
【出演】
妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈、韓英恵、中村蒼、長塚圭史、山内圭哉、古舘寛治、あがた森魚、青木崇高、千代将太、早織、三浦友和
【監督】
山下敦弘
“その時代、暴力で世界は変えられると信じていた……”
1971年。若きジャーナリストと革命家。
二人の出会いが引き起こした衝撃の事件!

東大安田講堂事件をきっかけに全共闘運動が急激に失速を見せていた1969年。
理想に燃えながら東都新聞社で週刊誌編集記者として働く沢田雅巳。

彼は激動する“今”と葛藤しながら、活動家たちを追いかける日々であった。
取材対象である活動家たちの志を理解し、共有したいという思いと、ジャーナリストとして必要な客観性の狭間で激しく揺れ動く心。

それから2年……取材を続ける沢田は、先輩記者・中平とともに梅山(本名・片桐優)と名乗る男からの接触を受ける。

「銃を奪取し武器を揃えて、我々は4月に行動を起こす!」
赤邦軍のリーダーで革命に燃える梅山。

沢田は、その男に疑念を抱きながらも、不思議な親近感を覚え魅かれていく。

「何か‘事’を起こす時は、僕だけに取材させてくれ」
「……もう起こってますよ」

そして、事件は起きた。
「駐屯地で自衛官殺害」のニュースが沢田のもとに届くのだった。

梅山の指揮で、陸上自衛隊基地を襲撃したのか!?
彼は思想犯なのか?はたまた殺人犯なのか?
1960年代後半~70年代前半の学生運動を舞台に、理想に燃える若手ジャーナリスト・沢田と、革命を目指す学生活動家・梅山との出会い、立場の異なる二人がそれぞれの理想を追い求めて葛藤し、激動する時代を駆け抜けていく姿を描く社会派青春ドラマ。

今の日本が失った“熱”が渦巻いていた時代を見事に描き切り、現実と理想のギャップに悩み苦しむ若者たちの姿が鮮烈。
時代に翻弄された彼らは、何を信じて行動したのか?何になりたかったのか?
そのことを深く考えさせられました。
沢田と梅山は、共感し信頼しあいながらも……実はお互い、利用しようともしていた。
この二人のあやふやな関係が興味深く、また革命運動に対する受け止め方も対照的なのです。
革命運動に飛び込んだキッカケは東大安田講堂事件だったと語る梅山。
「テレビで見て、これだと思ったんです」
一方の沢田は、
「俺は苦しかった。報道側から見てたけど、同じ大学の奴らが負けていくのを安全地帯から黙って見ているというのは……」
当事者と傍観者、同じ事件でも受け止め方が違う二人。
ラストが秀逸!
ひとり、居酒屋のカウンターの沢田……と、堪えきれずに涙がドッと溢れ出てくる。
ジャーナリストとしてニュースソースの秘匿を守ろうと会社や警察と戦うも逮捕されてしまい、結局は権力に屈してしまった末に味わう敗北感と挫折。
彼が慟哭する長い長いシーンで物語の幕は閉じる。
重く暗い内容ではあるものの、骨太で見応え満点の実録社会派作品でした!
妻夫木聡は、『悪人』もよかったけど、今作ではそれ以上の名演と言ってもいいくらいの素晴らしさ。
特にラストの泣きの演技は必見です。
女子的には妻夫木と松ケンの共演も見所の一つかと思いますが、男子的には石橋杏奈と忽那汐里の共演が見所!
二人とも平成生まれなのに、古風な雰囲気の美女というか……70年代の女の子の役がピッタリ!
特に石橋杏奈は、『時かけ』『色即ぜねれいしょん』に続いて3度目の70年代の女の子役です。

忽那汐里は、沢田が所属する‘週刊東都’専属の表紙モデルで女子高生の倉田眞子役。
彼女は沢田に淡い恋心を抱いています。

「映画を観て泣く男は情けないよね」
と言う沢田に対して眞子がポツンと言う台詞が印象的。
「私はそうは思わないな。きちんと泣ける男の人って好き」
凛とした雰囲気が可憐で美しく、とても魅力がある女優ですね。
ちなみに劇中では、眞子が表紙を飾った週刊東都が何冊か登場。

いかにも70年代風で、かなりリアル?
あ、それから『時かけ』ファンの皆さんは~和子、ゴテツ、ゴロちゃんの3人が出ているのにも注目してください(笑)。