
【出演】
ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓、伊勢谷友介、由利徹、横山あきお、原ひさ子、白川和子、吉野紗香、志賀廣太郎、内藤武敏、阿部サダヲ、香川京子、石堂夏央、山口美也子、木村多江
【監督・脚本】
是枝裕和
“貴方の一番大切な思い出は、なんですか?”
月曜日……霧に包まれた古い建物に吸い込まれていく22人の老若男女の死者たち。
彼らはこの施設で天国へ行くまでの7日間を過ごすことになっているのだ。
そこで待ち受けていた職員が、こう告げる。

「あなたは昨日、お亡くなりになりました。あなたにとって一番大切な思い出をひとつだけ選んで下さい。いつを選びますか?」
選ばれた思い出は職員たちの手で撮影され、最終日には上映会が開かれるという。
職員の望月、川嶋、杉江、しおりらは分担して死者たちから思い出を聞きだし、撮影のための準備を進めていく。
それが彼らのここでの仕事だ。

死者たちはそれぞれに大切な思い出を選択していくが、望月の担当する渡辺だけは、なかなか思い出を選べずにいた。
悩む渡辺は、自分の70年の人生が録画されたビデオを見る。
そこに映し出されたのは……新婚時代の渡辺の妻。
その映像に目を奪われる望月。
この夜を境に、望月、しおり、渡辺、それぞれの感情は大きく揺れ動き始めて……。
そして職員たちの演奏に見送られ、試写会が開かれる土曜日。
望月にとって、今までとは少し違う7日間がようやく終わろうとしていた。
やがて物語は意外な結末を迎える……。

死んだ人が天国へ辿り着くまでの7日間に最も大切な思い出をひとつだけ選ぶ……という設定を通して人生の意味について見つめ直す物語。

死んでから死後の世界へと旅立つまでの1週間、死者達は「そこ」で一番大切な思い出を選ぶ。
その思い出は、彼らと「そこ」のスタッフ達の手によって映画として再現される。
そして、その記憶が頭の中に鮮明に蘇った瞬間、彼らはその「一番大切な記憶」だけを胸に死後の世界へと旅立っていくのです。
ドキュメンタリーとフィクションの融合のような撮り方をしており、台詞なのかアドリブなのか判別つきにくい箇所もある。
役者だけでなく、一般人も死者役で出演していて、彼ら(彼女ら)自身の実際に‘一番大切な思い出’を静かに語ります。(実体験だけに、かなりリアル)
その中でも抜群に面白い話を聞かせてくれるのが、由利徹。
お得意の(?)エロ話を独特の口調で話す様は、何とも可笑しい。
まだメジャーになる前の伊勢谷友介の尖んがりぶりも見どころのひとつ。
今よりも垢抜けない雰囲気ですが、抜群の存在感。
それから、これまた売れる前の木村多江が台詞なしのチョイ役で出演しています。
この作品を観終えた後には、誰しも「自分の一番大切な思い出は何だろう?」と考えさせられるのではないでしょうか。