最終出勤日。
社長がみんなを会議室に集めた。
何を今さら、と思いながらも、とりあえず席につく。
「今回はこういう状況になって申し訳ない。」
なんかそんなようなことを言っていた気がする。
心がこもってないので、こちらの心にも残らない。
「そして、この1ヵ月の間、それぞれと今後について話をした結果、
○○さん、○○さん、るち。さんの3名は今日付けで退職することに
なりました。
えー、○○さんは、□□で、云々かんぬん・・・
○○さんは、△△で、云々かんぬん・・・
そしてるち。さんは、こんな言い方をしたら嫌がるかもしれないけど、
うちの会社にとっては、母親みたいな存在で、
会社の基本的なルール作りからきっちりとしていただいて・・・云々。
ということですので、○○さんから一言ずつもらえますか?」
へっ?
解雇される側から、一言ずつですか??
なにを?だれに?どう言えっつーの?
と思いつつ、○○さんから一言がスタートし、
あっちゅーまに、じゃぁ次はるち。さん、と言われる。
えっ?
そんな軽いふられ方??
「・・・。」
「・・・。」
(頭ん中真っ白中。)
(以下、話しの起承転結をまったく考えず、もちろん、オチ、も考えず、
ただただ震える手を抑え、声を詰まらせながら、溢れる涙をこらえ、
口から出る言葉を、そのまま話し続けたのでありました。)
「あの・・・、まさか、自分が辞めることになるとは思ってなかったので、
社長から話があった後は、頭と心が全然一致しなくて、・・・
とても不安定な時間を過ごしてきました。
すごく本気でやってきたから、こんな結果になることは
とても悔しくて、悔しさ通り越して、すごくむなしさも感じてて、・・・
ずっと頑張ろうって思ってたから、・・・
でも、
もちろん生活のこともあるけど、
社長から話があったときに、
その、あまりに無責任で、あまりに不誠実な対応に、
とても一緒にやれないと思って・・・
決めました・・・。
この不況がなくても、
こんな経営の仕方をしてたら、
遅かれ早かれ同じ状況になってたと、思います。
こうなったことを、経営者のお二人は、不況のせいにしないでほしい。
ここにいる従業員や、その家族全員の人生を狂わしたことを、
わかってらっしゃいますか?
こういう結果を出したことを、
経営者のお二人は、
深く、深く、反省していただきたい。
二人は、経営者として、ゼロ点です。
いち事務員が言ってることと思われるかもしれませんが、
現場ですべてを見てきたものの意見です。
深く、深く、反省してください。」
言葉を詰まらせながら、
こんなことを言ったんだと思う。
言ってしまったんだと思う。
でもね、
ふざけてるよ。
わたしのこの発言で静まり返ってるのに、
発言が終わるとすぐに、
「はい、じゃぁ次○○さん。」
って、
・・・ぉぃ、わたしの話聞いてたの?
経営者としてゼロ点やって言われてんねんで???
でね、
最後の子の発言が終わるとね、
「じゃぁ今日はこれで。」
って、解散したの。
え゛ーーーーー???
あなた、言われたことわかってんの?
なんかわたしに言い返すことないの?
わたしが声を詰まらせながら、本当に悔しい!って言ったことに対して、
何か言うことないの??
手ぇ震えてまで発言したのに、
「じゃぁ今日はこれで。」
って・・・
今日が最後やで?
このメンバーで揃う最後の日やで?
経営者失格やって言われてんねんで?
なんか言い返せよ。
お前男やろ。
社長やろ。
経営者やろ。
なんとか言えやぁーーーーーーー!!!!!
・・・そんな思いもむなしく、
この会社、辞めるべくして辞めるんやなぁって思っちゃった。
給料があろうがなかろうが、
この経営者たちとこれからも一緒に仕事をしていくという選択肢は、
最初からなかったんやなぁってさ。
そして、この日、最後に、
ここ最近ずーっとだんまりを決め込んでいた副社長に呼ばれた。
解雇の話が出てるのに、
全くノータッチで、だんまりで、なんにもしなかった副社長。
応接室に入るやいなや、溢れんばかりの涙をためて、
「今回の件、ホンマにすみませんでした。
るち。さんが言ってることは、ホンマすべてそのとおりで、
・・・。
真剣にやってくれてたのに、こんな結果になって、
ホンマにすみませんでした。
ホンマにすみませんでした。
そ、それだけ、言いたくて・・・。」
副社長、涙をこらえながら、声を絞りだして、だんまりをといた。
遅いよ。
47歳の男に、涙ながらに頭を下げられても、
あたしは明日から仕事がないんです。
明日から収入がないんです。
今頃謝られたって・・・、
泣きたいのはこっちやーーーーーー!!!
でもね、いいの、これで。
わたしは普段からあんまり発言をしないタイプで、
黙ってコツコツと、でもきっちりしっかりと仕事をするタイプで、
だから、いざというときに何か発言をすれば、
すごく影響力がある、と周りの人には言われてて、
そんな私にね、
本当にこの会社をよくしたいと思って、真剣に頑張ってきた私にね、
経営者としてゼロ点だと言われてね、
一瞬でも響いたんなら、
一瞬でも反省したんなら、
それはそれでいいんだと思う。
この先、わたしに言われたことを忘れて、
また同じことを繰り返すのは、それは副社長の人生だし、
わたしは、今さら解雇についてどうこう言うつもりもないし、
わたしはわたしの人生を歩んでいくし、
ただね、一言言いたかった。
真っ当に生きてる人間をね、
バカにしたらいけない。
どんな理不尽も乗り越えるけど、
頑張ることを、バカにしてほしくない。
それだけは、悔しいからイヤ。
滅多に発言しないわたしが言うのはね、
そのラインを超えたからだよ。
よっぽど、だったんだよ。
長くなっちゃった。。
ここまで読んでくださった方、
ありがとうございます。本当に。
なんだか、疲れちゃいました。
とっても、エネルギーを使いました。
慣れないことはしたくないですね。
わたしに、あんまり発言させてほしくないです、ハイ。
そんなラストサムライでした。
とりあえず、お疲れ様でした。





だから。