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エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

某シネコンにて『ステキな金縛り』を鑑賞。


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【出演】
深津絵里、西田敏行、阿部寛、竹内結子、浅野忠信、草剪剛、中井貴一、市村正親、小日向文世、小林隆、KAN、木下隆行、山本亘、山本耕史、戸田恵子、浅野和之、生瀬勝久、梶原善、阿南健治、近藤芳正、相島一之、大泉洋、佐藤浩市、深田恭子、篠原涼子、唐沢寿明


【監督・脚本】
三谷幸喜




“証人はただ一人。落ち武者の幽霊”


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著名な人権弁護士だった父親の遺志を継ぎ、自分も弁護士になった宝生エミ。

しかし周囲の期待を裏切ってばかりの失敗の連続、将来性ゼロの三流弁護士でもう後がない……まさに崖っぷちだ!


朴訥だが、いざとなったら頼りになる(?)甘い物に目がない男、エミの弁護士事務所のボスでもある速水悠は、彼女を陰ながら支えてはいるが……。

「期待を裏切る名人だな、お前は」
「わたし、やっぱり弁護士に向いてないですかね」
「それ以前の問題だ!」


そんなエミが、妻・鈴子を殺した容疑で逮捕された矢部五郎の弁護を担当することになる。

「勝てる見込みは薄い。かなり厄介な弁護だぞ」
「はい!今度こそ頑張ります!」


被告人の矢部は無実を主張、完璧なアリバイがあるという。
なんと事件当夜のその時間、旅館の一室で金縛りに遭っていた……らしい。

「金縛り?」
「しかも落ち武者の幽霊が……」

無実を証明出来るのは、一晩中彼の上にのし掛かっていた落ち武者の幽霊だけだった!

「だから厄介だって言ったろ。こうなったら、その落ち武者を証人として連れてくるか?」
「………………」


裏付けを取るために、山深い中にある古びた旅館に向かったエミ。

そこでエミは、金縛りにかかり……落ち武者の霊と遭遇してしまう!


矢部五郎のアリバイを証明する唯一の証人……落ち武者の幽霊、更科六兵衛。
かつては北条家に仕える侍大将だったが、無実の罪で処刑され、以後421年間も成仏出来ずに化けて出ている。


エミは思う……‘これで裁判に勝てる!’

「法廷で証言してください!」
「いや、無理無理無理!」
「無実の罪で裁かれようとしている人を救ってほしいんです!」
「無実の?」

六兵衛自身も無実の罪で打ち首された過去がある。
被告人に自分自身を投影し、彼を助けるために一肌脱ぐ決意を固めるのだった。


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しかし、この六兵衛、すべての人に姿が見えるとは限らなかった。

「落ち武者の幽霊を連れてきました」

が速水にはその姿は見えず、
「本当にいるのか?」


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そんな半信半疑の速水を信じさせるべくエミはある作戦に出て、六兵衛が存在していることを証明してみせる。

「これは前代未聞の裁判になるぞ」


ところがエミの前には、一切の超常現象を信じない、敏腕カタブツ検事・小佐野徹が立ちはだかる!

「私はあなたのお父さんには大変世話になったし、感謝もしている。でも裁判では容赦はしませんよ」
「お手柔らかに……」


矢部の無罪を証言するために、遂に六兵衛は法廷に立つ!


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「証人の更科六兵衛さんです!」
「異議あり!」
「六兵衛さんは、本当にここにいるんです」
「バカバカしい」


エミはあの手この手を尽くして、六兵衛が存在していることを証明しようと奮闘。


しかし、小佐野はオカルトを真っ向から否定して、
「異議あり!こんなものはトリックだ!裁判を侮辱するにも程がある!」

六兵衛の証言は法的に無効であると断固主張。


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しかしエミは小佐野の微妙な異変を見逃さなかった!


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‘もしかして、六兵衛さんが見えているんじゃ?’

「小佐野さん、ひょっとして六兵衛さんが見えてませんか?見えてますよね?」
「……見えてる訳がないだろ!くだらん!」


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見えてる、間違いなく見えてる……そうエミは確信する。

「だけど、なんで見える人と見えない人がいるのか?」

やがてエミは‘見える3つの条件’を探り出すことに成功。

その条件とは……
1.最近、ついてない人
2.最近、死を身近に感じた人
3.○○○○


この3つの条件を満たしている人のみ、六兵衛が見えることが判明!


何としても‘見えている’と小佐野に認めさせねば、裁判には勝てない。

エミと六兵衛は、小佐野が認めざるを得ないある作戦を敢行し……。


一方、殺された鈴子の妹・日野風子とその夫の勉が‘陰陽師’を雇って、六兵衛を除霊しようとしていた。


人生のどん詰まりに立たされたダメダメ弁護士と、421年前に無念の死を遂げた落ち武者の間に生まれた奇妙な友情。


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果たして、二人は真実を導き出す事が出来るのか!?


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三流弁護士のエミが担当する殺人事件の弁護のため、被告人のアリバイを唯一証明できる落ち武者の幽霊・更科六兵衛を法廷に引っ張り出そうと奮闘する姿を描く、法廷サスペンスやファンタジー要素も盛り込んだハートフル・コメディ。


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『SR サイタマノラッパー』


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【出演】
駒木根隆介、水澤伸吾、奥野瑛太、杉山彦々、みひろ


【監督・脚本】
入江悠




“夢を諦めかけたすべての人に届け、このラップ”


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レコード屋もライブハウスもないサイタマ県北部にあるフクヤ市。

ニートのIKKUは、片田舎の狭い街の中を毎日ぶらぶらしながら、特にやることもなく……なんとなくいつの日か世界的なラッパーになるのを夢みている。


友人のTOM、後輩のMIGHTY、先輩のKEN、TEC、T.K.Dとヒップホップグループ‘SHO-GUNG’を組み、秘密基地でオリジナルトラックを作って、まずはフクヤ市でライブをやろうと考えていた。


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「だから今度のライヴの方向性をさ。西海岸系でいくか、東海岸系でいくか決めようぜ」
「海ないっすけど……サイタマ」
「アメリカのだよ!」


しかし現実のところTOMは、おっぱいパブの店員だし、MIGHTYは実家のブロッコリー作りで忙しい。


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「ブロ、意外と儲かるんすよ」
「ブロ?」
「ブロッコリー!」


そんなある日、高校の同級生の木暮千夏が東京から帰ってきて……偶然、IKKUはスーパーでバイトをしていた彼女と再会してしまう。


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千夏は高校を中退して東京でAV女優として活躍し、また地元に帰ってきたのだった。


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「あんた、いま何やってんの?そんな格好してさ、痛すぎだよ。ダンサーにでもなる気かよ?デブのくせに」
「ダンサーじゃねえよ。ラッパーだよ!」
「はあ?」
「ここサイタマから世界に向けてソゥル・トゥ・ソゥル!メッセージを送ってんだよ、俺らは」
「……宇宙人かよ、お前。そんなことより働けよ」
「…………」
「全然、変わってねえ。一生そのままだな、お前」


ところが、些細なすれ違いから、千夏のことを巡って次第にメンバーたちの夢がバラバラになっていく。

「千夏って、お前の高校の同級だったんだろ。どんな女だったんだよ?やっぱヤリマン?頼めばやらしてくれっかな?」

先輩メンバーの千夏を見下したこの言葉にIKKUは怒りを表すも……結局はビビって歯向かうことが出来ず……。

この諍いがキッカケでIKKUとTOMは、メンバーから外されてしまうのだった。


夢も希望も無くなったIKKUは、いつしかTOMとも疎遠になってゆき……やがてはヒップホップの服を脱ぎ捨て、焼肉店でバイトを始める。

とそこで、客として店に入ってきたTOMとばったり再会し……。




サイタマ県の片田舎で不器用にラッパーを目指す青年たちのどこか哀しく可笑しな日々をコミカル、且つシニカルに描いた青春映画。


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全編ほぼワンシーンワンカットの長回し撮影、随所にインサートされるラップなどの斬新な演出で、若者たちの青春を切り取っていく。


仕事もなく家族にも邪魔者扱いされる主人公が、がむしゃらに生きる姿をシニカルな視点で見つめつつも、決して夢を諦めない思いにこちらまで胸が熱くなる!


サイタマの冴えない若者が、ラップにでかすぎる夢を持つも敢え無く挫折。
信じていた仲間にも裏切られ、学生時代から秘かに思いを寄せていた女の子に告白もできず、一度は地元で慎ましく暮らすことを選ぶが……心の奥底でくすぶっていた炎をたぎらせ再起を誓う!

まあ、有りがちな感じのストーリー。
大部分は主人公のダメダメ、グダグダっぷりがたっぷり描かれるのですが、登場人物たちのキャラクターや、関係性に等身大のリアリティがあり、パッとしない空気感や、じれったさ、やるせなさなどが凄くよく表現されている。


ラップにもヒップホップにも興味はなくても、充分に共感できる内容。

主人公のIKKUは、青春を懸ける手段がたまたまラップだっただけで、これがロックでも或いは何らかのスポーツでも成立するストーリーかもしれないなと思いつつ観ていたら……ラストで‘やはりこれはラップでなくてはならなかったのだ’という必然性が明らかになる。

グループから泣く泣く脱退し挫折感に苛まれながらも、ニートからは脱却して焼肉屋でバイトを始めるIKKU。

その店に仕事帰りで作業着姿のTOMが同僚らと入ってくる。

ヒップホップから離れ、すっかり社会人らしい雰囲気になってしまったTOMにショックを受けるIKKU。しかし、そんな彼もエプロン姿に身を包んでいる訳だが……。

ここでIKKUのラッパー魂が爆発するのだ!

ラップに乗せて思いのたけをTOMにぶちまける。

「俺はこんな格好してるけど、夢は捨てちゃいないぜ。夢は諦めちゃいないぜ。なのにお前は夢を諦めちまったのか」

一方のTOMもラップで「俺はお前とは違うんだ。現実を見ろ」と言い返す。

切なくも哀しい‘ラップバトル’の応酬で物語の幕は閉じるのです。


固定カメラによるワンシーンワンカット長回しで延々と映し出されるこのクライマックスは、もの凄い緊張感に溢れていて観応え満点だ。



モヤモヤとした青春、毎日をダラダラ過ごし世間の冷たい視線を浴びながらも、とりあえず夢を追いかける主人公。
一見、かっこ悪くて情けないけど、絶対にブレない確固たる姿勢に思わずエールを送りたくなるでしょう。



IKKU役の駒木根隆介が好演!

デブで不細工だし、家では邪魔者扱いだし、ヤンキーに絡まれて抵抗もできずにボコボコにされるし、千夏からはキツイ言葉を投げかけられっぱなしだし、どうにもこうにもうだつの上がらない主人公。

仕事もねえ、金もねえ、女もねえ、自慢できるとこなんか何もねえ……でも、でっかい夢と希望だけは持ってる。

燻り続きの日常を打破しようともがく様は、痛々しくも……愛おしい。



それからヒロイン・千夏役のみひろが抜群にいい!
元AVギャルという実際のみひろとリンクする役柄を見事に演じ切っている。

クール、無愛想キャラでIKKUに毒舌を吐きまくるとこなんかサイコーです。

千夏に言いまくられっぱなしだったIKKUがボソッと、
「テメー、犯すぞ」

しかし千夏は全く動ぜず、
「ああ、犯してみろよ。できもしねえくせに、ほざくな、バーカ」

このシーンのみひろがメチャメチャかっこいい!


そんな千夏とIKKUの別れのシーンも秀逸。

狭い街で好奇の視線に晒され続け通しだった千夏は、再びフクヤ市を出て行く。
そこに駆け付けたIKKUは、遂に告白(?)するも……。

「どこ行くんだよ?旅行か?いつ戻ってくるんだ?戻ってきたらさ、飯でも食いに行かねえか?」

が、千夏は、
「もう二度と戻ってこないよ、こんな街」

学生時代から片思いだった千夏にあっさりとフラれるIKKU。

「じゃ、これ持ってけよ」
「何これ?」
「俺らの曲のCD」
「いらねえよ、こんなの」
「いいから持ってけって!道中で聴いてけよ」

餞別代わりにCDプレイヤーごと千夏に自分たちの曲が入ったCDを渡す。

「そんじゃ」

千夏は振り返ることもなく、ひたすら前を向いて歩を進めて行き……その後ろ姿をいつまでも見つめるIKKU……二人の複雑な思いが胸に響く!


そしてシーンは変わり、大きくて重い荷物を抱えて駅の階段を一歩一歩上がって行く千夏。

途中ですれ違う男子高校生二人組が千夏に気付き、ヒソヒソ話をしてはバカにしたように笑う。

そんな好奇の視線を浴びながらも、千夏は階段を上がる。

その後ろ姿は、人生の苦悩や重荷を背負っているように映り、しかしそれでも力強く生きていくという決意も滲み出ている印象深いシーンになっています。



『SR サイタマノラッパー』は青春映画の傑作だ!
1話の木南晴夏、伴杏里、今回の黒川芽以、山崎真実と、好きな女優が続々ゲスト出演してくる『謎解きはディナーのあとで』は、サイコーのドラマだ(^^;



そして~10時からは『HUNTER』と今夜からスタートの『カレ、夫、男友達』がもろにバッティング!


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桐谷美玲の『HUNTER』に、真木よう子、木村多江、夏帆のメイン3人に加えて高橋かおりと片岡礼子も出ている『カレ~』。


しかもその後は、中村静香が脇役出演の『ビターシュガー』まであるし。



火曜の夜は、ドラマが集中しすぎあせるあせる