『夢の中へ』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『夢の中へ』


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【出演】
田中哲司、夏生ゆうな、村上淳、オダギリジョー、市川実和子、岩松了、麿赤兒、温水洋一、手塚とおる、小嶺麗奈、菜葉菜、臼田あさ美


【監督・脚本】
園子温




“今日、ヘンな夢を見た!!”




俺、鈴木ムツゴロウ。
役者をやって早や10年。
恋人と愛人の間で、逆ギレし、酔いつぶれた俺は、夢の中で、テロリストになり死にかけていた。
が、また目が覚めると今度は父親そっくりの男に尋問をうけている。
夢に現実が侵食されるのか?本当の俺はどこにいるのか?! 
俺はいったい何者なんだ!!


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役者歴10年だが、未だにブレイクしない鈴木ムツゴロウ。

同棲中の恋人・タエコは売れない彼に愛想をつかしている。

鈴木には三流小劇団の女優・ランコという愛人もいる。


ある日、鈴木に異変が!
小便がしみるのだ。


すぐに性病だと直感した鈴木は、ランコと同じ劇団員が小便を痛がっているのを見て、彼女を追及するが……逆ギレされ家を追い出されてしまう。


さらに自分の家に帰ると、今度はタエコが家出の準備を。


そんな一日が終わり、倒れこむように眠った鈴木だが……夢の中で彼を待ち受けていたのは、なんとテロリストになった瀕死の自分だった!


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目が覚めると、今度は取り調べ室で父親そっくりの男に厳しい尋問を受けている。


これは夢か、現実なのか? 
それとも夢に現実が侵食されているのか? 


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どれが現実か、区別がつかなくなり……。


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ある夜、すべてが爆発する!
今まで生きてきた人生すべてに対し、反省と怒りが込み上げてきたのだ。

夢の中の鈴木は、
「これですべて終了!」
と宣言。


「俺は、いつから俺じゃないのか!?」


夜の道を絶叫しつつ、「夢の中へ」を歌いながら走り抜けていく……。




園監督の分身ともいえる鈴木ムツゴロウが遭遇する摩訶不思議な世界を描いた爆走エンタテインメント。



女たらしで酒と煙草が大好きなダメ俳優の鈴木は、夢と現実が激しく交錯していき……次第に現実との境界が曖昧になっていく。

辛い現実に苛まれる鈴木が、いくつかの夢と現実を行き来する……という描き方をすることにより、重苦しさと軽快さが程よく同居している。


その鈴木を演じた田中哲司の感情表現は秀逸!

時にコミカルに、時にシリアスに見事な演技を見せてくれます。


それから電車内のシーンでのオダギリジョーの異常なくらいの壊れっぷりは、凄いの一言!必見!

そのオダギリジョーの彼女役で登場し、車内で鈴木をおもいっきり誘惑する菜葉菜の超エロい演技もこれまた必見!


他にもひとクセもふたクセもある濃い面子が揃っています。



かなり実験的な撮り方をしているので、好き嫌いがハッキリと別れる作品かと。

園監督にしては珍しく、ワンカット長回しを多用しており、その緊迫感はハンパない。

また、放送禁止用語的な台詞もバンバン飛び交います。



それとオープニングとエンディングに流れる曲が、ショパンの「別れの曲」で、それと共に8ミリフィルムによる様々な風景の映像が映し出される。

これは~~正に『さびしんぼう』風な映像……と思いきや、なんと「別れの曲」の音源は『さびしんぼう』のサントラから使用したものだった!
(エンドロールでスーパーが出ます)

大林宣彦監督作品へのオマージュ???