『きみにしか聞こえない』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

あらすじを読んだら琴線に触れそうな予感がビンビンきたので借りてみたこの作品。(その予感は当たった!)


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『きみにしか聞こえない』


【出演】
成海璃子、小出恵介、片瀬那奈、、高田延彦、中野英雄、岩城滉一、古手川祐子、八千草薫


【監督】
荻島達也


【ストーリー】
傷つきやすく内気な女子高生、リョウ。
友達のいない彼女はケータイも持っていない。
自分だけがケータイを持っていないことに劣等感を抱き、同時に憧れを募らせている。
そんなある日、公園で拾ったおもちゃのケータイから着信音が流れる……それは、見知らぬ青年シンヤからの電話だった。
この時から、ずっと孤独だった2人の不思議な交流が始まる。
頭の中に直接聞こえてくる声で“電話”するうち、2人の心は打ち解けて互いの存在に励まされるようになっていく。
そして遂に、2人は実際に会う約束をするのだが……。

はじめての声は、はじめての恋になる。
切なさの「今」を描いた、乙一原作のスロー・ラブストーリー。


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‘1時間’ずれた世界に電話がつながるというのが、重要なポイントになっています。


横浜に住むリョウは子供の頃、ピアノ発表会で友達に笑われたことがキッカケで人と話すことが怖くなり、ずっと自分の殻に閉じこもっている女の子。

一方、長野に住むシンヤは耳が聞こえず話すことも出来ないハンディを背負いつつも、リサイクルショップで働き、物を修理する仕事に生きがいを感じている心優しい青年。

普段、他人とうまくコミュニケーションを取れない二人も……頭の中の電話では、イロイロなことを語り合える。

その二人の会話を中心に物語は、静かにゆっくりと進みます。

そんなある日、リョウは頭の中の電話が見知らぬ女性につながってしまい……慌てて切ろうとすると、
「待って!切らないで!せっかくだから話そうよ」
その女性は「原田」とだけ名乗り……以後、リョウはこの原田とも交流を続けていく。(原田との電話は何故か電波の状態が悪い)


「また人に笑われちゃった。わたしなんかいなくなっちゃえばいい!わたしがいなくたって誰も気付かない!」
そう落ち込むリョウにシンヤは、
「週末、僕とデートしないか?」
「え?」

シンヤが以前に住んでいた鎌倉の街を電話しながら独り歩くリョウ。
シンヤの案内で「遠距離デート」を。

すると……「ある店に荷物を預けてあるから、それを受け取って」

箱を開けると赤いラジカセと手紙が。

‘これは僕が修理したラジカセ。テープに声を録音して送ってほしい。好きな言葉を大きな声で’

リョウは戸惑いつつも、大きな声で……
「聞こえますかー!わたしの声が届いてますかー!もうすぐ夏ですね!夏になったら、あなたに会いたいでーす!」


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そして……夏。

「仕事で東京に行くことになったんだ」
「えーー!来るの!?」
「会えないかな?会いたい……会ってもらいたい」
「……はい、会います!わたし、会います!」


当日……リョウは精一杯のオシャレをして待ち合わせ場所の駅へ。
その途中で原田に電話をかけ、
「今日これから会うんです!」
「……そう。いい?よく聞いて!あなたなら乗り越えられる。どんなことがあっても!」
「え?どういうことですか?」
「あなたなら大丈夫……」
と、謎の言葉を残して電波が悪くなり切れてしまう電話。
「……???」


リョウとシンヤは待ち合わせ確認の電話で……
「約束してくれる?会っても嫌いにならないって」
「ならないよ。あ、僕も会ったらちゃんと説明することがある」
「……?」
「この電話はもういらないよね?これから会うんだから。じゃあ、1時間前の僕によろしく!」
「わかった!」


渋滞でバスが遅れ、慌てて待ち合わせ場所のターミナルへ向かおうとするリョウ……が、その時!


この後、あまりに切なすぎて、そして思わぬ展開が……。

‘時を超えてリョウは……’

‘シンヤの最後の手話メッセージの意味は……’

‘原田の正体は……’



ラスト、シンヤの祖母と会うリョウ。

「シンヤは私にあなたのテープを聞かせて、何て言ってるのか教えてくれって。特に最後の言葉には本当に嬉しそうだった」

‘あなたに会いたいでーす!’

「そこだけ何度も聞いていたの。聞こえないけど、何度も何度も……」

そしてシンヤが残した手話メッセージの意味も知ることに……。

「それはね……‘あなたは独りじゃない’っていう意味よ」


リョウは山に向かって叫びます。

「シンヤさーん!聞こえますかー!わたしの声は届いてますかー!もうすぐ秋ですねー!わたしは……わたしは元気です!」




切なすぎるストーリーに涙腺決壊!

この切なさは『時かけ』と相通じるものを感じました。(奇しくも両作品とも、バスターミナルが哀しいシーンの舞台に)


成海璃子が今よりもかなり細いのにビックリ。
顎のラインがスッーとしていて、体つきも華奢で……ていうか、当時はまだ15歳くらいだから当然?!
しかし、15歳とは思えない演技力!


小出恵介は、難しい役を見事に演じきっていました。

それから八千草薫が抜群にいい!
どうも自分は八千草薫が‘涙のツボ’のようで(?)この人が画面に登場するだけでウルウルきてしまうあせるあせる

優しそうな表情と台詞回し、ゆったりとした仕草、上品な雰囲気……大好きなベテラン女優です。




※関係ない話ですが、成海璃子は……INU、筋肉少女帯、村八分、はっぴいえんど等を聴いているらしい。

18歳にして驚くべき音楽センス!
特に70年代前半の伝説のバンド、村八分を(超カッコイイ!)聴くとは……相当マニアックだ!?

もしかしたら、外道、アナーキー、サンハウスなんかも聴いてそう?あせるあせる