〈御書根本の大道 池田大作先生の講義に学ぶ〉第26回 (しょう)(じん)(ぎょう) 

 今回の「御書根本の大道 池田大作先生の講義に学ぶ」は、橋出文芸部女性部長が登場。「(しょう)(じん)(ぎょう)」のテーマで、『わが愛する青年に贈る』を研さんします。

(おん)()()(でん)

 (いち)(ねん)(おく)(ごう)(しん)(ろう)()くせば、(ほん)(らい)()()(さん)(じん)(ねん)(ねん)に起こるなり。いわゆる南無妙法蓮華経は(しょう)(じん)(ぎょう)なり。
(新1099・全790)

勇気の指標

 いかなる()(なん)(あらし)があろうが、妙法の信心に(はげ)()くこと。
 広宣流布の戦いに(てっ)し抜くこと。
 そして、最高に価値ある人生の(しん)(ずい)の道を歩み抜くこと。
 そうすれば、わが(きょう)(ちゅう)に、必ず()(だい)にして自在の仏の生命が(くん)(ぱつ)されていくと約束されている()(もん)です。
 ◆◇◆ 
 「(おく)(ごう)(しん)(ろう)」とは、“(ちょう)(おん)なる時間にわたる(つら)く苦しい努力”です。(中略)しかし、大聖人は、この「億劫の辛労」は、妙法を唱え戦う、(しゅん)(かん)瞬間のわが一念に()くせるのだと、(だい)(てん)(かん)して教えてくださっています。億劫にわたる辛労を、この(いっ)(しゅん)の一念に(ぎょう)(しゅく)する。()()えれば、いかに「今この瞬間」を勝ち切るかを(はな)れて、「億劫の辛労」を尽くす道はないのです。
 ◆◇◆ 
 「(おん)()()(でん)」には、()(じゅっ)(ぽん)の「仏道ヲ求メンガ(ため)(ゆえ)ナリ」との一節について、(いち)(じゅう)深い読み方が記されています。それが「仏道ヲ求メタルコトモトヨリナリ」との読みです。(中略)いかなることがあろうとも、自行化他の題目を唱え抜く根本の一念において、「常に精進する」心は()るぎなく定まっている。()()(こっ)(こく)と変化する、どの瞬間に(のぞ)んでも題目を(わす)れなければ、道を求める心は勇み燃え上がる。これが「もとより」の姿()(せい)です。それは、みずみずしい(ほん)(いん)(みょう)の生命であり、常に新しく、常に強く、常に(しん)(けん)です。まさに「南無妙法蓮華経は精進行」なのです。
 なぜ、創価学会には、常に()びゆく()(ぶき)があるのか。それは、(ろう)(にゃく)(なん)(にょ)を問わず、このたゆまぬ求道心とともに、人間革命と広宣流布への勇気が脈打っているからです。

友の心に希望の光を! 勇気の炎を! 世界の民衆のため、尊き同志のためにペンを執る池田先生。先生が小説『人間革命』を起稿した12月2日は「文芸部の日」となっている

たゆまぬ(きゅう)(どう)(しん)とともに

橋出 孝枝 文芸部女性部長

 私の御書全集を開くと、たくさんの赤(えん)(ぴつ)の線、その御文を教えてくださった方のお名前、日付が、()()()んできます。
 19歳で入会した私を、同志の(みな)さんが、ことあるごとに()(せい)(くん)を引いて(げき)(れい)してくださいました。
 すでに(せい)(きょ)された(せん)(ぱい)もいらっしゃいますが、ページをめくるたびに、今なお温かなお声が(むね)(ひび)きます。
 昨秋発刊された新版の御書が手元に(とど)いた折、今度は、この新しい御書を私から同志の方への(はげ)ましでいっぱいにしようと決めました。今、報恩感謝の思いで、日々、御書を(はい)し、真心の激励、対話に(ちょう)(せん)中です。

使命の航路

 今回(はい)する「(おん)()()(でん)」の一節も、入会して間もない(ころ)に学びました。「お題目を(しん)(けん)に唱えていけば、必ず一番いい方向に開いていく。妙法の(りき)(ゆう)はすごい」という(せん)(ぱい)の確信あふれる激励とともに心に(きざ)みました。池田先生はこの御文を次のように講義されています。
 「目の前の(しゅん)(かん)瞬間を(のが)さず、全力を()くす。題目を唱えて、(けん)(めい)に戦い()く――この(しょう)(じん)(ぎょう)にこそ、仏法の『(ゆう)(みょう)精進』、すなわち勇気の(しん)(ずい)があると(はい)したい。『勇猛精進』によって、『()()(さん)(じん)』という本来、わが生命に(そな)わる、仏の()()()()、そして真実の(ちから)が泉の(ごと)()き上がってくるのです」
 私の原点は、大学4年の春のことです。
 当時、“文筆業”という(ばく)(ぜん)とした方向性しか持っていなかった私は、卒業後の進路に(なや)んでいました。そうした中で(しゃく)(ぶく)(いど)み、初めての()(きょう)が実った(よく)(じつ)、会合で池田先生にお会いすることができました。
 先生は、“今日は大切な皆さんだから進路について話をします”と言われ、“広宣流布のためにと一念を(さだ)めてお題目をあげていけば、飛行機の(そう)(じゅう)()(かん)(せい)(とう)と無線で(れん)(らく)を取り合って正しい着陸コースに進むように、必ず自分らしい使命の航路に進むことができる”と語ってくださいました。
 まさに自分が(うかが)いたかったことでした。先生の指導の通りにお題目をあげ抜いたところ、大手新聞社(けい)(れつ)の出版社への(しゅう)(しょく)が決まりました。それから7年後にエッセイストとして独立することができたのです。

友への「たより」

 フリーになってからは、仕事と学会活動の両立や子育てなど、思うようにいかない現実との(かく)(とう)がありました。自分自身の病気という、思いもよらない試練にも(おそ)われました。
 そのたびに御本尊に向かい、真心あふれる同志と共に、池田先生の指導をひもといては、前へ前へと進んできました。
 先生のスピーチや詩は、大勢の人に対して贈られたものですが、不思議と苦しい時ほど、“まさに今の自分に()てて贈られたメッセージだ!”と感じるのです。進路の話をしてくださった原点の時もそうでした。
 私のペンネームは「橋出たより」。この「たより」には、読者の方が、“まるで自分宛ての手紙のようだ”と感じるような文をつづっていきたい、そんな思いを()めています。
 「南無妙法蓮華経は精進行なり」とある通り、たゆみなく生命を(みが)き、池田先生のように心に深く(とど)く文章を目指し、精進し抜く決意です。

人間主義文芸の()(しゅ)

 文芸部では、生涯現役の作家の大先輩から、ヤング白ゆり世代や池田華陽会のライター、マンガ家など、さまざまなジャンルのメンバーが信心根本に切磋琢磨しています。
 東京・文京区のある女性部のメンバーは、(なん)(びょう)指定の持病を(かか)えながら、長年、業界紙の記者として(がん)()ってきました。ハードな仕事に加えて、パワハラに()うなど、体力的にも精神的にもギリギリの(じょう)(きょう)の中、“池田先生の弟子として何としても実証を”と祈り、(ふん)(とう)。白ゆり長として時間をこじ開けて学会活動にも挑戦してこられました。本年、編集長に(しょう)(かく)。会社の(きび)しい業績をアップさせるために、さまざまな(かい)(ぜん)を重ね、見事、実証を示されました。
 池田先生は、文芸部結成の時の様子を小説『新・人間革命』につづり、深い期待を寄せてくださいました。
 「世界一、力のある部になってもらいたい」「一人ひとりが、(げん)として一念を定め、日々、自身の(かべ)を打ち破って、前進し続けるならば、(じょう)(じゅ)できない念願はない」
 ()(しょう)のご期待に応える“人間主義文芸の()(しゅ)”として、文芸部の誇りと使命を胸に、日々、祈り、(ちょう)(せん)の心で書き続けていきます。

メモ

 「(おん)()()(でん)」は、日蓮大聖人が、()(のぶ)で法華経の要文を講義され、それを日興上人が筆録したと伝えられている。上下2(かん)からなる。(かか)げた()(もん)は、()(じゅっ)(ぽん)の一節についての御義口伝である。