U.F.O. Landed Japan/UFO | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 UFOは大好きなギタリストPaul Chapmanが在籍していた時代が一番好きだし、勿論78年にリリースされたMichael SchenkerPaul Raymondが参加している全盛期のLive Albumの名作『Strangers in the Night』は10代の時に友人から貸してもらって何度聴いたかわからない。でも面白いことにChapmanもSchenkerもPaul Raymondもいない初期のUFOのLiveが結構気に入っている。なんといっても71年に日本でのみ『ライヴ! U.F.O./Live At Hibiya Park Tokyo U.F.O. Landed Japan』というタイトルでリリースされ、翌年にUFOが本国より人気を集めていたドイツでリリースされたLive Albumである。タイトル通りUFOの初来日公演となった日比谷野外音楽堂で行われた71年9月25日のConcertの模様を収録したLive Albumで、ドイツ盤のジャケットも不気味で意味不明のカッコイイものなのであるが、やっぱり日本盤の「熱狂の日比谷コンサート」と副題が帯に記されていて、当時の彼らの得体の知れなさが感じ取れるジャケットが素晴らしい。VocalのPhil Mog、ギターのMick Bolton、ベースのPete Way、ドラムスのAndy Parkerという4人編成68年にLondonで結成されBeacon Recordsと契約して70年Debut AlbumUFO 1』をリリースしている。Eddie Cochranの“C'mon Everybody”が日本とドイツでヒット、“Boogie for George”と2nd Album収録の“Prince Kajuku”もドイツでヒットしており、当時の彼らのSpace Rockと評されていたMinimalなフレーズと決して熱くならず淡々と長尺の演奏を続ける音楽性が、かの国には受け入れられていたのが興味深い。Kroutrock(German Rock)と共通するHypnoticでMeditativeなフレーズの繰り返しを基調としたPsychedelicでMinimalな音楽性はこの時期だけのもので、Boltonが脱退しSchenker加入後の彼らはガラッとStyleを変えるのであった。

 

 『U.F.O. Landed Japan』はUFOが71年9月25日に行われた初来日公演の模様を収録したLive Album

アルバムは熱狂のUFOコールから始まり、いきなり彼らのヒット曲“C'mon Everybody”をぶちかます。PrimitiveなPete WayのベースとAndy Parkerリズム隊が猪突猛進でガンガン攻めたてて、これが最高にカッコイイ。そこにPhil Mog熱いShoutが炸裂する。

Bo Diddleyの“Who Do You Love”はBo Diddley BeatにのってMinimalなフレーズを淡々と続ける彼らのSpace RockなStyle。決して熱くならずに、ある種German Rock(Krautrockというよりこっち)に通ずるHypnoticでMeditationalな感覚を伴い、Psychedelicな奇妙なTrip感を生みだしている。こちらも1曲目同様Debut Album『UFO 1』収録曲。

Paul Butterfieldの“Loving Cup”はBlues Rockがルーツである彼らの出自がよくわかる選曲。

Prince Kajuku/The Coming of Prince Kajuku”は『UFO II: Flying-Spacerock』収録のメンバー4人の手による自作曲。酩酊感に満ちた初期のUFOらしいPsychedelicなSpace Rock

Boogie for George”は「謎の円盤U.F.O.遂に日本へ上陸!!/来日記念盤」と銘打って“ジョージのブギ”というタイトルで7", 45 RPM, Singleでリリースされている1st Album収録曲。ただ、残念なことにそのSingleではBoogieではなくBoggieとCreditされてしまっているのだが。彼らの淡々として決して熱く盛り上がらない独特の醒めたBoogieが良い。

最後をシメるのは“Follow You Home”。The Kinksの“You Really Got Me”のRiffに続いて、それをまんまいただいちゃった素直なネタバラシ的な微笑ましさと日本のファンの熱狂的なCall and Responseに脱帽。

(Hit-C Fiore)