São Quixoteは73年に結成され、74年にリリースされた、たった1枚の素晴らしいアルバムを残して解散してしまったMoto Perpétuoのメンバーが中心となって新たに生まれたバンドである。2曲を除き殆どの曲を書いていた鍵盤奏者Guilherme Arantesがソロ活動のために脱退したMoto PerpétuoでAcoustic GuitarとCello、 Electric Guitar、Vocalを担当していたCláudio LucciとベースとVocalのGerson Tatini、PercussionとVocalのDiogenes Burani Filhoの3人にGuitarとVocalのMônica Marsolaを加えた4人組として結成されて、これまた81年に唯一のアルバムである本作『São Quixote』をリリースしている。4人のメンバーに加えてMoto Perpétuoを脱退したGuilherme Arantesが鍵盤奏者としてGuest参加している他、CelloやViolin、複数のFlute奏者、Percussion奏者など多彩なGuest陣を迎え、このアルバムを完成させている。全体的にAcoustic楽器を使ったFolkyな仕上がりであるが、時にGenesisを思わせるProgressiveな展開やThe Beatlesを思わせる曲も飛び出す。地味といえば地味かもしれないが、Minas系の音楽にも通ずるMagicalで清涼感のある佇まいは、とても80年代の作品とは思えない。Cláudio Lucciと紅一点のMônica Marsolaの男女Vocalが南米的な甘美で抒情味のあるChorusと共に描き出す世界は、独特の味わいを醸し出している。1曲を除き全ての曲にCláudioが絡んでいる。CláudioはElis Reginaの77年作『Elis』に2曲の楽曲を提供するなどSongwriterとしても注目されていたのだろう。その後はRecording Technicianとして活躍しているようだ。Diogenesは後にRita LeeやWalter Franco、Gal Costaのアルバムに参加している。
『São Quixote』はSão Quixoteが81年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は “São Quixote”。Acoustic Guitarの爪弾きからScaleの大きいProgressiveな展開になり、途中でLyricalなパートが挟まれるが南米らしい甘美でElegantなVocalとOrchestrationが織り成す美しくMagicalな世界に惹きこまれていく。
“Buon Giorno, Boy”は鳥笛から始まり、哀感に満ちたピアノやRecorderの音がPastoralで大らかな雰囲気を醸し出す。
“Só Para Raros Velhos”はハチロク系のRhythmにのって紅一点のMônica MarsolaのVocalがイイ感じを出している。
“Fumaça”は幻想的なイントロから始まる。ここでもMônica MarsolaのVocalがMagicalな雰囲気を出している。EndingのViolinも良き。
“Livre Demais”は一転して陽気でBeatlesの影響下のギターをジャンジャカかき鳴らすPopなナンバー。Paulを思わせるベースが良い。
“Mea Culpa”はイントロのClassicalなギターとベースの動きが幻想的な雰囲気を醸し出している。
DrumsのDiogenes Burani Filho作の“Mais Um Longo Dia”は、やはり少し雰囲気が異なる曲で、Synhesizerも飛び出すPopなRock調でPositiveな感じ。
2本のギターが絡む典雅なEnsembleによるイントロがイイ感じの“Confraria”。
“Cem Anos De Solidão”は高揚感に満ち優美なChorusと魅惑のMelodyがグッとクるアルバムで一番好きな曲。
CláudioとベースのGersonの共作“Soy Criatura”は70年代後半のGenesisを思わせるProgressive Popな作品。多重録音されたChorusと動き回るベースが印象的だ。
“Buenos Dias”は流麗な2本のAcoustic Guitarが絡むインスト曲。
アルバム最後をシメるのは“América”。この曲もチョイGenesis風。
(Hit-C Fiore)