『日本のいちばん長い夏』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『日本のいちばん長い夏』


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【出演】
木場勝己、池内万作、キムラ緑子、湯浅卓、青島健太、山本益博、松平定知、富野由悠季、林望、鳥越俊太郎、立川らく朝、島田雅彦、田原総一朗、市川森一、江川達也、加納竜、半藤一利


【監督・脚本】
倉内均




“日本は如何にして敗戦を受け入れたのか?……現代を生きる日本人が忘れてはならない「日本のいちばん長い夏」の真実”


2010年夏、とあるテレビ演出家が終戦についての番組『日本のいちばん長い夏』を企画する。

それは昭和38(1963)年、雑誌の企画で行われた座談会を基に、太平洋戦争の中枢にいた者から一市民までを俳優以外の知識人たちが演じる文士劇だった。


演出家は、その座談会の司会を務めた当時の編集長、現在は作家の半藤一利に取材。

その座談会をいま活躍している文化人のキャスティングで再現する。


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異色のキャストが座談会メンバーに成り切り、ポツダム宣言や南方の戦地の様子、沖縄の惨劇などを語り尽くす……。


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現代のテレビ演出家を主人公に、過去に実在した座談会を再現ドラマにするといった形式の文士劇スタイルの作品。


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ジャーナリスト、脚本家、作家、アニメ監督、漫画家、アナウンサー、スポーツキャスター、大学教授、国際弁護士、医師兼落語家、料理評論家など、役者ではない現代の文化人や知識人をキャスティングするといった大胆な試みがなされている。


太平洋戦争の終結。
その舞台裏を明らかにする大座談会が、高度経済成長へと邁進しつつあった昭和38年、文藝春秋の呼びかけで開かれた。

集まったのは、日本を代表する知識人や政治家、官僚から俳優まで含む28 人の人々。

終戦時、軍部や政府の中枢にいた人、外地で戦争の最前線を体験した人、政治活動から獄中に入れられていた人、一庶民であった人など、様々な立場の人が一堂に会する、前代未聞の大座談会であった。

この座談会を実際に司会し、現在は昭和史研究家として知られる半藤一利氏本人の解説インタビューを織り交ぜながら、その大座談会をドキュメンタリードラマとして再現、改めてその意味を見つめていく。


この企画のきっかけは、テレビ演出家が父親の墓参りに行った際に、孫が「おじいちゃんから戦争の話を聞いていない」という話を受け、息子たる自分も全く聞いていないことに思い当たり、戦争の話を次の世代へ、また次の世代へと語り継がなければ……と決心したことから。


スタジオの大広間のセットに集結した人々が、戦争について延々と語り合うという異色作ですが、これが意外と面白い!
いつしかグイグイと彼等の話に引き込まれていってしまった。

台詞とはいえ実際の体験談だけに、その中身は超リアル。


戦争時におかれていたそれぞれの立場によって、その考え方が真逆なのが印象的。

軍の中枢部にいた者たちは、広島・長崎、東京大空襲、満州の悲劇などをまるで他人事のように見ていたことが分かる。

当時、スウェーデンに駐留していた元軍人に至っては、
「日本があれほど厳しい状況になっているとは思いもしていなかった」
と、能天気な発言を。

彼らにとって国民の命がいかに軽いものだったのかが窺い知れて、一種のゲーム感覚だったのかとさえ感じさせるような雰囲気すらある。


一方、ビルマ、中国といった最前線で砲火をくぐり抜けてきた一介の兵隊だった者、沖縄決戦や東京大空襲の現場にいた者は、当時の悲惨すぎる状況を語り、無残な死が生々しいほど身近に迫ってくる。

しかし、彼らは国の中枢を担っていた人間を目の前にしても、恨みごとを言うわけでもなく、ただ淡々と記憶を辿っていくのです。

「兵隊に敵愾心はない。そりゃあ、仲間が殺られればそういう気持ちは起きますがね」

「空襲も天災のように感じていた」

これらの言葉に、戦争を生き抜いた人々のリアルな実感がこもっています。


「無条件降伏は屈辱だった」と言う元軍の中枢部にいた人間に対し、名もない兵士だった人間は「戦争が終わって嬉しかった。思わず万歳をした」

これだけの温度差があったのだ!



ところで、プロの俳優と共に様々な文化人たちも役を演じているワケですが、普段カメラの前で話すのに慣れている人がほとんどなので、それが見事にハマっていた。

映画監督経験者でもある田原総一朗は堂々としており、鳥越さんはいつもの淡々とした調子、NHKアナウンサーの松平さんなんか、哀愁たっぷりの歌まで披露。
元ヤクルトの青島さんは、口ヒゲをたくわえての役作り(?)までする徹底ぶり。


その中で異才を放ちすぎていたのが国際弁護士の湯浅さん。(一番、目立つ役柄)
時に目をひんむいたりするオーバーな表情と仕草で、いやらしいまでに勿体をつけた理路整然とした話し方……役に入り込んでいるのか?素なのか?

ひとりだけ舞台俳優みたいな感じを醸し出しては浮きまくっていて、シリアスなシーンなのに一歩間違えると大爆笑ものの‘トンデモ’演技あせるあせる

が、この演技には下地があった!?
湯浅さん、映像特典のインタビューで、
「アメリカ留学中に、芝居やミュージカルの舞台に立ったことがあるんですが~」
と得意げに(?)語っていたのだ!

あの演技は舞台経験の賜物だったのか( ̄□ ̄;)

たけど……素人役者の中でも、湯浅さんの演技がいちばん下手だったような気も(笑)。