It All Comes Back/Tudor Lodge | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Tudor Lodge71年Vertigoに残した唯一のアルバム『Tudor Lodge』は英国音楽の優美で牧歌的な魅力が香り立つ名盤中の名盤である。個性あふれる英国の豊かな才能に恵まれたMusicianたちが次々に生み出していった名盤揃いの名門Vertigoにおいて、決して派手さはないが、ひっそりと、永遠に輝き続ける光を放つ奇跡の一枚である。Tudor Lodgeは60年代後半John StannardとRoger StrevensのFolk Duoとして結成された。 Strevensに代わってLyndon Greenが、間もなく米国人のSingerでFlute奏者のAnn Steuartが加わった。このTrioは2年間に渡り英国南東部のFolk CircuitでのGigを成功させ、John RenbournやBert Jansch、Davey Graham、Sandy Denny、Martin Carthy、John Martynらが出演するLondonのLes CousinsTroubadourといったClubを含む数多くの場所で演奏するようになり、とうとう70年にVertigoと契約して、翌71年にDebut Albumがリリースされるのである。しかし絶え間ないTourと資金不足によってメンバーは追い込まれ、とうとうAnn Steuartは脱退してしまうのであった。LondonでSession Singerをしていて、後にFairport ConventionのRichard Thompsonと結婚して(その後離婚)Linda Thompsonを名乗ることになるLinda PetersことLinda  PettiferがAnnの代役を務めたが、Tudor Lodgeはその後、解散を余儀なくされるのであった。その後、81年の一時的に再結成を経て、StannardGreen女性SingerのLynne WhitelandScoutしてTudor Lodgeを復活させるのであった。99年委は来日公演も行っている。本作は、そんなTudor Lodgeの未発表曲集となっている。Annの麗しいVocalも最高だが、Linda  (Peters)ThompsonLynne WhitelandのVocalが聴けるのが嬉しい。またJohn Stannardによる72年のSolo Sessionの5曲も英国の中の亜米利加という感じで仄かに英国の香りが漂うSongwritingとVocalがイイ感じだ。

 

 『It All Comes Back』は98年にリリースされたTudor Lodgeのアルバム未発表曲集

アルバム1曲目は“Morocco”。Ann SteuartではなくLinda  (Peters)ThompsonがVocalで、Acoustic Guitarをバックに落ち着いた歌声でしっとり歌い上げていくのが素晴らしい。

Carpentersで知られるCarole King作“It's Going To Take Some Time”もまた心地良いAcoustic GuitaのカッティングをバックにLindaのVocalが甘く切ないMelodyを淡々と歌うのが絶品。

Look At Me”は英国の中の米国でこれまたイイ感じ。以上3曲が71年Studio Demo曲

上述の『Tudor Lodge』の冒頭を飾る名曲を97年再録音した“It All Comes Back To Me”。VocalはLynne Whiteland

Lynne Whiteland作の哀感漂うHome To Stay”。この曲も97年録音

John Stannardによる72年のSolo Sessionから“Golden Thread”、“Ain't Always Easy”、“Sparkle In Your Eye”、“It's Cold Outside”。この4も楽曲としては悪くないしJohnのVocalやChorusから漂う英国の香りがたまらない。Jo Partridgeがギターで参加している。

97年録音のJohn Stannardの“One More Drink”。

再結成した81年のLive録音“Sundown Waker”。AnnFuteがイイ感じ。John Vaughanの作品。

John Stannardによる72年のSolo Sessionから“We Are Today”。

70年Windsor Folk ClubでのLiveから“Kew Gardens”。思わずウットリ夢見心地、Ann Steuart清らかなVocalが最高。

最後をシメるのは“The Good Times We Had”。71年にリリースされたSingle“The Lady's Changing Home”のB面だったPeter, Paul & MaryのCover。心が洗われるようですなあ。

(Hit-C Fiore)