
【出演】
佐藤浩市、キム・ガプス、チェ・イルファ、原田芳雄、筒井道隆、香川照之、柄本明、光石研、利重剛、麿赤兒、江波杏子、中本奈奈、平田満、白竜、浜田晃、佐原健二、山田辰夫、木下ほうか、水上竜士、田中要次、甲本雅裕
【監督】
阪本順治
“そのイニシャルから彼はこう呼ばれた……KT”
1971年、韓国第6代大統領・朴正熙の三度目の就任が決まったが、野党候補・金大中との差は僅か。
それも組織的な買収・妨害・脅迫など腐敗選挙の限りを尽くした上での辛勝であり、朴大統領はこの‘政敵’の存在に脅威を感じていた。
そんなある時、金大中の車に大型トラックが突っ込むという暗殺未遂事件が発生。
この事故で受けた怪我の治療のために日本を訪れた金大中は、朴大統領による非常戒厳令宣言を東京で知ることになる。
韓国国内では、KCIAによって朴軍事体制に反対する人々が強制連行され、「北のスパイを粛正する」という名目で苛烈な拷問を受ける事件も発生。
そして、金大中は日米間を往来する亡命生活を強いられることになるが……。
1973年4月。陸上自衛隊所属の富田満州男は、半島絡みの監視・調査などの諜報活動を任されていた。

一方、精カ的な国外活動を続ける金大中は、都内のホテルを転々と移動してKCIAの監視を逃れながら、日本の要人との会談と支援協カ依頼に励んでいた。
駐日韓国大使館公使・金俊権は、極秘で‘KT作戦’実行の命令を下される。
集められたのは金車雲の他5名。
自分たちの手だけで拉致暗殺を実行するという、あまりに大胆な作戦に戸惑いを見せる者もいるが、これは決して断ることの出来ない至上命令だった。
‘金大中暗殺計画!’
そんな時、自衛隊を辞める決意をしていた富田は、上層部からの命令で民間興信所の所長となり、ある任務を受けることになる。

それは、KCIAによる金大中の捜索であった。
やがて富田は、そこに潜む計画に深く関わっていくこととなり……。

「大統領候補を拉致・暗殺せよ」
空白の5日間に起きた謎の事件に迫るポリティカル・サスペンス。
1973年8月8日、金大中・が、九段ホテル・グランドパレスから突然姿を消し……その5日後、ソウル市内の自宅前で目隠し、傷だらけの姿で発見された。
当時、彼の消息を巡って日本、韓国、米国までをも巻き込んだ国家間の緊張は極限まで高まった。
拉致・暗殺指令を受けた諜報部員たちはなぜ彼を殺さなかったのか?計画に関わったとされる日本人が空白の5日間に取った行動とは?
政治的妥協という形で真相究明の道を閉ざされた事件の背後には、一体どんな真実が隠されていたのか?
巨大な組織の掟と時代の波に翻弄される……事件に関係した日韓の人物たちの心理と行動をスリリングに描写してゆきます。
疑惑、スパイ、拷問、秘密警察、至上命令、拉致、暗殺、裏切りなど、国家間の思惑に翻弄され破滅していく人々の悲劇とその奥に潜む熱い思い。
実話に基づいた骨太なセミドキュメントであると同時に、サスペンス、陰謀、アクション、友情、ロマンス……とエンタテインメントとしての要素も盛り込まれた見応え満点の作品でした。