』も、弟子が『実現』していかなければ、すべては(まぼろし)となってしまう。師の示した『原理』は『応用』『(てん)(かい)』されてこそ価値をもつ」と、『新・人間革命』第1巻のあとがきに(しる)しています。
 私たちは10巻を通して、池田先生が(みずか)らの戦いをもって示した「常勝の方程式」を心に(きざ)み、自らの使命の()(たい)で、実践していきたいと思います。

『人間革命』第10巻「一念」の章の、池田先生の直筆原稿。右上には「昭和五十二年」に書き始めたと記されている

1956年、池田先生の活動の拠点となった関西本部(当時)

 
「法華経とは(しょう)(ぐん)(がく)なり」

 ◆田島 56年5月、山本伸一の()()のもと、大阪支部は1万1111世帯の()(きょう)を達成します。同年7月には、「“まさか”が実現」と世間を(きょう)(たん)させた(みん)(しゅう)勝利の(きん)()(とう)を打ち立てます。この時、伸一はわずか28歳でした。
  
 ◇池田 (みな)さんと同じ一人の青年です。平日は東京で仕事をし、週末に関西で指揮を()り、再び東京に(もど)ります。日々の課題を全て()()げ、「大阪の戦い」に(いど)んでいます。その青年が、不可能を可能にする戦いをしたのです。
 伸一は55年(同30年)10月、戸田先生から関西広布の全責任を(たく)されます。当時の関西の会員の世帯数は、わずか3万ほどで、入会して間もない人たちばかりでした。
 関西広布を(しん)(てん)させるには、いかに戦うべきか――伸一は()(のう)(しず)みます。10月、11月、12月と、彼は(いの)りに祈ります。その中で、「なにの(へい)(ほう)よりも法華経の兵法をもちい(たも)うべし」(新1623・全1192)など、数々の御書の一節が(のう)()()かびます。まさに、御書を身で読む日々でした。
 56年1月2日、伸一が28歳の(たん)(じょう)()(むか)えたその日、「法華経とは(しょう)(ぐん)(がく)なり」との確信に立ちます。そして、戦いの第一歩を()み出すに当たって、勝利から逆算します。「目的を(じょう)(じゅ)するためには、なんといっても、信心を根本にした(かん)()あふれる(しゃく)(ぶく)・弘教によって、広宣流布への勝利の()(しお)をつくっていかなければならない」と、関西の友への(げき)(れい)を開始するのです。
 恩師から託された広宣流布の構想を断じて実現してみせる――関西の現状が、どれだけ(きび)しいものでも、伸一の決意は、いささかも()らぐことはありませんでした。
 日蓮仏法は決して「おすがり(しん)(こう)」ではありません。自らが(ちか)いを立て、戦いを起こす「(せい)(がん)(しゅう)(きょう)」です。誓いを()たす行動の中に、自身の人間革命があるのです。
  
 ◆林 56年の1月4日、5日と大阪に(たい)(ざい)した伸一は、そのほとんどの時間を個人指導に使います。
  
 ◇池田 「()(なん)な目的の達成のためには、まず、一人ひとりの歓喜にあふれた、主体的な活動が不可欠の条件となる」からです。
 5日の夜には、地区部長会が行われました。席上、伸一は次のように語ります。
 「このたびの戦いでも、関西の会員一人ひとりの、(ごう)(じょう)な祈りある信心から始めなければなりません」
 広布の戦いは、まず祈りから開始する――これは、永遠に変わらない方程式です。
 伸一の話は、こう続きます。
 「戦う()(ばん)といっても、学会といっても、広宣流布といっても、一人ひとりの会員が、すべての原点です」
 「会員第一」こそ学会を(つらぬ)く精神です。広布拡大は、一人への(はげ)ましから始まります。
 さらに、伸一は強調します。
 「まず、戦いは、全関西の強盛な祈りから始まるわけであります。これが第一の(よう)(てい)です。ただ、唱題して、祈りに祈っていけばよいかというと、それだけでは、どうにもなりません。第二の要諦は、最高の作戦、最高の行動です。これがなければ、勝機をつかむことは、絶対にできない」
 「この二つの要諦が調和した時、不可能も可能となり、勝利を得ることができると確信いたします。この調和をさせるものは何かというと、それが信心なんです」
 コロナ()(しょう)()(こう)(れい)()など、社会が(かか)える(しょ)課題によって、私たちの活動のあり方も変化していきます。それに的確に対応していく()()は、どこまでも信心から生まれることを心に(きざ)みたいと思います。

池田主任副会長と、「常勝の方程式」について語り合う、梁島男子部長、林池田華陽会委員長、田島学生部長、先﨑女子学生部長(昨年12月、学会本部別館で)

 
 ◆(やな)(しま) 「(みゃく)(どう)」の章では、初めて()(えん)活動に(のぞ)む、ある地方在住の学会員が、(りっ)(しょう)(あん)(こく)の戦いの意義が分からず、東京から()(けん)されてきた幹部と(しょう)(とつ)する場面が(えが)かれています。
  
 ◇池田 56年の参議院選挙において、戸田先生は各方面の責任者に、「あくまでも信心の(しん)(とう)によって、社会建設の使命を自覚させ、各人の()き上がる自発的な熱意」の重要性を強調します。恩師は会員の信心による自覚を(うなが)すことに(てっ)しました。
 ところが、(しょう)(そう)(かん)()られ、本来の目的や意義も語らず、いきなり支援活動に走らせようとした派遣幹部もいました。そうした(こう)()が会員の心に、信心に対する()(もん)(いだ)かせてしまうことになります。
 新たな人材、(わか)いメンバーが活動の意義や目的を理解し、(なっ)(とく)してこそ、広布の前進があります。先ほども(かく)(にん)したように、どこまでいっても、「一人の会員」が「原点」です。
 「脈動」の章には、「この活動のなかで、広宣流布の実践における師弟の関係を、単なる師弟の道ととるか、師弟()()の道ととるかが、初めてあらわにされた」と記されています。
 まさに、「大阪の戦い」は、「山本伸一」という一人の弟子が、「師弟不二の道」を歩み()いた真の弟子であることを証明した戦いでもありました。
 同章にこうあります。
 「師の()()が、脈動となって弟子の五体をめぐり、それが自発能動の実践の姿(すがた)をとる時、初めて師弟不二の道を、かろうじて(まっと)うすることができる」
 「そのためには、師の意図の脈動が、何を(こん)(げん)としているかを深く理解し、自らの血管にたぎらせていく、(こん)(なん)にして強盛な(しん)(こう)の深化を必要とする」
 伸一が「大阪の戦い」に先立ち、数カ月にわたって一念に課した(おく)(ごう)(しん)(ろう)こそ、「困難にして強盛な信仰の深化」でした。
 今度は私たちの番です。一人一人が、自らの信心の戦いによって、わが地域に広布の(がい)()(とどろ)かせる「青年・凱歌の年」にしていきましょう。

 【参照】
 ◆小説『人間革命』=第10巻「一念」「脈動」
 ◆小説『新・人間革命』=第1巻「あとがき」