『クヒオ大佐』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『クヒオ大佐』


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【出演】
堺雅人、松雪泰子、満島ひかり、中村優子、新井浩文、児嶋一哉、安藤サクラ、内野聖陽、大河内浩


【監督】
吉田大八




“奪ったのは女性たちの心と1億円!?
世界一愚かだけど憎めない実在の結婚サギ師の物語”




彼の名は、ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐。(‘エセ’アメリカ人)


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流暢な(わざとらしい?)日本語で戦場での武勇伝を語り、次から次へと女性を騙す稀代の結婚詐欺師である。


その日のターゲットは、博物館の学芸員・浅岡春。

クヒオは、子供たちを引率する彼女に、
「あなた、子供、嫌いでしょう」
とだけ声をかけて去っていく。

唐突に言われ、言葉を失う春。


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そしてクヒオは、彼を捜しにきた小さな弁当屋の女社長・永野しのぶと宿泊先に戻る。


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地味な性格で男と縁のなかった彼女は、すでにクヒオに夢中!

「入籍すれば、米軍から5千万円の支度金が貰えるんだ」

「英国のダイアナ妃のドレスを手がけたデザイナーにウエディングドレスを発注する。でも前金として100万円が必要でね」

こんな胡散臭い言葉にすらうっとりし、社交界へのデビューに備えて英会話のレッスンにも励んでいる。


その翌日、クヒオは再び春の職場を訪ねて経歴をアピール。

春は次第に興味を持ち始める。


しかし……クヒオが新たなターゲットに選んだのは春だけではなかった。


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銀座で働くNo.1ホステス須藤未知子にも目をつけ、投資話を持ちかける。

まさにあの手この手。
しのぶや春が、彼の要求に応えようとする一方で、未知子だけは彼を逆に欺こうとし、銀座の女のしたたかさに困惑気味のクヒオ。


そして……やがてほころび始めるクヒオの嘘。

徐々に膨らんでいく女たちの疑念。


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春はこう訴える。
「どうして私なんですか?私なんか騙してもお金なんかないのに」
「それは……」


果たして、クヒオは!?
女たちは!?

そこに、本当の愛は存在しなかったのだろうか!?
夢の中でしか生きられなかった男と女に未来はあるのか!?


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「父はカメハメハ大王の末裔。母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ。結婚すれば米軍から結婚支度金5千万円」
かつて、このようなデタラメを並べて、女性たちから推定1億円を騙し取った男がいた。
そんな実話をベースにした可笑しくも哀しい詐欺師の物語。




自称クヒオは、もちろんアメリカ軍の大佐などではなく、生粋の日本人。
しかし鼻を高く整形し、英語訛りの日本語を操り(ちなみに英語はほとんど喋れない)ありとあらゆる嘘をつきにつきまくる。

どう考えても不自然なのに、コロッと騙されて金を貢いでしまう女たち。

ところがこれが実話だというからオドロキ!



滑稽だけれど、どこかチャーミングなクヒオ大佐と女性たちが織り成すドラマを、単なる詐欺師と被害者という関係を越えたそれぞれのラブストーリーとして見せていく演出が面白い。

また、クヒオの孤独な内面を映し出したエピソードも明かされ、彼がなぜ詐欺師になったのかがちょっと納得できるような結末になっています。


クヒオが独特の口調でペラペラと戯言を繰り返す度に、観ているこちらは思わずイライラあせるあせる

それくらい堺雅人の演技は素晴らしかったってことですかね。


それから満島ひかりは、この作品でも輝いています。

惚れ惚れするほどの見事な演技を披露。