Nazarethは、子供の頃からずっと大好きなRock Group。Nazartheといえば、なんといってもDan McCaffertyの一度聴いたら忘れられない強烈な激熱塩辛Vocalであり、ProducerでもあったManny Charltonのいぶし銀のギターである。そんなNazaretheの創設メンバーでもあり、黄金時代を築いてきたバンドを動かしてきた両輪ともいうべき存在が、今年相次いで人生の幕を閉じてしまったことは辛く悲しく、そして再び彼らの残してきた素晴らしい作品を聴きなおしては、感慨に浸るのであった。Punkに夢中になっていた間もStatus QuoとThin LizzyとBlack SabbathとBudgie、Foghat、そしてNazarethだけはずっと夢中になって追いかけていたのであった。思えば初めてManny Charltonの単独Produce作となった75年の『Hair of the Dog』から始まって、Tear Gas~The Sensational Alex Harvey BandのZal Cleminsonが加わった79年の『No Mean City』までの作品は、自分が最も多感だったころに聴きまくっていたものだ。勿論、Roger GloverのProduceで彼らの出世作となった73年の『Razamanaz』や『Loud 'n' Proud』、74年の『Rampant』なども遡って聴いて、その勢いのあるHardなSoundに夢中になったのを覚えている。そして80年代に突入して、突然届けられたのが本作である。当時、Manny CharltonとZal Cleminsonのツイン・ギターになって『No Mean City』で楽しませてくれたAggressivveでHardな世界をさらに追及していてくれると期待してきたものの、ガックリ期待外れに終わったのを覚えている。Produceが度重なるステージでの奇行でDoobieをクビになったJeff Baxter、この時点で嫌な予感がしたが、最初に聴いた時の売れ線意識のアメリカンなサウンドという第一印象が長らく本作を遠ざけていた理由である。しかし、ある時、気が付いたのだ、全然Natharethらしくないけれど、車で聞き流すのにはご機嫌なアルバム。Popで多様性のあるサウンドだが、元々Nazarethにはそういった側面もあり、意外なことに健闘している。ProducerのBaxterは空気が読めない人であり、しかし、それが稀に面白い効果を生むことがあったりもする。80年代という時代はそういモノを求めていたのかもしれない。そして彼らは、それに見事に応えていたのだった。そして彼らはJohn PunterのProduceで『2XS』という傑作を残すのである。
『Malice In Wonderland』はNazarethが80年にリリースしたアルバム。Dan、Manny、ZalのフロントにドラムスのDarrell Sweet ベースのPete Agnewの鉄壁の5人体制。残念ながらZal Cleminsonは本作で脱退してしまう。結構弾きまくって楽曲も提供してはいるのだが。
アルバム1発目は“Holiday”。とにかくPopで聴き易いしサビがCatchyで覚えやすいし、Chorusもイイ感じで楽曲としては完成度が高い。メンバー5人の共作曲。
Zal単独作の“Showdown At The Border”は突っ走るリズム隊はNazarethらしくてご機嫌であるけれど、やっぱりアメリカンンなChorusがどうも自分にはしっくりこなかった。今聴けば、それほど悪くはないし、
“Talkin' To One Of The Boys”はイントロの唸りを上げるギターがイイ感じ。しかしQueenみたいなChorusがどうもミスマッチ感が。途中の捻りのある展開やギター・ソロ、疾走するリズム隊は悪くはないだけに残念。
Acoustic Guitarで始まる泣きのBallad“Heart's Grown Cold”。Dan McCaffertyのVocalは沁みますなあ。GospelっぽいChorusもイイ感じ。この曲もZalの単独作。
“Fast Cars”はThe Don Ellis OrchestraのAlan Estesが叩く幻想的なVibraphoneが思いの外効果的でNazarethの懐の深さと多様性を再認識するナンバー。メンバー5人の共作。
“Big Boy”はNazarethらしいBluesyな粘り腰のFunky Rock。と思いきやサビでReggaeに展開する謎展開。コレはコレで面白い。Saxソロまで飛び出している。これもZal単独作。
“Talkin' About Love”は Paulinho Da CostaのPercussionも入ったDanceableなナンバーで、Latinなノリにこれまたビックリ。
アコギ弾き語り風のBallad“Fallen Angel”。なぜか不穏なStringsが面白い。
Manny Charlton単独作の“Ship Of Dreams”な哀愁のNazareth印で一安心。アコギの使い方が抜群に上手い。
アルバム最後をシメるのは“Turning A New Leaf”。重たいRiffがNazarethらしいが、これまた捻りのある展開が面白い。
◎Holiday/Nazareth
(Hit-C Fiore)