Cheryl Lynnといえば78年の夏にリリースされたDisco Classic“Got to Be Real”なんだろうけれど、個人的にはLuther VandrossがProduceしMarcus MillerのSlapが心地良くキメまくる82年リリースの『Instant Love』かRay Parker Jr.のProduceによる本作ということになる。Los Angeles生まれのCheryl Lynn ことLynda Cheryl Smithもまた幼いころから教会でGospelを歌っていたという。19歳の時にMusical Drama『The Wiz』のBacking Vocalとして参加してプロのキャリアが始まったが、The Gong ShowでJoe Cockerの“You Are So Beautiful”を歌って優勝し審査員から絶賛され、レコード会社からプロ・デビューの話が次々と舞い込んでいたというEpisodeを持っている。Clumbiaと契約し、Debut Singleとなった上述の“Got to Be Real”が折からのDisco Boomにのって、Rhythm & Blues ChartでNo. 1に輝き、同年にリリースした1st AlbumもヒットしたCherylは一躍全米中にその名を知られる存在となった。この時のDisco Queen的なイメージが、良くも悪くも彼女本来のR&B Sooul Singerとしての魅力を伝えることを妨げることになっているのかもしれない。3作目のアルバムとなった本作では“Got to Be Real”で印象的なギターのRiffを弾いていたRay Parker Jr.をProducerに迎えてFunkyで黒々としたCherylのVocalの魅力を上手く引き出すことに成功している。PercussionのOllie Brown、鍵盤のDarren Carmichael、ドラムスのLarry Tolbert、ChorusでArnell CarmichaelといったRaydioのメンバーに加えてベースのMarcus Miller、Scott Edwards、鍵盤にMichael B. Sutton、John Barnes、Michael Boddicker、Kamau Peterson、Greg C Jackson、Sylvester Rivers、ドラムスにGeorge Mitchell、James Gadson、ギターに "Wah Wah" Watson、David T. Walker、Greg Moore、StringsはGene Pageといった豪華なメンツが充実の演奏を聴かせているのも良い。
『In The Night』はCheryl Lynnが81年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Shake It Up Tonight”。駆け巡るStringsで始まり従来の、Discotiqueな味わいも感じさせるが、なによりSoulfulでキレの良いCheryl のVocalが生き生きとしている。
Chorus隊やStringsが寄り添ってCheryl のVocalをじわじわ盛り上げる珠玉のBallad“Show You How”。SoulfulなCheryl のVocalの魅力はこういった、あえて抑えた歌い方で聴かせるBalladでも強く感じることが出来る。Marcus Millerのベースと "Wah Wah" Watsonのギターが渋い。
“In The Night”はRay Parker Jr.らしいSynthesizerと "Wah Wah" WatsonのEcho Plex使いのギターが素晴らしい効果を上げている黒光りするFunky Disco。サビのChorusの使い方もイイ感じ。
これまた聴かせる大人のBallad“Hurry Home”。表現力豊かでSoulfulなCheryl のVocalの魅力が味わえる。
Ray Parker Jr.がギターのみならずベースや鍵盤、ドラムスまで演奏した、この時代らしいFunky風味の“I'm On Fire”。
StringsとSynthesizer,による印象的なイントロから哀感漂うBalladに展開する“With Love On Our Side”。Rhythm Heritageの名手Scott Edwardsのベースと後半に絶品の職人芸で魅了するDavid T. Walkerのギターが最高。
イナタいDiscotiqueな味わいがクセになる“If You'll Be True To Me”。この辺の80年代の日本のアイドル歌謡に影響を与えたようなサウンドが微笑ましい。
Percussionが鳴り響きLatinなFlavourが感じられる“What's On Your Mind”。Marcus Millerのベースが冴えわたる。
アルバム最後をシメるのは腰を落としたFunk Number“Baby”。
◎Shake It Up Tonight/Cheryl Lynn
(Hit-C Fiore)