Jorge BenのDiscotique Samba/Funkに接近した時代、70年代後半から80年代にかけての作品というのは、自分が知っている範囲ではわりと不当な評価を受け続けている。ようやく近年になってDJやClub関係者あたりからの再評価の声を聞くようになってはきたようだが。Jorge Banといえば、“Mais Que Nada”や“País Tropical”、“Taj Mahal”の作者であるとか、あるいはバック・バンドのTrio Mocotóと共にSambaにSoulやFunkやRockの要素を取り入れた、所謂Samba RockのStyleを確立した第一人者といったところが多くを語られている。また、74年にリリースした『A Tábua De Esmeralda』や翌75年リリースの『Solta O Pavão』といった自らのAfro-BrazilianとしてのIdentityを探求した意欲作は高く評価され続けてきたが、Rod Stewartが盗作で訴えられて敗訴した上述の“Taj Mahal”収録の『África Brasil』はそれなりに高く評価されることはあっても、それ以降の『Tropical』や『A Banda Do Zé Pretinho』といった作品は、それなりに人気は集めたものの、どうも軽くみられがちで、評価が作品のQualityに見合ったものとは思えない。まあ、確かに金太郎飴的なJorge Ban節が相も変わらず的な部分はあるものの、楽曲も含めて作品としてのQualityは流石の出来なのだ。79年のDiscotiqueな『Salve Simpatia』、80年に突入してリリースされたノリノリに弾けた『Alô Alô, Como Vai?』に続く本作も楽曲も演奏も充実していて素晴らしい。鍵盤にBomba Sjostedt(Ricardo Bomba)、Lincoln Olivetti、ドラムスにPeni(Peninha)こと Paulo Humberto PizzialiベースにRoberto Cavalier Darbilly Juniorといった演奏陣も手堅い演奏を聴かせてくれているが、個人的にはMiss Lynn Drumsと命名された(おそらくLinnのLM-2)Electronic Drumsがイイ味を出している。
『Bem-Vinda Amizade』はJorge Benが81年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目を飾るのは鳴り響くPercussionとA Banda Do Zé PretinhoとAs Gatasによる男女混成Chorusが高揚感をかきたてる“O Dia Que O Sol Declarou O Seu Amor Pela Terra”。Jorege自身のギターのカッティングも良き。
“Santa Clara Clareou”はドッシリとタメのきいたリズム隊にAs GatosのChorus隊がのり、気持ち良いすなあ。
“Oé Oé (Faz O Carro De Boi Na Estrada)”はMinimalなElectronic Drumsがイイ味を出しているElectric Funk。
“Era Uma Vez Um Aposentado Marinheiro”はJorgeのカッティングが最高に気持ち良いMidium Funk。Chorus隊がイイ感じ。
Reggae風味の“Lorraine”はユッタリマッタリしたリズム隊にのったSynthesizerとChiquinhoによるAccordionが気持ち良すぎ。Jane DubocらのVocalも良し。
イントロから鳴り響くPercussionから惹きこまれてしまう“Curumin Chama Cunhãtã Que Eu Vou Contar (Todo Dia Era Dia De Índio)”。これまたユッタリしたリズム隊にのって生命感に満ちつつ、独特の憂いを湛えたJorge BenのVocalが沁みまくる。
心地良いギターのカッティングと女性Chorusがご機嫌な“Katarina, Katarina”。
Electronic DrumsaやCongとCuicaの響きが気持ち良い腰を落としたFunk“Ela Mora Em Matogrosso Fronteira Com O Paraguai”。低音で鳴り、グッと引き締めているRobertoのSlap Bassがこれまたイイ感じ。
これまたユッタリマッタリでJorge Ben節がたまらない“Para Que Digladiar”。Serginho Do TromboneのTromboneがイイ味出している。
アルバム最後をシメるのは“Luiz Wagner Guitarreiro”。タイトル通りSamba Soul/Funk系のS.S.W.として知られるLuis Vagnerがギター・ソロを弾いている。
(Hit-C Fiore)