帰省後は翌日から休みなく
仕事、仕事、仕事。
やっとの休日。
私はリラックスデーとして表参道を散歩する。
いつものように花屋をのぞく。
いい感じのバラがある。桜もある。
散々 雪に埋もれた。
春よ来い。
ということで、桜を購入する。
ばっちり、道を歩く女性と目が合ってしまったが、気にしない。
桜を抱えたままヴィトンに行った。
値段を確認したいものがあった。
前回見て気になっていたもの。
値段のついていない商品。
ホームページにも値段が載っていないもの。
値段は…大体予想通りだった。
特注だって。
完成まで半年から一年。夢がある。
その流れで4階トランクフロアに行く。
ワインセラーのような、
時計収納トランクも夢があった。
色々と話を聞いて、ヴィトンのトランクへの
こだわりや魅力、価値、歴史
自体は、わかった。
その時案内係として来てくれた店員さん
との会話。
「もう桜売ってるんですか?珍しいですね」
そう言われて、一瞬だけ立ち止まった。
え?
あらゆる所で桜売られてますけど?
ああ、この人の視界には、
季節の花は入ってこないのかもしれない。
ほんの一言で、
人の生活の輪郭が透けて見えることがある。
それが少しだけ、残念に思えた。
ブランド店の店員に、
人格や美意識を求めた私が、
少し欲張りだったのだろうか。
私は思う。
何を買うかより、誰から買うかのほうが、ずっと重要だと。
大きな買い物になればなるほどそういうものだ。
あの店には、日本各地、世界各地から、
本当にさまざまな人が訪れるのだろう。
「この人から買いたい」と思われる人間
になれなくては、物は動かない。
一般人の私ですら、そう感じる。
そして、財力のある人ほど、
そのあたりをとてもシビアに見ている。
商品そのものより、
その人が差し出してくる「世界」を買うからだ。
雑談力って、やっぱり大切だと思う。
広い視野、引き出しの多さ。
人間的魅力がないとつまらない。
もちろん、世の中、色々な人がいる。
全ての人に求めるわけではない。
しかし、やはり、単価の大きいものを扱う店
ゆえ、それなりの人格を求める。
どれだけ商品知識があっても、
会話を膨らませられなければ、物は売れない。
会話を通して相手を理解すること。
そこからニーズを見つけること。
ほんの少し距離を縮めるけれど、
近づきすぎないこと。
そして何より、商品を「売ろう」
としてはいけない。
あくまでスモールステップ。まずは種をまく。
この距離感が心地よい店員さん。
「この人から買いたい」と自然に思わせる人。
たしかに、かつてはいた。——TIFFANYで。
せっかく「桜」という春を抱えていたのに、
私は落胆してしまった。
足早に店を去り、帰宅する。
やれやれ。
——その翌日。仕事。
帰宅は遅く、正直くたくただった。
リビングへ行くと、桜がどんどん開花している。
——先週末。
東京も雪が降った。
でも自宅は桜が満開。
ピンクの可愛らしい花が、
たくさん顔を見せている。
見る度にふっと心が緩む。癒しだ。
色々あったけれど、桜を買って、
本当によかったと思った。
雪国で、雪と格闘中の皆さま、
ひと足早い春を取り入れてみるのは
いかがでしょうか。