Banda Elástica | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Banda Elástica80年代後半Mexicoから登場した7人組のAvant-Garde Jazz Rock Bandである。とにかく初めて聴いた時の衝撃といったらなかった。Gentle GiantAreaArti e MestieriReturn To Forever、そして再結成されたMahavishnu Orchestraもいなくなってしまう80年代後半欧米Jazz Rock不毛の時代。しかし、BrasilやArgentina、Uruguayからは依然として創造性が高く超絶技巧の音楽家たちが優れた作品を世に出し続けてくれたことだけが救いであった。そしてMexicoからも超ド級の連中が登場したのだ。複雑で綿密に構成されながらも心地良い躍動感を失わず、Gentle GiantやFrank Zappaのごとく、涼し気に難易度の高い技をこれでもかと繰り出してくる超絶技巧の音楽集団。しかもAcoustic GuitarMarimbaSaxophoneClarinetにGuestによるViolaViolinといったAcoustic楽器Ensemble。それがBanda Elásticaであった。ギタリストのGuillermo Gonzalez、Saxophpne、ClarinetのJose Luis Romero、鍵盤奏者Rosino Serrano、Marimba、Percussionを演奏するJose Navarro、Drumms、PercussionのRodolfo Nava、ベースのLucio Sanchez、そしてViolinのEnrique Gonzalez(本作ではGuest扱い)という7人組。87年にリリースされた本作は彼らのDebut Album。Frank ZappaやHenry Cowのごとく聴き手の予想を裏切るCynicalな雰囲気もたたえつつ民族音楽的な異国情緒の香りも漂う、その音世界は、とてもデビュー作とは思えない完成度を誇っている。そしてBanda Elásticaは89年に『Banda Elastica 2』という2作目のアルバムをリリースし、寡作ながらも2003年までに計6作のアルバムを届けてくれた。そして昨年、Live盤『Aquí, Allá Y Acullá』から9年ぶり新作としてはAi Tencargo以来19年ぶりに『Pandemonium』が届けられた。

 

 『Banda Elástica』はBanda Elástica87年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Infantes Terribles”。7拍子のRhythmにのってJose NavarroのMarimbaとGuillermo GonzalezのAcoustic Guiatrが優美で複雑なEnsembleを奏で、Cecilia ValdézのFluteが宙を舞う。Rosino Serranoが弾くSynthesizerはウネリ途中から加速度を上げて疾走するリズム隊と共にRodrigo MiraldaのTumbadoresが心地良く響き渡る。

Alto A La Caceria”はイントロこそRockなギターだが、超絶技巧で躍動するBeatにのってバンドの演奏が始まると、Acoustic Guitarがこれでもかと弾き倒し、MarimbaやSynthesizerが絡み合う。それにしても緩急自在に難易度の高い技を切り込んでくるドラミングに圧倒される。

Derrumbes En Almibar”もAcoustic楽器を中心とした綿密に構築されたEnsemble心地良く響くが、Guest陣のViolaViolin典雅な響きMarimbaキレキレのAcoustic GutarPianoが奏でる異国情緒に満ちた旋律がスリリングなキメを伴って激カッコ良し。

Aun, Pero”はRockのDynamismを持った疾走感に満ちたナンバー。作者であるLucioのAreaのDemetrioをチョイ思わせる男気に満ちたVocalも素晴らしい。2分チョイで終わってしまうのが残念。バックの演奏も力強い。

Pepenavarodol Fitonava [Salon Victoria]”はSaxFlute異国情緒漂う超絶技巧のEnsembleにのって心地良く響く。最高としか言いようがない。ピアノ・ソロとAcoustic Guitarのソロ、Saxソロもイイ感じ。

Jose Navarro作の“Pesadilla”はAvant-GardeでExprimentalなイントロから激カッコイイJazz Rockに展開する。最高。

Infrasapienz”も疾走感溢れるRockなナンバー。LucioのVocalとRosinoのOrganとSynthesizerソロが最高。Acoustic GuitarとJose LuisのSaxもイイ感じ

アルバム最後をシメるのはMarimbaSaxの響きが夢見心地の“Quepocalipsis”。

(Hit-C Fiore)