イタリアの都市を周遊した人に
どの街がよかった?と聞くと
8~9割が「フィレンツェ」と答える。
フィレンツェって素敵な所なのかな?
私は多かれ少なかれそう思っていた。
が。
しかし。
フィレンツェ
それは試練の連続だった。
全てノンフィクション。
みんな、私の愚痴を聞いてくれ。
フィレンツェ章、開幕です。
ヴェネチアから花の都フィレンツェに到着。
おや?
前日、華やかなムラーノ島、ブラーノ島
にいた私は驚く。
随分茶色い街だな。
これが花の都?
第一印象は15秒で決まるって言うじゃない?
私の中で「フィレンツェ=茶色い街」
と刷り込まれる。
茶色い街は大変だ。
どれも同じ建物に見える。
駅からホテルは近いはずなのに、
全然辿り着けない。
通りの名前も書いてあったりなかったり。
聞いて、聞いて、聞いて…
ホテルとはわからない扉のチャイムを鳴らし、
やっと到着だ。
ホテルに到着するまでに疲れる。
鍵を渡され、部屋に案内される。
丸い鍵はエントランス
四角い鍵は部屋と。
その他にも鍵がある。
ちゃんと部屋の鍵を使っているのに
全然鍵が開かない。
泥棒みたいに
ガチャガチャ
ガチャガチャ
鍵のガタガタを下にして360度回す。
左がオープン。右がクローズと。
え!?
そこまで説明してもらえないとわかりません!
その後も部屋の鍵の開け方を練習する。
ええ。
こちらのホテルが、私に試練を与えた。
部屋は可愛い。
可愛いんだよ?
中世のお城みたい。
天井は3m以上はある。
シャンデリアがついている。
部屋もヴェネチアより広い。
しかし
金庫はない。冷蔵庫はない。電気は暗い。
電気はスイッチを押さないといけないところが
沢山。面倒だ。
廊下は花の臭いがする。
トイレの芳香剤みたいなキツイ臭いだ。
これが花の都か?
試練②ドライヤー
コンセントを挿すと、
電源をオンにしていないのに動き出す。
工事現場みたいなものすごい音だ。
ちょっと焦げ臭い。爆弾みたいだ。
これはコンセントを抜き差ししたら、
火花が散るかもしれない。
髪を8割乾かして、ヘアオイルを塗り、
またコンセントに挿す。全然動かない。
フィレンツェで、
ドライヤーの最期に立ち会う。
翌朝、ホテルの人にドライヤーを渡し、
壊れていることを伝える。
彼がコンセントを入れると動きだした。
あれ?でも、すぐに壊れてる認定された。
ドライヤーは、バナナの皮と同じゴミ箱
に破棄される。
彼は言う。
「ルームメイクの時に新しいの置いとくね」
その日の夕方、ホテルに戻る。
ベッドメイクはされている。
しかし。
タオル類が交換されていない。
わかりやすいようにまとめておいたのに。
シャワールームも掃除していない。
ドライヤー、ない!
そしてホテルフロントに人はいない。
指摘しようにもできない。
私は困り果てた。
自然乾燥は髪が傷む。
しかしイタリアでの宿泊はこれが最後だ。
絶対に髪を洗いたい。
その時、足音が聞こえる。
朝食会場で会った、ブラジル人家族だ。
彼らは私のドライヤーが壊れていることを
知っている。
新しいドライヤーが補充されていない事情を伝え、「後で扉トントンして、ドライヤー借りに行ってもいい?」とお願いする。
彼らのおかげでなんとかなった。
試練③朝食
ひどかった。
私はここの朝食にお金を払っている!
メニュー
・スーパーで売ってそうな甘いパン(?)
・お菓子みたいなもの
・フルーツはバナナのみ
・ヨーグルト
ドリンク
ほぼなし。
コーヒーマシンは壊れている。
紅茶 ティーパックほぼなし。
1日目
一通り食べる。
バナナも好きじゃないけど、食べる。
全然甘くない。
2日目
バナナ 、ヨーグルト、 わかめスープ。
なぜって?
ホテルの人不在。
甘いパンすら並んでいない。全くない。
紅茶ゼロだった。
え?ストライキ?
バナナとヨーグルトは
どちらも冷蔵庫にあった最後の1つを食べた。
今、戦時中なの?
どういういきさつでこうなったかは
わからない。
理由があるのかもしれない。
今まで色々旅してきたけれど、このホテルは
間違いなく最大級の試練だった。
ホテルステイ中、
私は何度も日本に帰りたくなった。
帰国後。
旅行会社のアンケートを書く。
ホテルについては事実をそのまま記載した。
最後に一言。
「あのホテルに人間を行かせてはいけない」
これが私の正直な感想だった。
空っぽのフロントデスクに
鍵を置いてチェックアウト。
そこに名残惜しいという感情は一切なかった。
さようなら、フィレンツェ。
まさかフィレンツェとの別れが
嬉しく感じるとは。予想外だった。