2009年度の厩舎関係者表彰式が17日、中山競馬の昼休みに、ウイナーズサークルで行われた。

 ジョッキー部門では、勝率第1位の安藤勝をはじめ、フェアプレー賞の勝浦、木幡、中舘、横山典、吉田隼の6人が出席。賞品が手渡され、集まったファンから祝福の拍手を受けていた。

 そのほかの主な受賞者は、次の通り。

 【騎手】
▼勝利度数1位 内田▼賞金獲得1位 武豊▼優秀障害騎手1位 五十嵐▼最多勝利新人騎手 松山▼フェアプレー賞(関西) 熊沢、四位、武豊、太宰

 【調教師】
▼最多勝利、最多勝率 藤沢和▼最多賞金獲得 音無▼優秀調教師第1位 加藤征(関東)、角居(関西)
 昨年のBCクラシック・G1を牝馬として史上初めて制し、14戦14勝の無敗のままでの引退、繁殖入りを表明していた、ゼニヤッタ(6歳、米国・シレフス厩舎)が、今年も現役を続けることが17日までに明らかになった。馬主のモス夫妻が現地メディアに語った。

 復帰戦は未定だが、ドバイ・ワールドC・G1(3月27日、オールウェザー2000メートル)も選択肢のひとつにあがっており、出走となればウオッカ、ブエナビスタとの世紀の“名牝対決”が実現することになる。
 ◆第50回京成杯・G3(17日、中山競馬場、芝2000メートル、良) 皐月賞と同じ中山・芝2000メートルで行われ、1番人気のエイシンフラッシュ(横山典)が、アドマイヤテンクウとの激しいつばぜり合いを制して重賞初制覇。出世レースのエリカ賞に続き、この距離を連勝し、春のクラシックレースの有力候補に躍り出た。3着は2番人気のレッドスパークルが入った。

 横山典の左ステッキがしなった。何度も、何度も、エイシンフラッシュに気合を注入する。ゴール前100メートルは、2頭のマッチレースだ。一度は先頭に立ったが、内のアドマイヤテンクウが必死に抵抗した。それでも、持ち前の勝負根性を発揮。鼻だけ先に出て、クラシックへの扉をこじ開けた。

 「まさか安藤さんが行くとは思わなかった。あの馬が前にいたらしぶといので、3コーナー過ぎからゴーサインを出した。最後は安藤さんが差し返してきたけど、よくしのいでくれた」。初騎乗の横山典は、ホッとした表情で振り返った。

 当初は、前走のエリカ賞で2勝目を挙げた内田が手綱を執る予定だった。しかし、9頭が落馬した11日・中山4Rの事故に巻き込まれて、左腕尺骨を骨折。藤原英調教師は代役探しに奔走した。「(横山は)1勝馬に乗る予定だったのに…。他の調教師には迷惑をかけてしまったけど、こちらを選んでくれた。ありがたかった。ノリには感謝している」と笑顔が絶えなかった。

 指揮官は馬のポテンシャルの高さを再認識した。「最後は若干、力を抜くところがあるけど、並んだらしっかり走る。能力はあるのは分かっていたが、今は大きいところに出すための準備段階でこの成績。能力はある」。

 クラシックへ、大きな1勝となった。「賞金を加算してホッとしたというわけじゃないけど、これから(馬を)作っていく期間を考えるとアドバンテージになる」。1月の時点で確定した“優先枠”ゲットを喜んだ。

 まずは、3か月後に同じコース、距離で戦う皐月賞(4月18日、中山)だ。「皐月賞の前にもう1回、どこかトライアルを使う。もっとしっかりしたら、最後の力強さはさらに増すはず」。悲願の3歳牡馬クラシックの道が開けてきた。

 ◆エイシンフラッシュ 父キングズベスト、母ムーンレディ(父プラティニ)。牡3歳の黒鹿毛。戦績5戦3勝。総収得賞金5873万3000円。重賞初勝利。生産者・北海道千歳市の社台ファーム。馬主・平井豊光氏。栗東・藤原英昭厩舎所属。

 [記録メモ]
◆エリカ賞優勝馬 昨年のアーリーロブストに続く勝利。02年のヤマニンセラフィムも、同じパターンで連勝を決めており、相性がいい。
◆横山典騎手 昨年11月のマイルCS(カンパニー)以来の重賞制覇で、通算118勝目。95年以降、16年連続の重賞Vとなった。
 日米の歴史的名牝の対決が実現しそうだ。14戦全勝を誇る米国のゼニヤッタ(J・シレフス、6、父ストリートクライ)が昨年限りでの引退を撤回、今年3月のドバイ遠征が選択肢に入っていることが16日(日本時間17日)に明らかになった。ウオッカ(栗・角居、6、父タニノギムレット)の引退レースとなるドバイワールドC(3月27日、UAEドバイ・メイダン、GI、AW2000メートル)での頂上決戦に期待が高まってきた。

 ゼニヤッタは昨年11月7日、ロサンゼルス近郊のサンタアニア競馬場で行われた世界最高峰のレース、ブリーダーズCクラシックを1番人気で快勝。同レース26回目で初の牝馬の優勝を飾った。通算14戦全勝、GI8勝目。当初はこれで引退、繁殖入りの予定だったが、米国の複数のメディアが16日(日本時間17日)に、オーナーのモス夫妻が現役続行を表明したことを報じた。

 ローテーションは明らかになっていないが、ワールドC挑戦は否定せず、状況を考えれば出走する可能性が強い。米国の古馬路線の上半期にはBC級のレースがなく、新設されたメイダン競馬場にはオールウェザートラックが採用されており、14戦中13戦がオールウェザーのゼニヤッタにとって舞台に問題がない。これまでも世界最高だったワールドCの賞金は今年一気に倍増され、総額1000万ドル(約10億円)、1着600万ドル(約6億円)。新競馬場での第1回で、主催者は“目玉”として勧誘に力を入れているのは間違いない。

 一方、ウオッカは、15日に滋賀県・グリーンウッドから栗東トレセンに帰厩。前哨戦のマクトゥームチャレンジラウンドIII(3月4日、メイダン、GII、AW2000メートル)に向け、2月10日に出国する予定。過去14回のワールドCで、牝馬は01年日本のトゥザヴィクトリーの2着が最高だが、今年は牝馬が中心のレースになりそうだ。
 善は急げだ。全休日明け、唯一レッドスパークルが予定を繰り上げて追い切った。当初は木曜追いの予定だったが、折からの寒波が藤岡健師を決断させた。

 「あすとなると実戦までの間隔が短くなるわけだし、天候も怪しいから。コースが替わるのも嫌だった」。積雪となればWコースは閉鎖、ダートのみでの調教となる。主に追い切りで使っているのはCWコース。リズムを狂わせたくなかったのだ。

 最終追いは、そのCWコースでの併せ馬。エイシンサクセス(4歳500万)を外に見て追走する形。直線入り口で約3馬身ほどの差があったが、グングン差を詰めてほぼ併入。タイムは6F84秒3~1F12秒2。上々の伸び脚だ。「間隔が空いているのできっちりと。思った通りいい調教だった。目立って動くタイプではないけど、きょうは動いたから。先週あたりから動きが良くなってきたし、青写真通り」と師は仕上げに自信を見せていた。
 「京成杯・G3」(17日、中山)
 クラシックへ名乗りを上げる。最終追い切りが東西トレセンで行われ、エイシンフラッシュが栗東CWの併せ馬で豪快な動きを披露した。僚馬を一気に突き放し、万全の態勢をアピール。エリカ賞を制した勢いに陰りはない。横山典との新コンビで初の重賞タイトルを手に入れる。同じくCWのアドマイヤテンクウも好気配。持続力のある末脚でV奪取をもくろむ。
  ◇  ◇
 いてつく寒さのなか、エイシンフラッシュはグランクロワ(3歳500万下)とともに栗東CWに姿を現した。「寒い時季だから馬も硬くなりやすい。きょうはサッとやるだけで十分」と藤原英師。そのコンセプトのもと、併せ馬は始まった。
 縦列状態で始まった最終リハは、前を行く僚馬を追走する形。一定の距離を保ちながらピタリと折り合い、3~4角からスパートを開始した。コーナーワークを利してインに潜り込むと、ゴーサインに瞬時に加速する。一気に突き放し、豪快なフットワークでフィニッシュラインを越えた。
 タイムは6F83秒9-38秒6-11秒7。3馬身の先着を果たした。開口一番、見届けた指揮官は「予定通り」。納得の表情を浮かべながら「素質のある馬。それなりの計算をしながら、ここまでは順調に来ている。上に向かって上がっていかないとな」と前を向いた。
 セールスポイントは「能力」と言い切るだけあって、高い身体能力にほれ込んでいる。「当歳のときに“いい馬だな”と思った。実際に動かしてみたら、思っていた通りにいい馬だった。血統的にもう少し(成長が)遅めだと思っていたが、順調に育ってくれた」と穏やかな笑みがこぼれる。
 狙うは初の重賞制覇。だが、トレーナーに気負いは見られない。「賞金加算うんぬんよりも、これから上を目指すための経験を積みたい。長距離輸送や初コースであったりね」。課題をクリアできれば、結果はおのずとついてくる。名手・横山典との新コンビで挑む中山で、フラッシュがさらなる高みを目指す。
 「日経新春杯・G2」(17日、京都)
 新コンビがはじけた。最終追い切りが東西トレセンで行われ、重賞3勝馬のサンライズマックスは武豊が手綱を取り、栗東CWで快調な走りを披露。しまいまでシャープに伸びて、一番時計をたたき出した。約11カ月ぶりとなる勝利を目指し、視界は良好だ。栗東坂路では復帰戦となるベストメンバーと、上昇著しいトップカミングが力強いフットワークを見せた。
  ◇  ◇
 名手をうならせる走りで、春に弾みをつける。サンライズマックスは武豊を背に馬場整地後の栗東CWに登場した。軽やかにチップを踏みしめながら向正面へ。最初の1Fを14秒8で通過すると、そこから早くも戦闘モードに切り替わった。
 「いい目標になった」と武豊が振り返るように、前を走る併走馬を視界に置き、スピードを上げていく。ラストは鞍上の、静かだが厳しい檄(げき)に応えるように、シャープに脚を伸ばした。
 6F79秒0-37秒5-12秒5。4角で内めを回ったとはいえ、堂々の一番時計をマークした。2週続けて騎乗した武豊は「いい動きでしたね。先週よりも感じが良かった。聞いていたように乗りやすいし、競馬では手こずるようなイメージはない」と好感触を得る。マックスが勝利した3つの重賞で、自身の騎乗馬は2度2着に甘んじた経験があるだけに、「切れ味があるのは身近で見ていて分かっている。うまく一瞬の脚を生かしてあげたいね」と勝利のシーンを描く。
 前走の鳴尾記念は小差の7着。いつもより前のポジションでの競馬となった。「あのレースが今後につながればいいと思っています」と樋口助手はプラスにとらえる。明けて6歳。「昔はチャカチャカする面があったが、いまは落ち着いて走れていますね」。まさに充実期を迎えている。
 舞台は淀の2400メートルとなる。「距離は手探りだが、昨春の天皇賞(4着)で結果を出しているし、2走前のアルゼンチン共和国杯(4着)でもいい脚を使っていた。ハンデ(57・5キロ)は微妙だが、平たんコースだし、力でカバーしてくれると思う」。斤量を克服して、4つめの重賞を獲りにいく。
 サンライズマックスがCWコースを単走で追われ、6ハロン79秒0の一番時計を弾き出した。初コンビとなる武豊騎手は2週続けて追い切りに騎乗。「いい動きです。いつもこの馬にやられて、強さは間近で知っていますから…」と好感触のユタカは、重賞3勝馬の持ち味を引き出して今年最初のタイトル獲得を狙う。

 午前8時を回っても氷点下1度。寒風吹きすさぶ栗東トレセンを熱くさせたのは、初コンビの武豊騎手が跨るサンライズマックスだ。前半からリズム良くスピードに乗って、最後まで脚どりはしっかり。CWコースで6ハロン79秒0の一番時計をマークして万全の態勢を印象づけた。

 「いい動きですよ。先週も乗りましたけど、当然、先週より感じはいいですね。ホントに乗りやすい馬ですよ」

 鞍上がすっかり惚れ込んだマックスは、先週に続いてCWでの追い切り。6ハロン標識から14秒8、13秒6、13秒1…と軽快なピッチを刻む。一杯に追われた最後の3ハロンも37秒5-12秒5。離れて前に行っていた他厩舎の2頭に追いつく勢いでのフィニッシュだ。

 「ちょうどいい目標になったので、あの併せ馬を狙ってキャンターをおろしたんですよ」とジョッキー。他厩舎の動きを見逃さない、いかにもユタカらしい瞬時の判断が、最後まで鈍らない末脚につながった。

 07年中日新聞杯など重賞3勝の実績を持ちながら、安定感に欠けるマックス。だが、天才騎手の頭脳にはその特徴がしっかりとインプットされている。

 「成績にムラがあるように癖があるのかもしれないけど、いつもこの馬にやられて、強さは間近で知っていますから…。一瞬の脚をうまく生かしたいですね」

 08年エプソムC、昨年の小倉大賞典とサンライズマックスが勝った時、2着馬の背中にいて、その持ち味はイヤと言うほど知っている。今度はそれを自分が生かす番だ。開幕2週で7勝、2着9回。連対率は4割と存在感を見せつけるユタカが、初コンビのマックスを駆って24年連続重賞勝ちの偉業に挑む。
 昨年の最優秀3歳牝馬で有馬記念2着のブエナビスタ(栗・松田博、牝4)は、23日に栗東に帰厩して京都記念(2月20日、京都、GII、芝2200メートル)から始動することが14日、分かった。有馬記念に続き横山典弘騎手が手綱を取る見込み。

 ブエナはドバイワールドCデー(3月27日、メイダン競馬場)に、ドバイワールドC(AW2000メートル)、ドバイシーマクラシック(芝2410メートル)、ドバイデューティフリー(芝1800メートル)のGI3競走に登録。京都記念の結果次第で遠征するかどうかが決まる。

 京都記念は有馬記念を優勝したドリームジャーニー(栗・池江寿、牡6)も参戦予定。グランプリの雪辱を果たせば、世界制覇への大きなステップとなりそうだ。
 世界最大の競馬グループ「ダーレー」の代表を務めるモハメド殿下(60)=UAE副大統領、ドバイ首長=の次男、ハムダン皇太子(27)が所有するクーデワンダー(牡3、父グラスワンダー)が14日、美浦の小島太厩舎に入厩した。同馬は重賞2勝(06年GIIニュージーランドT、07年GIII京都金杯)を挙げているマイネルスケルツィ(美・稲葉、牡7)の全弟。08年7月の北海道セレクションセールでダーレージャパンが1060万5000円(税込み)で落札した。

 これまでにモハメド殿下の所有馬サスペンスクイーンの07(牡3、父ワイルドラッシュ)が栗東の安田隆厩舎へ、殿下の妃であるハヤ王女のエピックジャーニー(牡3、父アフリート)が栗東の野中厩舎に入厩しているが、国外居住馬主の馬が美浦に入厩するのは初めて。

 ハムダン皇太子は、海外居住者に中央競馬の馬主資格が認められた09年に、モハメド殿下、ハヤ王女とともに馬主登録をしていた。小島太調教師は「全兄も走っているし、血統面からの期待は大きい。2回中山あたりを目標に進めていきたい」とデビューを楽しみにしている。