『ブラインドネス』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『ブラインドネス』


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【キャスト】
ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、アリス・ブラガ、伊勢谷友介、木村佳乃、ダニー・グローヴァー、ガエル・ガルシア・ベルナル


【監督】
フェルナンド・メイレレス




“全世界、失明。
謎の伝染病によって視界を奪われた人間たちは、やがてその本性を露わにしていく”




ある日、運転中の日本人男性の目が突然見えなくなる。


それは悪夢の始まりだった。


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普通は失明すると暗くなるはずが、視界が白い光で溢れたようになるという症状で、彼は通りがかりの男に助けられてなんとか帰宅し、妻に連れられて眼科に向かう。


ところが眼科医には原因が全く分からない。

すると、翌朝……その眼科医の目も見えなくなっていた。

しかも彼だけではなく、病院の待合室に同席した人々など、日本人男性と触れ合った人々が次々に失明していき、同じ症状を持つものが爆発的に広がっていく!

各地で同時発生した‘白い病’は、爆発的な伝染力を持っていた。
原因不明、治療法もない。


ところがただ一人、眼科医の妻だけは、症状を持つ人々と触れ合ってもなぜか失明が始まらなかった。


政府は深刻な感染症だと判断し、感染したとおぼしき人々を強制隔離することに決定。

眼科医の妻も失明したように装い、夫と共に収容所に入る。


失明した人々ばかりが集まる収容所では、衛生状態の悪化、収容人数の増加による食糧不足、管理側の軍の非協力など様々な問題が起こる。

軟禁された患者の群れの中で渦巻くのは……不安と恐怖、苛立ち、そして醜い争い。


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そんな時、第三病棟の王を名乗る男が現れる。

彼は独裁を始め、秩序の崩壊した極限下、食糧と引き換えに金目の物や女性を要求し、凄惨な様相を呈していく。


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やがて、第三病棟の独裁に耐えきれなくなった患者たちは遂に反乱を起こす。

病棟内が火災で燃えつきるほど激化し、人々は収容所の外へ出ざるを得ない状況に陥った。

いつもならば、病棟の周辺を警備している兵隊の発砲があるハズなのに今回はどういうワケか無い。

収容所の外で何かが起こったのか?

違和感を覚えながらも人々は歩きだす。

だが、眼科医の妻の目だけは収容所の外の世界の変貌を見ていたのだった……。


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視界が真っ白になる伝染病が蔓延する状況下で、人間の本性や社会の恐怖をあぶり出していく心理パニック・サスペンス。



謎の‘白い病’に冒され盲目化した人々の恐怖と不安、そしてかすかな希望のドラマが緊迫感たっぷりに描き出されていきます。


‘見えること’と‘見えないこと’が生み出す現実を徹底的に突き詰めていく!


感染者を隔離した劣悪な環境の収容所。

やがて権力者が出現し、女性が食糧の対価にまでされる。

生きるために自ら進んで、権力者軍団の餌食になる道を選ぶ女性たち。

同じ病棟の男たちは、同じく生きるためにそれを容認するしか出来ない……その中に自分の妻がいるにも関わらずだ。


そんな悲惨な状況が浮き彫りにするのは、人間の醜さ、愚かさ。


しかしその一方で、見えない者だけが共有できる感覚や感情が次第に生まれてくる。

ただひとりだけ目が見える主人公は、二重の意味で孤立しているが、彼女を中心とした‘擬似家族’的な集団が、それぞれに見えることと見えないことの苦悩を乗り越えていく時、他者との新たな関係が築き上げられていくのです。

その擬似家族は……白人、黒人、アジア人、ラテン人と多様な人種構成。
(ちなみにこの作品では、登場人物たちの役名はない)

彼らがひとつになった時、やっと平穏が訪れ、光明が見えてもくる。



物語の発端となるのが日本人夫婦。

その夫婦を演じる伊勢谷友介と木村佳乃は、かなりおいしい役どころ。

また二人共、海外での生活経験があるので、英語の台詞も全く違和感がなく堂々たる演技を見せてくれます。