Mackenzie Theoryは70年代前半に活動していたAustralia出身のバンドで、おそらくアルバム2枚を残して消滅してしまったようだ。Melbourneで71年に結成されたという彼らの特徴はなんといってもCleis Pearceという女性Electric Viola奏者がギタリストと共にバンドの中心となってImprovisationを披露していることである。Violaといえば、思い浮かぶのがCaravanのGeoffrey Richardsonであり、自分が初めてRock BandでカッコイイViolaを弾いていて耳を奪われたのが、Richardsonが参加したCaravanのアルバムであった。RichardsonはRock界のViola奏者の第一人者として数々の名盤を残しているのだが、まさかRichardsonより前にRock Bandでこんなに大々的にViolaを演奏している人がいるとは思わなかった。Cleis PearceはViolaのみならずViolinも演奏する人で、Mackenzie Theory解散後もさまざまなバンドに参加したりGyanやMichael LeunigといったMusicianのSupport Memberとしてして活動を続けているようだ。さて、Mackenzie TheoryはPearceとAztecsのメンバーとしても活躍したギタリストRob Mackenzが中心となって結成されたバンド。本作はDebut Albumで、2人の少々FreeでAvant-GardeなImprovisationが軸となってJam Session風の演奏が展開されていく。それが、なんとLive演奏であるから驚きである。本作でのメンツはベースのMike Leadabrand、ドラムスのAndy Majewskiに、アルバム全曲を作曲したギターのMackenzとViolaのPearceという4人組。さすがにRichardsonに比べればViolaの演奏は荒く、リズムもピッチも甘いのが最初は気になるものの、それがかえってPsychedelicで謎めいた雰囲気を醸し出している。次作となる『Bon Voyage (Live At Dallas Brooks Hall May Fifteen)』もLive録音であるが、これも力作に仕上がっている。
『Out Of The Blue』はMackenzie Theoryが73年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Extra Terrestrial Boogie”。ギターのカッティングで始まるタイトル通りRhythmはBoogieなんだけど、Cleis Pearceが弾くEccentricなElectric ViolaとRob Mackenzの攻撃的なギターが中心となってPsychedelicな香り漂う演奏が繰り広げられる。とりとめのない感じもするけれど、このRoughでWildな感じが面白い。
“O”はギターが奏でる哀感漂う旋律に続いて、Jazzyで少々Free気味な演奏が始まり、ギター・ソロ、Electric Violaが畳みかけてくる。地道に黙々とリズムを刻むリズム隊が素晴らしい。そのリズム隊はゆったりしたBeatを叩き出し、Tempo Upしたり緩急自在に対応。徐々に熱を帯びてくるElectric Violaとギターの緊張感に富んだ掛け合いがグイグイ迫ってくる。
“Opening Number”はPsychedelicで幻想的なギターの演奏で始まり、Jam Session風のJazz Rockに展開する。後半のTempo Upしてからの演奏が熱い。ギターのRiffによりチョイCaravanを思わせるJazz Rockが味わえる。
“New Song”も導入部はFreeでAvant-Gardeで不穏なViolaが登場すると、ジャケットのような幻想的な世界へ連れ込まれていく。突如、ギターのRiffが始まり、やはりCaravanを思わせる演奏が個人的にはツボ。途中からTempoを上げたかと思えば、突如抒情的なゆったりした展開になったりFunkyなギターのカッティングが入ったり、コレはコレで面白い。
タイトル曲“Out Of The Blue”は突如RockなギターのRiffが始まり熱い演奏が繰り広げられる。
アルバム最後をシメるのは“World's The Way”。ここでも緩急の着いた曲展開でギターのカッティングが主導するJazz Rockが楽しめる。
(Hit-C Fiore)