某シネコンにて『源氏物語 千年の謎』を鑑賞。

【出演】
生田斗真、中谷美紀、窪塚洋介、東山紀之、真木よう子、多部未華子、芦名星、蓮佛美沙子、室井滋、田中麗奈、榎木孝明、甲本雅裕、尾上松也、東儀秀樹、佐久間良子
【監督】
鶴橋康夫
“天才女流作家・紫式部の叶わぬ愛が、その物語を綴らせた”

何故、紫式部は「源氏物語」を書かねばならなかったのか?
〈光源氏の華麗なる愛〉と〈作者紫式部の秘めた恋〉。
同時進行する2つの愛の物語が明らかにする真相とは?

絢爛豪華な平安王朝の時代。
時の権力者・藤原道長は、娘・彰子に帝の心を向けさせるために、紫式部に物語を書くよう命令する。

その物語の主人公・光源氏は、宮中の女性たちの憧れの的。
桐壺帝の第二皇子で、絶世の美貌の持ち主。
しかし義理の母・藤壺への狂おしい想いを断ち切ることができず、その苦しさゆえに、正妻・葵、年上の愛人・六条御息所、癒しの愛人・夕顔と、奔放に愛を求めて彷徨う。
源氏の実母であり亡き桐壺と生き写しのような藤壺は、源氏との禁断の恋に悩み苦しむ。

葵は正妻でありながら、なかなか源氏と打ち解けられず、つい冷たい態度をとってしまうが、懐妊をきっかけに心を通わせる。
夕顔は源氏に愛され逢瀬を重ねるも、ほどなく悪霊に取り憑かれて命を落とす。
六条御息所は年下の源氏との愛にのめり込んでいき……その思いが強いあまり、嫉妬から遂には生霊と化してしまう。

紫式部が綴る「源氏物語」はたちまち帝の心をつかみ、帝と彰子の間に男の子が生まれた。

これで道長の栄華は確固たるものとなり、紫式部の役目は終わるはずだった。
しかし、何故か紫式部は「源氏物語」を書き続ける。

そんな中、道長の友人・陰陽師の安倍晴明は、物語に没頭する紫式部に不穏な気配を感じ始め……。

「源氏物語」誕生の秘密に斬新な解釈で迫る歴史スペクタクル。

「源氏物語」誕生秘話をベースに、‘光源氏のラブストーリー’と‘紫式部のラブストーリー’が展開し、物語と現実の2つの世界が交錯するスタイルを取っています。
光源氏と恋人たちのめくるめく情事と、現実の世界での紫式部の秘めた恋が同時進行。
作者である紫式部が生きる現実と、光源氏らが生きる物語の世界が時空を超えて重なっていく様を描き出す。
しかも安部晴明は、その両方を行き来できてしまうというユニークな設定。
多くの女性を愛さずにはいられない光源氏と、そうと分かっていながらも源氏の魅力に抗えない愛人たち。
また、式部自身も秘めた想いを止める事は出来ない。
映画のストーリーとしては、式部と道長の関係に重きを置いており、式部の不安定な精神状態が「源氏物語」を作り出していくことになる。
平安時代を再現した宮廷のセットや内装、絢爛豪華な衣装とゴージャス感たっぷり。
源氏の生田斗真が主演扱いになってはいるが、この作品での実質的な主役は紫式部の中谷美紀と藤原道長の東山紀之。
そして脇を固める超豪華な女優陣。
多部未華子は可愛いんだけど、思わず笑っちゃうくらいカツラと十二単の衣装が似合っていない。
ただ出産シーンは熱演でした。
芦名星は生田君との濃厚なキスシーンを披露。
美形同士とあって、何とも絵になる。
蓮沸美沙子は顔立ちが古風っぽい雰囲気なので、ピッタリの役柄。
真木よう子は相変わらず色っぽい。
「私はあなたの母なのですよ!」
と拒みつつも源氏と身体を重ねてしまうシーンは必見。
一番おいしい役だったのが(ある意味、裏主役だ!)田中麗奈。
生き霊となるその姿は完全にホラーの世界。(華やかな着物がその瞬間、真っ黒に変わる)
「お前に何がわかる!」
時空を越えて物語の中に入り込んできた陰陽師の安倍と闘う際の表情が凄い。
(『雨月物語』の京マチ子に負けてないぞ!?)
ところがこれらの女優陣の存在を一気に掠めさせてしまうのが……特別出演の大ベテラン、佐久間良子。
とても72歳には見えない美しさ。
ちょっとオーバー気味の演技も往年の東映時代劇風で、そこが逆にいい。
さすが、元東映専属の看板女優!
それと室井滋の口に手を添えて「オーホッホ、オーホッホ」と、わざとらしく笑う演技が……まるでコントみたいで思わず失笑。
でもあくまでも「源氏物語」の小説の中の登場人物という設定だから、敢えてデフォルメ演技にしたのか?
角川の大作に○作なし……この伝統はきちんと引き継いだ(?)一本でした。
それにしてもかなり金をかけて製作し、宣伝もバンバンしているのにも関わらず、動員ランキング初登場5位はちょっと厳しい?!