
【出演】
柳楽優弥、石原さとみ、田中圭、貫地谷しほり、関めぐみ、風吹ジュン、原田美枝子、岡本麗、大島蓉子、国広富之、塩見三省
【監督】
堤幸彦
懸命に生きているうちに、誰かの大切なものを奪っている事がある。
そんな現実に気づき、絶望すら感じていた高校生のワラは、両親の離婚も重なり投げやりな生活を送っていた。
そんなある日、ふとしたきっかけで病院の屋上でディノと出会うワラ。

「その腕の傷はリスカか!?」
「違います!」
「リスカだろ?それ」
「リスカじゃねえつってんだろ!包丁で切っただけだよ!」
ディノは少し変わった男の子で、傷そのものに包帯を巻くのではなく、傷ついた場所に巻くというアイデアを披露する。
その風になびく包帯を見て心が動いたワラだったが、その場ではつっけんどんな態度で去ってしまう。
そんな時、失恋して傷ついた友達のタンシオを慰めようと、ディノを真似て包帯をブランコに巻き出す。

「何してんの?」
「手当してんの。あんたの心の傷に包帯を巻いて」
「ちょっと、これ凄いよ!心がスカッとする感じ!……ありがとう」
これがキッカケとなり、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモたちは「包帯クラブ」を結成することに。

インターネットで傷ついた出来事を投稿してもらい、その人が傷ついた場所に包帯を巻く……そして、その風景をデジカメで撮影し、投稿者に送る。
それで心の傷を癒してもらおうという趣向である。
最初は冷めた視線で活動に関わっていたワラであったが……。
依頼が増え、他人の傷や仲間の傷を知ることによって自分自身も徐々に変わっていく。
しかし、活動に充実感を覚え始めたメンバーだったが、やがて自分たちの傷も疼きだし……。
‘他人の心の傷に包帯を巻く’
そんなささやかだけれど、ポジティブな試みを始めた少年少女たちの姿を描いた群像劇。
柳楽優弥、石原さとみ、貫地谷しほりら若手陣の演技が素晴らしく、グイグイ引き込まれます!
自殺願望の強いワラの友達を止めるために、ビルの屋上に数え切れないくらいの包帯を巻き付け、
「出て来いやー!来ーい!ワラの友達、死ぬなー!」
と走りながら絶叫するディノの姿は圧巻!
ラスト……‘愛’を信じなくなっていたワラは、再び‘愛’を信じることを取り戻す。
現代の社会に於ける若者の歪み、哀しみ、喜びを……時にはユーモラスに、そして時にはシリアスに表現した、観応えのある青春ドラマでした。
心に傷ができたら……そこに包帯を巻いてみようか……。