『14才のハラワタ』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『14才のハラワタ』


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【出演】
長野レイナ、水嶋瑞希、五十嵐令子、武田勝斗、橘ゆかり、松田洋治


【監督・脚本】
佐山もえみ



“まるで、呼吸のように……”



「髪はボサボサ、制服はシワシワ、靴はピカピカ……私はアンバランスなのである」


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中学2年の女の子、原田ワタル……略してハラワタ。


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周りにいる人達がハラワタは大好きだ。


他人に自分のことを羨ましがらせるのに、勉強にもオシャレにも躍起になるナツキ。


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「こんなチャラチャラしてるのに勉強が一番ってさ、優等生にはショックが大きいじゃん」
「だからわざとそんな派手にしてるの?」
「そうだよ」


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そんなナツキに嫉妬しながらも、同時に憧れてもいる青木さん。


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見た目は軽いけど、お金の重さもちゃんと知ってる塾長。


青木さんの弟でいじめられっ子のガリ勉、祐輔。


そして、なかなか家に帰らず、どこか掴み所のない靴磨きが好きなお父さんと、そんなお父さんを心配しながらも飄々としている料理が大の苦手なお母さん。


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ハラワタは、そんな人たちに囲まれながらも……とにかくマイペース、マイペース。


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授業をサボってひなたぼっこ。塾でも勉強に身が入らないが、塾長や祐輔とのさりげないやりとりは、何だか和やかでちょっぴり楽しい。


家では仕事帰りのお母さんと囲むスーパーのお惣菜が並ぶ食卓。

今日も帰らないお父さん。

お父さんとお母さんの複雑な関係も、寝室に転がる風船の謎も、ハラワタはありのままを受けとめる。


そんなある日、お父さんがとうとう家を出て行ってしまった。

お母さんは、ハラワタを部屋に呼び、ある事を教える。
それは、「毎日を“消化”する方法」。


ナツキも、青木さんも、塾長も、祐輔も、お父さんも、お母さんも……みんな自分のペースで、てくてくと一生懸命、生きている。


何でもないようなそんな事に気づいたハラワタは、今日も寝グセ頭のまま学校へと駆けて行く。

いつもより少しだけ気分がいい朝だった……。


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14才の女の子の日常を淡々と綴る人間ドラマ。


小さい事から大きい事まで、色んな事が起きる毎日。
でも、それをキチンと吸い込んで、吐き出して、みんな過ごしている。

主人公、原田ワタル=ハラワタは、そんな人たちにそっと寄り添いながら、まっすぐな視線で毎日を見つめている。


そんな普段見落としがちな穏やかな日常を細やかに描き出します。

家族といる時のくすぐったいような空気、教室や体育館の暖かい匂い、下校途中に降り出した雨の凛とした冷たさ。

静かで優しい毎日が浮かんでくるような60分の短編。



これがデビュー作の佐山もえみ監督は、なんと弱冠19才の女の子。

その若さでこれだけの作品を撮ってしまうとは……オドロキです!

あの三木監督や松江監督も絶賛していただけあり、地味ながら観応え十分の小品でした。