『金田一耕助の冒険』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『金田一耕助の冒険』


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【出演】
古谷一行、田中邦衛、仲谷昇、山本麟一、吉田日出子、坂上二郎、東千代之介、樹木希林、熊谷美由紀、江木俊夫、草野大悟、小野ヤスシ、佐藤蛾次郎、南州太郎、小川亜佐美、赤座美代子、大泉滉、車だん吉、千うらら、石井めぐみ、高林陽一、田山力哉、志穂美悦子、斎藤とも子、笹沢左保、横溝正史、高木彬光、角川春樹、峰岸徹、岸田森、檀ふみ、岡田茉莉子、夏木勲、三船敏郎、三橋達也


【監督】
大林宣彦




“これでも映画か!?”




今や映画に、テレビに、文庫本にと大ヒットを飛ばし、一躍日本の大スターと化した(?)名探偵・金田一耕助。


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「あの……お名前は?」
「金田一耕助です」
「あーー!あの有名な言語学者の!」
「…………」


盟友・等々力警部と共に今日もグラビアの撮影に励んでいた。


しかし金田一の心は一向に満たされてはいなかった。
何故なら、現代日本では金田一が最も欲する「おどろおどろしい殺人事件」は起こりようが無かったからだ。

「美しい日本で美しい殺人が起きなくなってしまった……」


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そんなある日、金田一が‘病院坂’を散歩していると、突如謎のローラースケート軍団に拉致されてしまう。

その正体は、近頃話題になっている美術品専門の窃盗団であり、女首領のマリアは金田一の大ファンであった。


それ故に、過去に金田一が関わった事件である「瞳の中の女」事件が、結局は最後まで犯人がわからずじまいなのに納得がいかない様子。


マリアは当時、事件の重要参考物である‘不二子像’の首の部分を持っており、それを元に事件を解決に導いて欲しいと要求。


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しぶしぶと数十年前の事件の調査を再開する金田一であったが……。


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金田一耕助が未解決であった難事件に挑戦する姿を描くミステリーコメディ。


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全編に渡ってメチャメチャくだらないナンセンス・ギャグ&パロディの連発!


『犬神家の一族』『八つ墓村』『女王蜂』『獄門島』『悪魔の手鞠唄』『悪魔が来たりて笛を吹く』『病院坂の首くくりの家』の金田一シリーズをはじめ、『スターウォーズ』『スーパーマン』『チャイナタウン』『サタデー・ナイト・フィーバー』『雨に唄えば』『聖職の碑』『八甲田山』『人間の証明』『HOUSE』『瞳の中の訪問者』『シャーロック・ホームズ』『太陽にほえろ』『大都会』『白昼の死角』『血を吸う薔薇』『柳生一族の陰謀』『狼たちの午後』『ふりむけば愛』『名探偵登場』……等のシーンを、徹底的にパロりまくり!

他に当時流行っていたCMのパロディも満載だけど、なんせ32年も前の作品なので、その元ネタを知らないから「???」でしたがあせるあせる
(コーヒーのマキシムのパロディをしつこく繰り返していて……何故?と思ったら、大林監督が元ネタのCMを撮っていたからなんですね)


このシーンは可笑しかった。
取材陣に囲まれた等々力が、
「バラエティは来てないのか?バラエティは?」
「バラエティは『蘇る金狼』の方の取材に行っちゃってます」

多分、この映画と同時期に『蘇る金狼』も撮影されていたということか!?


それから公衆電話で話していると隣のボックスで着替えている男が……と突然、スーパーマンに変身して飛び立っていく。
そこでこの台詞。
「あ!空を見ろ!……晴れてるぞ」

ホント、くだらない(笑)。



超豪華キャスティングで、あっと驚く人も特別出演!

あの‘世界のミフネ’が劇中映画の金田一耕助役で登場し、薄くなった頭をガリガリすると~
「頭を掻きすぎて薄くなったのね」


岡田茉莉子は『人間の証明』の役そのまんまで出てきて、自分が刺し殺してしまった息子と仲良く食事をしながら、
「あの時のことは忘れてね」


そしてなんと横溝正史本人まで登場!


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これまた本人の角川春樹が横溝の自宅を訪れ、
「先生、これは原稿料です」
と大量の札束を差し出す……が、本物の札は上下二枚だけで中身は真っ白なただの紙。
すると横溝は、こう一言。
「中身が薄いですねぇ……私は、こんな映画にだけは出たくなかった」

当時、「角川映画は金ばかりかけているが、作品の中身は薄い」と批判されていたことに対する痛烈な自虐ネタ!


DVD特典映像でのインタビューで大林監督はこのように語っていました。

「確信犯的に客に顰蹙を買う褒められない映画を作った。大林作品の‘アク’が強く出た内容です。でも、ロマンチックであり文学的でもあり、大林テイストに溢れています」

(たしかに……遊び心満載のオフザケ映画なのにも関わらず、ラストは切なくて文学的香りもする)



それとヒロイン役の熊谷(松田)美由紀がスゲー可愛い。(撮影時、まだ17歳!)

この映画のすぐ後くらいに松田優作と知り合い、そして松田龍平、翔太が誕生するワケですね。



数ある大林作品の中でも異彩を放つ……ハチャメチャでシュールな内容ながら、隠れファンも多いらしい(?)『金田一耕助の冒険』。

超A級キャストから成る超B級オバカ映画でした。