
【出演】
坂井真紀、星野源、津田寛治、佐藤仁美、宇津宮雅代、新田恵利、斉木しげる、鶴見辰吾
【監督】
熊切和嘉
“最後にしたの、いつだっけ?”

東京で芸能人をやってみたけど鳴かず飛ばず。
マネージャーと結婚したものの……即離婚!
三十路半ば、バツイチ出戻り、実家の神社で家事手伝いの坂東ノブ子(通称ノン子)。

そんなノン子に父親は頭ごなしに怒鳴り、母親は腫れものに触るように接している。
結婚して娘もいる妹は、これ見よがしに、
「お姉ちゃん、いつまで甘えてる気?ていうか、幾つよ?フツーに痛いって」
と痛烈だ。
逃げる場所も飛びたつ基地もない、狭くて古ぼけた田舎町で、ママチャリに乗って、バツイチ女友だちが経営するスナックで酒を呑むのがせめてのお出かけ。
オシャレもセックスも……いつしたかもう分からない。
そんなやる気なしのノン子は、神社の祭りでヒヨコを売ってひとやま当てようという若者・マサルと偶然に出会い……露店商を仕切る安川の家に連れていくはめになる。
そして……
「このコ、しばらくウチに泊めるから」
ア然とする両親。
こうしてマサルは、祭りの日までノン子の家に厄介になることに。

世間知らずで情けないけれど、ひたすら一途で真っ直ぐな年下クンに、笑顔を忘れたオンナが、閉ざしていた心を少しずつ開いていく。

ところがそんな時、別れた前夫・宇田川が現れたことから、ノン子の心は大きく揺れ始めて……。


ダメダメ三十路女の生態をリアルに描く青春ラブストーリー。
イタくて、甘くて、ほろ苦くもあるけれど、ココロとカラダを優しく潤し、自分らしさを実感させてくれる三十路オンナの恋愛。
「人生捨てたもんじゃないかも」と前向きな余韻が残る。
‘あした’がくるのが、ちょっと嬉しくなり……厳しい現実の中でもポジティブに歩いていく気にさせる爽快な後味。
36歳は若くもなく、かと言ってまだそんなに年でもない微妙な年齢。
未来が開けているわけでもないけれど、完全に終わっているわけでもない。
そんな微妙さを見事に表現していました。
ノン子はダメダメ女だが、そのノン子を取り巻くヒヨコを売る青年・マサルと、前夫の宇田川も同じくダメダメ男。
やがてノン子は、今の自分だけでなく、ふたりの男とも決別し、新たな第一歩を踏み出してゆくのです。
サンダルを突っかけ、超ヘビースモーカー、口は悪く、仏頂面で愛想のカケラもなしのノン子を演じた坂井真紀。
全裸でのかなりハードな濡れ場を披露するなど、体当たりの演技を見せてくれます。