バンコク(タイ)からムンバイ(インド)へ空路入国後オートバイの輸入手続き開始(2023/1/15~1/21)
ベトナムのハノイから荷物を置いてあるタイのバンコクへ飛び、バンコクで3泊後にバンコクから海上輸送中のオートバイを受け取るため、次のオートバイツーリング再開場所であるインドのムンバイへ向かった。
ムンバイへのフライト前日の夜になって、問題が発覚した。
インド政府がインドへ入国する旅客のコロナ(Covid19)対応策を今年の1月1日から厳しくしていたことを当方は、ムンバイへ行く前日夜に知った。
昨年秋口から世界各国では入国旅客に対するコロナ対応策を緩和している。そのため、当方はインドの最近のコロナ対応策は確認していなかった。
しかしながら、気になってインターネットで確認したら、日本を含むコロナ感染が拡大しているタイ、中国、韓国、シンガポール等からの入国旅客については出発72時間以内のPCRが義務づけられていた。 厳しい措置は今年1月1日から導入済みだった。
インターネットにPCR検査を受けられるクリニック等の広告が多数あったが、どれも緊急でテストを行っても結果が出るのに3時間かかる。色々調べている内に深夜になったため、今夜は何も出来ない。
PCR検査での陰性証明書(Certificate of Negative proof on PCR Test)無しで、翌日航空会社は当方をフライトに搭乗させてくれるだろうか? 航空会社と交渉の余地はあるだろうか?
当方の航空券(Air Ticket)は格安航空券のため搭乗日の変更が出来ない、購入済みの航空券は無駄になることを考慮して、善後策を考えた。
マレーシア等インド政府がPCR検査の陰性証明証を要求していない国へ飛び、その国からインドへ入国するのも対応策の一つだ。翌日早めに空港へ行き、空港でインド行のフライトを予約している航空会社に相談することにした。
翌日朝、<フライトには乗れないだろう。空港へ行くこと自体が無駄だろう>と暗い気持ちで荷物を抱えて空港へ向かった。
航空会社のスタッフから空港にPCR検査場があり、搭乗手続き時間中にPCR検査の陰性証明書を作成できることを教えてもらった。当方以外にもPCR検査の陰性証明証を持参していない旅客が3名いた。
PCR検査場での検査は早かった。待ち時間なしで検査を行い、約40分ほどで英文陰性証明書を作成してくれた。ただし、検査費用は原則現地通貨の現金払いだったが、交渉して持参していた米ドル払いで受けてもらった。
検査費用は約100米ドルお札をだして、200タイバーツ=約800円のお釣りをもらった) つまり検査費用は92~93米ドル程度(12,000円程度)だろう。
PCR検査の陰性証明書をインターネット上でインド政府のコロナ対応用の入国フォームに記入してインターネット上で申請しなければならなかった。細かいことを話すと長くなるが、この場でも当方のスマホにトラブルが生じた。
スマホでの手続きも航空会社のスタッフの協力を得てチェックインカウンターが閉まる寸前に何とか済ませて、予定していたフライトに当方の搭乗が許されることになった。
結果オーライ(All Right)だったが、他国へ出発する前には、余裕を持った事前の確認やチェックが必要だったと改めて反省。
(ムンバイ空港から市内中心部へ行く空港バス。市内中心部まで約20kmあるが、バス料金は175ルピー=約280円)
(日曜日の夕方、ムンバイ空港から市内中心部へ向かう途中)
ムンバイの雑踏
ムンバイに到着したのは日曜日の午後の遅い時間だった。コロナ対策が厳しくなったせいかしらないが、当方のような外国人旅客の数は少なかった。
空港のイミグレーションでの入国手続きも短時間で終了して、空港バスに乗りムンバイ市内の中心部を目指した。CSMT駅=中央駅がある市内中心部に到着したのは日没後となってしまった。日曜日の夕方とあって、道路は思っていたより混んでいなかった。
それでも市内の幹線道路の車の流れは悪く、ドライバーは我先にと前に進もうと、クラクションを鳴らしながら車と車の隙間へ自分の車を押し込んでくる。
バスの運転が一番荒かった。バスの運転手は<道を開けろ>と言わんばかりにクラクションをずっと鳴らしっぱなしだ。バスに行く手を阻まれたオートバイライダーが怒鳴り声で、バスの運転手に文句をいっている。バスの運転手はさらに大きな声をはりあげてオートバイライダーに怒鳴っている。
ムンバイ市中心部は人が多かった。歩道から人々が溢れて車道を歩いている。すれ違う人とはしょっちゅう肩がぶつかりあう。肩をぶつけられると<気を付けろ>と文句を言いたくなるが、人が多いインドの都会では当たり前のことだろう。誰も文句も言わないし、謝りもしない。
いつもの様に宿泊先は予約していない。目星をつけてある宿泊先ホテルを訪ねた。ホテルの立地場所と部屋の状況を自分の目で確かめないとホテル選びに失敗することになる。荷物もあるので、1件目のホテルで宿泊を決めた。
前日は闇にまみれて道路の汚れや老朽化した建物はあまり目立たなかった。
翌朝周りが明るくなるとやはり道路上のゴミ、老朽化した建物や掃除が行き届いていない街角等が目につく。
一言で言うとゴチャゴチャしている街並みだ。
騒音もすさまじい。車やバイクのクラクションの音。歩道から溢れて道路を行きかう人々の群れ。
町や人々の活気も感じるが、それ以上に東南アジア諸国ではあまり感じなかった無秩序で混とんとした雰囲気に圧倒される。
(ムンバイの中央駅CSMT=Chhatrapati Shivaji Maharaj Terminusは世界遺産の建物だった)
(CSMT駅。列車のドアは走行中でも開けっ放しだった)
(列車車両内は幅が広い。ステンレス製の三人掛けの座席が通路を挟み横に2列並ぶ。昼間の時間帯のため、近郊列車の車両内は混んでいない)
(写真奥のドーム屋根の建物は世界遺産のCSMT駅の駅舎)
(CSTM駅近くの住宅街路上には多数のバイクが無秩序に駐輪してあり、路上の通行を妨げていた)
(ムンバイの観光名所のひとつインド門=Gate of India 1911年建立)
(稀に市内の路上でつながれた牛を見た。おそらく宗教的な意味で牛に手で触っていく通行人がいた。確認はしていないが、
宗教的な意味合いがある行為か、賽銭目的のビジネスではないか思った。)
(公園では少年から大人まで多くのチームがクリケットの試合を行っていた)
ムンバイ(Mumbai)到着後通関業者との打ち合わせ
通関業者(Sadikally &Esoofally Co)のオフィースはムンバイの中央駅に相当するCSMT駅近くの中小の建物群が密集するビル内にあった。スタッフは5名程度の小さな会社ながらしっかりしたオフィースがあると言うだけでも、安心感が持てた。
同事務所のオーナーであるMustafa Merchant氏とは事前にE-メールやWhatsAppでやり取りしていたから初めてあった気がしなかった。 同氏の言葉を借りれば、同社はムンバイ港でカルネを利用する中古車両の輸出入の9割の通関業務を請け負っていると言う。
事実、Facebookのアジアツーリング関連のグループ情報ではムンバイ港の通関では同社におせわになったとか、手際良い輸出入の手続きだった等の同社を利用した外国人オーバーランダーの投稿を目にした。
同社訪問日と同日の1/16に当方のバイクを運んでいる本船がムンバイ港(実際にはNsheva Havaと言うコンテナー専用港)に到着した。
当方のオートバイはカルネ(Carnet de Passage en Douane)を使う輸入手続きのため、同氏からオートバイを受け取るのに最短でも10営業日程度時間がかかると言われる。このことは事前に伝えられていたので特に新たなニュースでは無かった。
通常貨物の輸入通関手続きは税関内での各部署がコンピューターでオンライン化されているため、情報の共有化ができ、許認可がスムーズ行なわれる。
しかしながら、カルネでの輸入手続きについては、カルネ利用者が当方のよう外国人オーバーランダーか海外に住んでいたインド人が帰国時に車両を持ち込むケースに限定される。 利用頻度が少ないため、手続きはオンライン化されておらず、関係部署へ係官が書類を持ち回りする手作業となっている。
どの位の数の関係部署を持ちまわるのか知らないが、その手続きに一週間以上の時間がかかるとのことである。
また、カルネを使った輸入手続きの際は、インドの自動車連盟(Federation of Indian Automobile Association=FIAA)に当方のオートバイのインド持ち込みについて、<インド自動車連盟が保証する>旨のレター(Non Objection Letter=NOC)を作成してもらう必要がある。
この手続きは通関業者が有償(約2,000ルピー=約3,200円)で代行してくれるが、FIAAはNOC発行に際して、当方のカルネ発行元である日本自動車連盟(JAF)へ当方のカルネが本物であるかどうか確認を求め、JAFから書面で確認を取りつける。
FIAAから前週末の土曜日にJAFへカルネが本物であるか電子メールにて確認を求めたが、月曜日の午後(2日後)になってもJAFから返答がない。そのため、FIAAはJAFからの返事が遅いと考え、当方へJAFへの問い合わせを依頼してきた。 FIAAはインドでは土曜日は営業日なので、他国も土曜日は営業日だと思っていたらしい。
FIAAのNOC書類の入手が遅れれば、その分通関手続きが遅れるため、当方もJAF宛にメールで
状況を説明したあと、電話を入れてJAFにFIAAへの返答を急ぐように依頼した。 JAFが善処してくれたこともあり、JAFの確認書類はFIAAへ翌日(火曜日)には送付された。
当方は同社にはオートバイ用のバッテリーの入手もお願いしていた。
バンコク(Bangkok)から当方のオートバイを海上輸送する際、バッテリーは完全にオートバイから取り去ることを条件に混載貨物として荷受してもらった。 当方はムンバイの複数のヤマハオートバイの販売店に電子メールで純正バッテリーの入手が可能かと問い合わせたが返事がないため、同社へバッテリー探しの協力を依頼していた。
同社から純正バッテリー(GS-YUASA製)の入手不可というとの連絡を得て、同じ仕様(サイズ)のインド製のバッテリーを事前に買いそろえてもらうことにした。
気になるのが、輸入時に関わる諸掛り費用である。同社が関与する輸入手続き関連費用については事前に連絡を受けているので問題ないが、船会社の代理店が本船からの荷下ろしから始まり、保税倉庫で荷物を保管するまでの作業分が不透明である。業界用語ではDestination Charges(到着港での費用)と言う。
同社からはインドでは船会社代理店が過大請求する場合があるので、荷物を本船に積み込む際にバンコクで、到着港での費用も全て前払い(Prepaid)にした方が良いとのアドバイスを受けていた。
同社が輸入通関した複数の外国人オーバーランダーの場合でも、後日船会社代理店からの過大な請求額を同社顧客が見てびっくりし、同社が顧客対応に苦慮したケースがあったと言う。同社は船会社代理店からの請求額を単に顧客に伝える立場なので、損な役回りだとこぼしていた。
後日トラブルにならないように、積出港で業者(輸送会社が)事前にしっかりと顧客に説明すべきであるとの同社の意見には頷ける。ただし、バンコクの輸送業者はその対応ができていなかった。
同社では船会社代理店の過大請求の事を<隠れた費用(Hidden Charges)>と呼んでいる。
既にムンバイ港で本船からの貨物荷下ろしに関わる費用の一部の請求書が通関業者(フォワーダー)の手元にも届いている。 請求書には直ぐに納得できない金額があるので、当方はバンコクの業者を通じて船会社の代理店に説明を求めているが、返答は期待できないだろう。
(Sadikally &Esoofally Coのオフィース。写真左端がMustafa氏)
経済情報 (真面目な話)
インドの総人口が中国を抜き世界最大の人口(約14.2億人)になったとかインドの新車販売台数がの日本の販売台数を初めて抜いたとかのニュースが最近あった。
インド経済は約十数年前のBRICSブーム(経済規模が大きく躍進している新興国Brasil,Russia,India, Chainaの総称)から世界的に目立つ存在になってきた。
2016年年には日本のGDPの半分にも満たなかったインドのGDPは2030年には日本を追い越して、中国、米国に次ぐ世界第3位の経済大国になるとの予想が民間のシンクタンクから出ている。
インド政府が外資の直接投資の規制を緩和してから、多くの外国企業がインドの巨大消費マーケットをにらみ製造業からサービス業までの広い分野でこぞってインドに進出している。
日本企業では1980年代にインドに進出して、インド国内で乗用車の販売台数が50%近くのマーケットシャアを占めるまで大きくなったスズキ自動車の成功例がある。最近では製造業のみならず、良品計画、ユニクロ(ファーストリーテイリング)やセブンイレブンと言った小売業やクレジットカード系の金融業の日系企業もインドに進出している。
インドの一人当たりのGDPは1,920米ドル(約25万円)とベトナムの2,650ドル(約35万円)よりも少ないが、州により大きく異なることに留意すべきだろう。
ゴア州=Goa(インド南西部)や首都があるデーリー準州では約5,300~5,700米ドル(約69万円~75万円)に対して最貧州のビハール州=Bihar(インド北東内陸州)では700ドル (約9万円)にも満たない。最貧州のGDPはアフリカの最貧国のマリ共和国やコンゴ民主共和国とあまり変わらない水準だ。
州によりこれほど所得に格差があれば、インドをひとくくりに説明するのは困難だろう。やはり州単位あるいは地域単位で理解すべきだろう。
インドで経済発展が著しいのはインド西部・南部地区だ。
北は首都ニューデリーが所在するデリー準州(Delhi)、その西のスズキ自動車やホンダが製造拠点を構えるハリヤナ州(Haryana)、石油化学工業が盛んな西部グジャラート州(Gujarat)や南西部の大都市ムンバイを控えるマハーラーシュトラ州(Maharashtra)やインドのシリコンバレーと呼ばれるバンガロール(Bangalore)があるカルナータカ州(Karnataka)だろう。
当方のインドのツーリングルートは偶然ではあるが、経済発展が著しいムンバイから出発してマハーラーシュトラ州~カルナータカ州~インド最南端タミルドウ州(Tamil Nadu)からインド中央部のデカン高原を経由して東部コルナタ(カルカッタ)=Kolnataがある西ベンガル州(West Bengal)を想定している。
カルカッタ以降は北東からニューデリーがある北西まで、途中ネパールにも寄りながらインド周回ルートを考えている。ツーリング期間は約2ヶ月~3ヶ月。走行距離は1.5万km位になるだろうと推測している。
次回はムンバイ港でのオートバイの受取から
(ムンバイ証券取引所)
(ムンバイの金融街Bandra Kurla Complexにはインド中央銀行や数多くの外国金融機関が所在している)
(役所前の歩道でタイプライターを使用して書類作成する代行業者)
(CSMT駅付近にヘルメットを中心にオートバイ用品店を販売する小さな店舗があった。30m2にも満たないような狭い店内の
賃料は月額約1,100米ドル=約14万円とインドの物価水準では安くない。ムンバイ南部の地価や家賃はかなり高いと言っていた。それでもムンバイのビジネスのスピードが速いので、家賃は十分補えると言う。)
(経済発展優先のため、ムンバイ近郊のKurla駅付近の川の水はどす黒く異臭を放すドブ川状態だった。環境問題を解決するにはまだ時間がかかるようだ。)
(インドの州別の一人当たりGDP。インド西側の州が経済的に豊かな州だ。Jetro資料)
(インドの一人当たりのGNI=国民所得はカンボジアとベトナムの間であるが、州により大幅に異なることに留意する
必要がある。インドを一言では語れない。Jetro資料)
(インド進出の日系企業の拠点=Jetro資料)
(赤い点線が当方の走行ルート案)
以上