『ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-』【2】 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-』


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高校生たちが戦国時代にタイムスリップし、現代とのあまりのギャップや自分の置かれた状況に戸惑いつつも、持ち前のバイタリティで、戦国の動乱の波を乗り越え、成長していく姿を描く青春SFファンタジー。


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タイムスリップ(タイムリープ)物の映画が大好きなので楽しみにはしていたものの、正直言って内容にはあまり期待していなかった。

安易なアイドル映画の域を出ていないお手軽な作品なのではないかと高をくくっていたら……これが意外や意外、よくできていてなかなか面白い!


他のタイムスリップ物と決定的に違う点は、高校生たちが何の特殊能力もなく、何の理由もなく、何の任務もなく、突然過去に飛ばされてしまうということ。
過去へと飛んだ何の変哲もない5人組は現代とのあまりのギャップや自分の置かれた状況に戸惑いつつも、持ち前のバイタリティと明るさで、戦国の動乱の波を逞しく乗り越えていく。


織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、明智光秀といった戦国の名将たちを目の前にしてもまったく動じない。
というより、よく知らないから動じる訳がない。
何たって、日本史赤点組だから。
あの信長も彼女らにとっては、チョンマゲをした‘ただのオッサン’なのだ(笑)。

「すぐに‘ウグイス’殺しちゃう人でしょ?」
この程度の知識……しかも間違ってるしあせるあせる

しかも信長に見せられた安土城の完成予想図を勝手にデコったり、一緒に写メを撮ったりとやりたい放題。
このように前半はコメディ要素が満載で笑わせてくれる。

だが、いつ死ぬかもわからない世界で必死に生き抜く人たちとの出会いが、何の目的もなくダラダラと生きてきた彼女らを少しずつ変えてゆき……最後には自分自身と、そして現実と未来とも向き合うという青春成長物語となっていく。

合間合間に、現代での悩みや苦しみ、親友との別れ……など様々なエピソードが回想シーンとして挿入されるので、戦国時代を経ての彼女たちの成長過程がより明確に浮かび上がってきます。


ご都合主義的展開だし、ツッコミどころも多いけれど、荒唐無稽のお伽話にあれやこれや言うのは野暮ってもんです。
単純に楽しめばいい、それだけ!(美少女が次々に登場するし)



女子高生がタイムスリップし戦国時代へ。
まさに『時をかける少女』と『戦国自衛隊』のおいしいところを頂いちゃった映画ですが(ま、角川映画配給だからOKか)その両作品へのオマージュ(?)ともとれる件りもある。
(と言っても自分が勝手にそう決め付けているだけなので悪しからずあせるあせる

まず『時かけ』を思わせるかのようなシーン。

タイムスリップして程なくケータイを開き、
「あ、圏外だ」

そのケータイを顔の前に差し出し「これがケータイよ!」と過去の人間に得意げに見せつける。

タイムスリップをした時、空から降ってくる。

これらのシーンは『時かけ』ファンなら、思わずニヤリとしてしまうでしょう?!


『戦国自衛隊』を彷彿とさせたところは……「絶対に現代に帰る」と主張するあさみに対し、「この時代で生きて天下を取るのもいいかも」と反論する優の件り。
これなんか『戦国自衛隊』に於ける「この時代で天下を取る!」と決めた隊長の伊庭に対し、「歴史を変えてはいけない。我々は現代に帰るべきです」と反論した部下の姿と重なるものがある。



それからあさみたちと行動を共にすることになる武士を夢見る百姓トリオ。
この3人がどうしてもイマドキの人間にしか見えない。
もしかしたら彼らも実はタイムスリップしてきた……なんてオチなのかと想像していたら、結局はそうではなかった。



ケンカ別れしてしまった優との連絡手段がなく途方に暮れるあさみに「ケータイならあるぞ」と声をかける吾作。
このケータイとは?
これが何とも温かみ溢れる‘戦国時代のケータイ’なのです。


あさみと利平、優と吾作は互いに淡い恋心を抱いているが……とうとう別れの時が訪れる。

敵と戦いながら「早く行け!」

「立身出世……だよ」
との言葉を残し、タイムホールに飛び込み現代に戻るあさみと優。

そして……無事に現代に戻れたあさみたちが博物館に足を運ぶと、そこに展示されていたのは……。

「立身出世……だね」


エンドロール後には、思わずニヤリのおまけエピソードも用意されています。

「もしかして信長さん、現代に来ちゃうの!?」



主人公のあさみを演じた有村架純が凄く可愛い。
そしてタイムスリップする前とした後の感情の違いを見事に表現。


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可愛いだけでなく、クライマックスで日本刀を抜いて構えた際の凛とした表情もカッコよくて惚れ惚れした。


ところがその有村架純を食うくらい可愛くて存在感抜群だったのが、あさみの親友・優役の竹富聖花だ!
思いついたらすぐ行動に移す活発な女の子の役柄が、ピッタリはまっていた。


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最近、ドラマの『HUNTER』にゲスト出演していたのを観てハンパなく可愛いなと思っていたけど、スクリーンで観る彼女はより可愛く魅力的。

演技も上手いし、何よりクルクル変わる表情がいい!
ちょっと気の強そうな雰囲気もいい!
今後に大注目の若手女優だ。(2~3年前の仲さんにどことな~く似た雰囲気だなとも感じたんですが。『純喫茶磯辺』の頃とかの)
次回作の『麒麟の翼』も楽しみ。


若手主体のキャスティングですが、信長役の松方弘樹が登場した瞬間、一気に画面が引き締まる。さすが大物!
なにげにお茶目な信長を遊び心たっぷりに演じています。



ちなみに『戦国自衛隊1549』の脚本を書いた人が、これの脚本も書いているようです。


それにしても近年のタイムスリップ物は『時かけ』も『BALLAD 名もなき恋のうた』も、ケータイが重要なキーワードのひとつになってますね。



単なるアイドル映画かと馬鹿にしていると足元をすくわれる本作。
これは掘り出し物の一本かと!



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(ロビーに貼ってあった出演者の直筆サイン入りポスター)