『幸福のスイッチ』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『幸福のスイッチ』


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【出演】
上野樹里、本上まなみ、沢田研二、中村静香、深浦加奈子、芦屋小雁、田中要次、宮田早苗


【監督・脚本】
安田真奈



舞台は和歌山県・田辺市。

‘イナデン’は地域の人達に親しまれている、『お客第一・儲けは二の次』がポリシーの小さな電器屋。

三姉妹の真ん中・稲田怜は、母が亡くなるまでもそれから後も、家族よりお客からの修理依頼などのアフターサービスに尽くす父・誠一郎の姿がどうしても我慢できず、反発して上京した駆け出しのイラストレーター。

だが肝心の仕事でも上司と衝突し、とうとう会社を辞めてしまう。

「ダメだよ、こんな凝ったの!描き直し!」
「そんなダサいの描けません!」


再就職を探すも……なかなか見つからず、極貧生活の日々。


そんなある日、怜のもとに妊娠中の長女・瞳が倒れて入院したとの手紙が、三女の香から届く。

慌てて帰郷した怜だが、入院していたのはなんと父の誠一郎!
客の依頼で行なったアンテナの設置中に、屋根から落ちて骨折したのだった。

「だって、そうでも書かなきゃお姉ちゃん、帰って来ないやん?」
「なんや、それ……」

そんな状態でも、お客と電話で話す父の姿に呆れる怜。

「相変わらずやなぁ、ちっとも変わってへん」
「久しぶりやな……何しに帰って来たんや!」


父が退院するまでの1か月間の約束で、しぶしぶ店の手伝いをする怜だが、すっかり常連客の溜まり場となっている店の騒がしい日常や、配達・修理作業を手伝いにきている中学時代のクラスメイト・鈴木のお調子ぶりなどにうんざり。

さらに最悪なことに、父の過去の浮気疑惑まで再燃して、怜のイライラはピークに達する!

「最悪や……こんなん最悪や」


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だが、慣れない家業を地道に手伝っていく中で、あちこちに住む個性的なお客さんたちの依頼を受けたり、そこで父の仕事ぶりの評判を聞いたりするうちに……それまで意固地で頑なだった怜の心も、少しずつほぐれていき……。

父と三人姉妹のほのぼのとした姿を描くハートフル・ストーリー。


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頑固一徹、仕事とお客さん第一、浮気疑惑……そして娘たちには愛想のないぶっきらぼうな態度の父親。

「外面だけは、ええんやから」
と子供の頃から反発し、毛嫌いしていた怜。

また、お茶しながら長く居座る常連の客たちには、
「2時間て……ウチは喫茶店か?」


そんな彼女のストレス解消法は、電球を叩き割ること。

「これが一番スッキリするわ」


父親や田舎に嫌悪感を抱いていた怜でしたが……父親の優しさ、田舎の人々の温かさに気付き、心が洗われた怜は……心機一転して再び東京に戻っていく。


三姉妹の最大の関心事だった父親の浮気疑惑には……
「ま、ええんちゃう?」
「はあ?」
「だって、モテへんよりはましやろ?」
「そやね」
「そういう問題か?」
「お父ちゃんを信頼してるし……大丈夫や」



ずっと不機嫌そうな表情をしている怜が、徐々に笑顔に変わっていくにつれ、観ているこっちも思わず笑顔に……。

ホンワカ気分に浸り、優しい気持ちになれる……温かさに満ち溢れた作品でした。



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