『東京島』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『東京島』


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【出演】
木村多江、福士誠治、窪塚洋介、鶴見辰吾、柄本佑、染谷将太


【監督】
篠崎誠




“人間の欲望を駆り立てる島
彼らはそこを〈東京島〉と呼んだ”




私は生きる。
男たちはどうする。
男ひとり、女ひとり



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「お前、変わったな」 ~サバイバルに目覚めた女~


夫婦ふたり旅の途中で嵐に遭い、清子と隆は無人島に漂着する。

夫に従うだけだった43歳の清子は、救助を待つ日々の中で、蛇を捕らえて食料にするなど、思いがけないサバイバル能力を発揮。

一方、隆は小屋に閉じこもって心身ともに衰弱していき、何の役にも立たない。

「東京から持ってきた物の中で、一番いらなかった物はこの人だったんだ……」


男16人、女ひとり 

「みんなが私を欲しがっている」
~無人島の女王になった女~


ある日、16人の若い男たちが流れ着く。与那国島での厳しいバイトから逃げてきた日本人のフリーター集団だ。

彼らは島を「東京島」と名付け、“シブヤ、ブクロ、ジュク”といった集落を作り共同生活を始めた。

そんな時、事故か自殺か、それとも誰かの仕業か……隆が崖から落ちて死亡。

まもなく清子は、男たちを暴力で支配するカスカベと夫婦同然の暮らしを始める。


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彼らは島でたったひとりの女である清子を女王のように崇めるが、嫉妬深いカスカベは、彼らが清子に取り入ることを絶対に許さなかった。

「俺の清子に話し掛けるな!」


男22人、女ひとり 

「犯人はこの中の誰か、かも?」 
~泣き崩れる不吉な女~

さらに、密航に失敗した6人の中国人たちが流れ着く。
彼らは野生の豚を狩って解体するなど、日本人よりも遥かに逞しかった。

清子はリーダー格のヤンに気に入られ、豚肉を分けてもらうが、カスカベは清子が身体と交換に肉を手に入れたと疑う。

「ぶっ殺してやる!」

怒り心頭で中国人の元へと乗り込んでいくが……翌朝、崖の下でカスカベの死体が発見される。

「中国人に殺られたのか?」

トーカイムラにひとりで住むワタナベは、
「犯人はこの中の誰か、かも?」
と意味深な言葉を。


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こうして彼の死を境に、島のバランスは大きく崩れ始めていく。


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男21人、女ひとり 

「清子さんの夫をクジ引きで決めたいと思います」
~年下の男にときめく女~ 


途方に暮れていた清子のもとに、オラガがやって来る。
皆で話し合った結果、争いを避けるために清子の夫をクジ引きで決めることにしたというのだ。

最初は嫌がっていた清子も、
「私は東京島のトキ、絶滅寸前の天然記念物だから仕方ないか」
と、あっさり了承。

クジ引きの日、清子はスカーフで仕立てた大胆なビスチェをまとい花嫁気分で登場するが……夫に立候補したのは、たったの6人だった。

「え?全員じゃないの?全員が立候補するって言ったじゃない!」

そして、清子の3番目の夫に決定したのはGM。
彼は漂流時に記憶を失くしたという謎めいた優しい男。
そんなGMに母性本能をくすぐられ、いつになくときめきを感じてしまう清子だった。


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東京人VS中国人 

「俺の女になるなら乗せてやる」
~二股をかけるタフな女~

しかし清子は、ルールを作り、平穏に暮らそうとする東京人たちに苛立ちを感じていた。

「何かあの人たちを見てるとイライラするのよね」

脱出計画をたてながら逞しく生きる中国人に比べ、日本の若い男たちは平和ボケで酒浸り。

やがて、小さなイカダ船を完成させたヤンは、
「俺の女になるなら乗せてやる」
「……行かない。私には夫がいるから」
こう一度は断った清子だが……。

「麻婆豆腐、青椒肉絲、……島から出れば美味いものが何でもたらふく食えるよ!」
「……ケンタッキー!ケンタッキーがいい!」

食べ物に釣られて、思わず船に飛び乗る清子。


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船に乗せてもらえなかったワタナベの悪態が、波にかき消される。

「女なんかみんな死んじまえ!」


そうして漂流の末に、やっとたどり着いた島……しかしそこは……。


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「何がハッピーエンドかは、自分で決めるわ」




“助けの来ない無人島に、男23人と、たったひとりの女。
現代社会の縮図、東京島で一体何が起こるのか?
ココロもカラダも解放されるサバイバル・エンタテインメント”



変化することでしなやかに、したたかに生き抜くヒロインと、仲間たちとつるんでソツなく生きる現代の若者たちの姿を映し出していきます。



夫に従う主婦→サバイバルに目覚める女→女を武器に男を利用する女……と変わり続ける清子。


一度は島の女王の如く君臨しますが、力関係の中でやがては凋落していく。
それでも次々と訪れるトラブルの波を、本能のままに生き抜く様は、ユーモラスでありながら、潔くもあり清々しささえ感じる。

清子の力の源は、女であることを全面肯定する強さ。
目的はただ一つ、「生きる」こと!


日本人と中国人、2つのグループの間を本能のおもむくままに渡り歩き、生きるために、何が何でも島を脱出すると決意した彼女の揺るがない思いは凄まじいものが。


それに比べて日本人の男たちの何とも情けないこと。

現実に悲観してふさぎ込む夫、頭がおかしくなってしまう男、グダグダ言い訳ばかりする男、自分では何も出来ず、しようともしない男……等など。

ただ一人だけ例外なのが、亀の甲羅を背負った不思議キャラのワタナベ。

清子の天敵ともいえる人物で、急所を突いた罵詈雑言の数々を浴びせ彼女の狡さを暴くのです!