Strifeは70年代にLiverpoolを拠点に活動していたRock Group。その歴史は60年代末に遡る。ドラムスのPaul H. Ellsonが中心となって3人組のバンドが結成された。やがてベースがVocalも担当するGordon Rowleyに交代する。その後、鍵盤奏者やらメンバーの出入りがあった後、71年にThe KlubbsギタリストでVocalも担当できるJohn Reidが加入したことによってバンドは大きく前進し、メンバーの脱退や加入を繰り返した後、Ellson、Rowley、ReidoのTrio編成となったStrifeはLiverpoolのCavern Clubに出演するようになり、73年にはLos AngelesとSan FranciscoでDemo Albumを録音、英国に戻り74年にChrysalis Recordsと契約することになった。こうしてStrifeのDebut Albumとなる本作が75年にリリースされることになる。Produceは米国時代に知り合った元MotownのSingerでSongwriterやProducer、Musicianとしても活動していたR. Dean Taylor。ジャケットはHipgnosisが手掛けている。それにしても、このアルバムはStrangeな魅力に満ち溢れている。まずはとてもHipgnosisには思えないジャケットのセンス、ここからB級の香りがプンプン漂ってくる。そしてスッカスカのサウンドは意図したものなのか、この時代のHard Rock Bandにしては明らかにSound Productionが狙いを外しまくっている。ギターのRiffが主体とはなっているが、歪ませてHeavyにして圧や重さを狙うよりも、弾きまくりながらも、あまり歪ませずにVocalとベースやドラムスとのEnsembleをバランスよく考えている。だからHard Rock的には全体的に軽めの仕上がりとなっている。また、とこどころで入る女性と思われるSoulfulなChorusが面白い。これはProducer Taylorによるものだろうか。楽曲もMelodyや展開がB級の面白さに満ち溢れていて、このダサカッコ良さは結構中毒性の高い音盤である。Budgieなんかとも通ずる個性派Hard Rock。
『Rush』はStrifeが75年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Back Streets Of Heaven”。いきなり女性Chorus(なのか?)を伴って突っ走るHard Rock。
“Man Of The Wilderness”もRiffもカッコイイしギターは歌っている中々の曲。ベースのGordon Rowleyの曲。
“Magic Of The Dawn”では再びSoulfulなChotusが登場し、引き摺るようなギターのRiffとVocalに絡む。歌メロもイイ感じでBメロの展開も面白い。
“Indian Dream”はいきなりSynthesizerに相当勘違いしたChina風のフレーズが奏でられる。VocalもOrientalな雰囲気のMelodyを歌い上げる。ジャケットといい、彼らは東洋好きなんだろうか。この、なんじゃこりゃのナンバーは賛否両論だろうけど面白すぎる。ギターも結構弾きまくっている。
“Life Is Easy”もChorusとVocalの絡みがSoulっぽい。Glamな香りが漂うのも面白い。
“Better Man Than I”も女性Chorusを伴ってStatus Quoっぽい疾走感のあるHard Boogie。いやあ、たまらんすなあ。
最後をシメるタイトル曲“Rush”は3つのPart“People Running 'Round”、“More Haste, Less Speed”、“Final Fling”からなる組曲。まずは疾走感に満ちたBoogieからTempoを落としたり緩急自在の展開が面白い。Harmonicaも登場したかと思えばPsychedelicな展開になり、混沌とした大曲は幕を閉じる。
(Hit-C Fiore)