〈明日を照らす〉 テーマ:信心の継承

 

 今回の「明日を照らす」は、「信心の継承」がテーマです。池田先生は、小説『新・人間革命』第9巻「光彩」の章で、つづっています。「どんなに広宣流布が進んだように見えても、一代限りで終わってしまえば、未来への流れは途絶えてしまう。信心の継承こそが、広宣流布を永遠ならしめる道であり、一家、一族の永遠の繁栄の根本です」と。家庭で、地域で、信心のバトンを後継に託すことこそ、万代の広布の礎になることを学んでいきましょう。

経王御前御書

 経王御前を儲させ給いて候へば現世には跡をつぐべき孝子なり後生には又導かれて仏にならせ給うべし
 (御書1123ページ)

未来の宝を大切に育む

 【通解】経王御前をもうけられたので、現世には、必ず後を継ぐ孝子である。また、後生には、この子に導かれて仏に成られるであろう。
      ◇
 生まれた子どもは、今世では自らの後を継ぐ親孝行な子であるばかりでなく、仏法の三世の生命観から見れば、来世では自分たちを成仏へと導いてくれる存在である――。親子には、不思議な深い縁があることを示された一節です。
 本抄は、文永9年(1272年)、日蓮大聖人が佐渡流罪中、種々の御供養とともに子ども(経王御前)の誕生を報告した門下に送られました。
 子どもは、親にとって何物にも代えがたい“宝”であることは言うまでもありません。その上で、“親子”の関係性を超えて、次代の広宣流布を担い立つ“人類の宝”であり、“未来の宝”であるという、より深い使命を帯びた存在であることを教えられているとも拝せます。
 大聖人は、「一切の仏法も又人によりて弘まるべし」(御書465ページ)、「伝持の人無れば猶木石の衣鉢を帯持せるが如し」(同508ページ)と仰せです。いかに偉大な法であっても、それを受持し、弘通する人がいなければ、末法の衆生を救っていくことはできません。
 池田先生は、後継の友を育てる意義について「未来を創ることそのもの」と、つづっています。
 “広布の使者たち”を、家庭はもとより、地域一丸となって励まし、学会の庭で大切に育んでいく――。それが、広宣流布を永遠たらしめる要諦であり、人類の幸福な未来を開く大偉業にほかならないのです。

東京と山梨にまたがる緑豊かな奥多摩湖。みずみずしい青年の心で、どこまでも清らかな信心をⒸPIXTA

上野殿母御前御返事

 同じ妙法蓮華経の種を心に・はらませ給いなば・同じ妙法蓮華経の国へ生れさせ給うべし
 (御書1570ページ)

妙法の絆は三世永遠

 【通解】同じ妙法蓮華経の種を心に孕まれるなら、同じ妙法蓮華経の国へお生まれになるでしょう。
      ◇
 駿河国(現在の静岡県中央部)の女性門下・上野殿母御前(南条時光の母)は、夫・南条兵衛七郎に早くに先立たれ、遺された子どもたちと信心に励んでいましたが、弘安3年(1280年)9月、末子の五郎を16歳の若さで突然、失いました。
 五郎の四十九日に当たって認められた本抄で、日蓮大聖人は“父の後を継ぎ、題目を唱えていた五郎の成仏は間違いない”と断言され、“題目を唱える功徳によって、妙法に生き抜いて亡くなった家族と、必ず同じ妙法の国に生まれ合わせることができる”と、母御前を包み込むように励まされました。
 故人の遺志を継ぎ、後継者として広布に生き抜くことこそ、自他共の成仏を開く直道にほかなりません。
 池田先生は、本抄を拝してつづっています。
 「妙法の同志は、生死を超えて一体である。亡くなられたご家族の生命とも、ご友人の生命とも、題目で結ばれている。
 後継の人材群が広布のため、友のため、社会のために進み働く姿を、霊山から喜び見つめておられるに違いない。常楽我浄の生命の旅を永遠に一緒に続けていけるのだ」
 価値観が多様化する現代は、家族の在り方もさまざまです。しかし、学会には、三世にわたって誓願を共有する“創価家族”の強い絆があります。
 互いに励まし合い、共に苦難を乗り越えていく中で、絆はさらに強まり、未来へと広布のバトンが受け継がれていくのです。