
【出演】
市川染五郎、ユンナ、ヤン・ジヌ、チョン・ミソン、大和田美帆、中村俊太、谷川昭一朗、峯村リエ、上田耕一、竹中直人
【監督・脚本】
けんもち聡
“大丈夫。幸せはすぐそばにある”
日本で映像の勉強をする憧れの先輩のイ・ヒョンジュンを追うように、自分も日本で映像を学ぶことを決意したチェ・ソラは、信濃大学に留学するためソウルから長野へ。

早速、ヒョンジュンのアパートを訪ねるが、彼は家庭の事情で休学して韓国へ帰国したと聞き、何も知らされていなかったソラはショックを受ける。
やがて秋……しかしソラは未だに日本での暮らしに馴染めず、寂しさは募るばかり。
しかも映像実習の課題である「興味の行方」の題材も決められないでいた。
「私、まだ日本に知り合いがいないから」
「別に知り合いじゃなくてもいいんだよ。君が興味を持った人なら。誰かいない?」
「…………」
そんな時、校内でドジな用務員・松元を見かけて……。
松元は用務員だけでなく、ピザ屋、新聞配達と3つも仕事を掛け持ちしていた。
そんな松元に興味を感じたソラは、課題の被写体として彼の日常を追い始めるうちに興味が増してゆき……。
「松元さん、私の撮る作品に出演してくれませんか?」
「え?無理、無理ですよ」
しかし彼女の強引さと熱意に負け、協力することに。

ある時、松元の部屋でダンボール箱に入れられた大量のガラス瓶を発見するソラ。
「これは、ゴミですか?」
「ゴミではありません」
そして……
「作品のタイトルが決まりました。『びんとおじさん』」
「おじさんって、僕?」
「そうですよ」

松元はソラが構えるカメラに向かってこう語りかける。

「瓶を通して見る風景が好きなんですよね。落ち着くっていうか。瓶の中には今いる世界とは違う別の世界があるように感じるんです」
やがて二人は、次第に心を通わせていくが……。
‘ソラさん、ありがとう。 びんをやめたおじさんより’

韓国から留学してきた女の子と、ガラス瓶を集めるのが趣味のちょっと変わったおじさんが、心を通わせていく姿をほのぼのと描くハートフルストーリー。
仕事で失敗ばかりのドジで冴えない中年男の松元と韓国からの留学生の女の子ソラ。
松元は友人に騙されて借金を背負い、それが原因で離婚し、人生への希望を持てなくなっている。
そんな彼の心のよりどころはガラス瓶。
ガラス瓶を通して見る世界に現実逃避し、暮らしている。
一方のソラも様々な葛藤を抱えながら日本で留学生活を送っている。
この二人がふとしたことから出会い、やがて心の絆が生まれ、互いに成長していくのです。
松元はソラに、
「頑張れば、絶対に未来はやって来るから」
と励ますが、それは同時に自分に対しての励ましの言葉でもある。
物語の結末をぼかした形にして、観る者にその後の展開を委ねるような終わり方もよい。
これは隠れた名作かもしれない!
静かで心温まるとても良い映画でした。
歌舞伎の凛々しいイメージとは全く真逆のうだつの上がらないおじさん役の市川染五郎が素晴らしい演技!
それからヒロイン・ソラ役のユンナが、とにかく超可愛い~~!(雰囲気がどことなく『美男ですね』のパク・シネに似ている?)

日本語の台詞も完璧で、何より表情の出し方が抜群にいいです。(エンディング曲も担当)
こんなに魅力的な女優が(本職は歌手らしいけど)韓国にいたんですね~~いっぺんでファンになりました!