
厳格な父親に「書道パフォーマンスなんて書道を暴騰するものだ!」と叱責された里子は、
「ふざけてなんかない!わたし、何のために書道やっとん?一度も楽しいことなかった。辛いだけで、何も見えんかった、わからんかった。今でもわからんけど楽しいんよ。みんなでひとつの書を書き上げることが楽しいんよ。わたし、やめる気ないき!」
父親は池澤に直接、抗議を申し入れるが……池澤は壁に掛けられた書を指し、
「いい書でしょ。書き手の気持ちが伝わってくる。僕が忘れていた気持ち。ある人に言われたんです。お前のはつまらない書だって。書くことが苦行じゃ、見ている方もつまらない。だから書道から離れて……教えられないって、あいつらから逃げてました。でも逆に教えられました。好きなもののために書いているから、こんな生き生きとしているんです」
必死な形相で練習に取り組む里子たちを見た父親は……。
久々に部室を訪れた美央。
「里子の字が羨ましかった。いつかあんな字が書きたいと思ってた」
「やめちゃうん?学校」
「うん、私、後悔とかしてないき。ありがとう、里子。書道部のことは忘れんき」
別れを告げ、淋しく去る美央。
「部長さん、行きませんか!?みんなで!」
母親の入院する病室から、ふと窓の外を覗いた美央……そこには駐車場に大きな紙を広げて佇む6人の部員たちの姿が。
「……!!」
それぞれの名前を書き……美央のために用意された紙だけが残っている。
「戻ってきてやー!美央がおらんと、この書は完成させられんのよ!美央と一緒に書道甲子園に出たいんよ!」
母親は、
「行っといで。大好きなんやろ、書道もあのコたちも。諦めたらいかん!」
美央は部員たちのところに歩み寄り、筆を受け取ると……力強く自分の名前を書く!
7人の名前が並ぶ紙。
「私も最後にみんなと一緒にやりたい!」
そして……いよいよ書道パフォーマンス甲子園の当日。
会場に向かう里子を父親が呼び止める。
「高田さんに頼んで作ってもらった。この和紙は、この町の魂やぞ。これを持って行きなさい」
「……ありがとう、お父さん」
満員の観客の中、‘第1回書道パフォーマンス甲子園’が開催!
応援に駆け付けた清美の姿も。
各校の趣向を凝らしたパフォーマンスに沸き返る客席。
「派手やなぁ……ウチら地味ちゃうか?衣装も音楽も」
とビビる部員に池澤は、
「そんなもん関係ない!大事なのは気持ちだ!さあ、行ってこい!」
大歓声に迎えられる四国中央高校。
遂に書道パフォーマンスがスタート!
音楽に乗り、紙の上を流れるようにして順調に筆を滑らせる7人。
ところが……最後の仕上げに入ろうとした瞬間、墨に足を取られた里子が転倒!
その拍子に墨が紙の上に飛び散り……。
このアクシデントに静まり返る観客、ストップする音楽。
パフォーマンスは中止か?……と突然、
「諦めるなーー!!」
その声は清美だった!
そしてストップしたパフォーマンス曲を歌い出す。
その歌は会場中に広がり……。
里子は立ち上がり、再び筆を滑らせ、自分の気持ちをおもいっきり紙にぶつける!

‘再生’
書き上げた紙の前で、誇らしげな笑顔を浮かべる7人。

そして……。
駅のベンチの池澤。
つまらなそうな表情でゲーム機を弄っている。
壁に‘第2回書道パフォーマンス甲子園・開催決定!’のポスターを貼る駅員。
「あれは残念やったなぁ。転倒さえしなければ、四国中央高校は優勝できたのになぁ」
「あーー!!」
「うわっ!な、何ですか?」
「このゲーム機、上げます」
「へ?」
「もう必要ないんで」
その頃、海岸には里子、香奈、美央、小春。
「見送りくらい、するべきやったかな?」
「ええんやない。気持ちは伝えといたから」
「え?気持ちって?」
電車の中の池澤。
里子から受け取った写真に見入る。
書道パフォーマンス甲子園で書き上げた紙の前で、笑顔を浮かべる部員たちと池澤。
何気なく写真を裏返すと、そこには……
‘ありがとうございました’
「わたしの大好きなもの……真っ青な空、海へと続く坂道、自転車のペダルを漕ぐ音、この町のどこにおっても見える紙工場の煙突……そして…………」

必死な形相で紙と格闘する成海璃子の姿は……迫力と共に、凛としていて美しく、とても魅力的です。
何回観ても泣かされてしまう爽やかな青春映画の大傑作!
香奈の決まり台詞じゃないけれど……
「感動した!」
『武士道シックスティーン』で剣道に邁進し、『書道ガールズ』では書道に邁進した成海璃子。
正に‘道・女優’!?