
【出演】
南原清隆、永作博美、筧利夫、今井雅之、勝野雅奈恵、原田夏希、柴田理恵、風間杜夫、宝生舞、寺島咲、厚木拓郎、森田直幸、窪塚俊介、高橋かおり、並樹史朗、油井昌由樹、柴山智加、村田雄浩、山田辰夫、左時枝、小日向文世、根岸季衣、入江若葉、峰岸徹
【監督】
大林宣彦
野原健大は売れっ子のイラストレーター。
売れない時代から支えてくれた妻のとし子、そして二人の息子と暮らしている。
そんなある日、体の不調を訴えたとし子は……検査の結果、突然の余命一年の宣告を受ける。
二人は相談し、来るべき“その日”を迎える準備を始めることに。
そして、昔住んでいた町に足を運ぶ。
一時退院し、18年ぶりに訪れた‘浜風’は懐かしさで一杯。

「ここから始まったんだから、ここから始めたいよね」
結婚当初に暮らしていたアパートを訪れ、“その日”までの人生をここから始める事にする……残り少ない日々を工夫しながら一所懸命生きていくために……。

余命を宣告された妻と夫が、“その日”までを懸命に生きる姿と、それに関わる周囲の人々とのふれあいを描いたハートフルな人間ドラマ。

とし子のこの台詞が胸に染みる。
「笑っても泣いても、それが生きるってことだよね。みんな、生きよっ!一生懸命、生きよっ!」
そのとし子が健太に送った最後の手紙……たった一言しか書かれていない手紙に……ジーンときます。
斬新なカット割り、ノスタルジー溢れる映像、物語の鍵になる宮沢賢治の詩の引用など……これまでの集大成と言わんばかりの“大林ワールド”が展開されます。
オープニングに……‘A MOVIE’。
大林ファンには、これだけで涙モノ!
また冒頭では、看板に‘ハウス’の文字。
そして「ハウス~」の台詞と共に、おどろおどろしい音楽が流れるという……あの『HOUSE』を彷彿とさせる演出!
他にもピンクレディーの『UFO』が使用されたり(大林監督はピンクレディーのライヴ映画を演出したことがある)『ねらわれた学園』で見たようなシーン(ダンスをしている横を通り過ぎる)など、初期の大林作品を連想させるシーンまで登場。
ただ、良くも悪くも‘大林ワールド’全開の内容なので、万人受けする作品ではないかなぁ……と。
ナンチャン&永作の夫婦は、微笑ましくもあり切なくもあり……二人とも好演でした。