Dickey Betts & Great Southernは、最初に結構期待して聴いた時の、何か自分が思っていたのと違う感があって、実は暫く遠い存在であった。なぜなら自分がこのバンドに期待していたのは、Dickey Bettsが本名のRicahrd名義で74年にリリースした最初のソロ・アルバム『Highway Call』のCountry-Esqueな路線、特にB面の延長線にあるものだったから。同アルバムのWestern Swing、Hillbilly、Bluegrass風なサウンドは最初こそ、アレッ?てな感じだったけれど、丁度その辺の音楽に目覚めてきた頃に聴き返してみると、自分のツボにバッチリだったのであった。で、Dickey Betts & Great Southernの登場である。そりゃあ、Duane Allmanとの豪快且つ流麗なTwin Guitarの相棒としてだけではなく、“In Memory of Elizabeth Reed”や“Ramblin' Man”、“Jessica”を書いた優れたComposerでもあるBettsであるからして、そこに、あの頃の、あの偉大なThe Allman Brothers Band(以下ABB)を求めてしまう気持ちも分からないではないけれど、あくまでも個人的な要望からすれば、Jerry GarciaのOld & In the WayのメンバーでもあったVassar Clementsが弾くFiddleと共に作り上げた、あの『Highway Call』のBluegrass、Wetern Swing路線をバンドで聴きたかったのである。だが、ABBが76年に解散しBettsが結成したDickey Betts & Great Southernは、ABBと同じ6人編成であったわけであるから、まあ、やっぱりABBの延長線として、このバンドが生まれたのは明らかであろう。Debut Albumである本作は、ギターの"Dangerous Dan" Toler、鍵盤にTom Broome、ベースにはMelting PotのKen Tibbetts、ドラムスにもMelting PotのJerry Thompson、そしてDoni Sharbonoという布陣である。まあ、でもやっぱりコレはコレでご機嫌なSouthern Rockとして時折取り出しては気持ち良く聴いてしまうのであった。
『Dickey Betts & Great Southern』はDickey Betts & Great Southernが77年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は豪快なSlideが炸裂する“Out To Get Me”。唸りを上げて天空を駈けぬけるSlideは気持ち良いっすなあ。まあ、コレはコレでSouthern Rockつぉしてはご機嫌な出来栄えではある。
“Run Gypsy Run”もABB路線だけどBettsとChorusが一緒に歌い上げているのがイイ感じ。BluesyでカッコイイRiffも飛び出しTopper PriceのHarpも良し。
“Sweet Virginia”はFunkyなギターのRiffで始まるけれど、これまたSlideが唸りを上げてメンバーで伸びやかに歌い上げるCoutry TasteのSouthern Rock。
“The Way Love Goes”は泣きのBallad。こういう曲はBettsのVocalはチョイ弱い感じだが、やはりメンバーと一緒に歌い上げ、お約束のギター・ソロ、そして後半のTwin GuitarでChorusと共に泣かせにかかるところが微笑ましい。
“Nothing You Can Do”はキレのよいFunkyなギターのカッティングで始まり、HammondソロやEmotionalなギター・ソロが盛り上がりますなあ。そしてTwin Guitarがハモるキメがご機嫌で、この路線は鉄壁なのであった。
“California Blues”もSlideが雄たけびを上げ、ワン・パターンと言われようが、これまた気持ち良いから良しとしようか。
アルバム最後をシメるのは“Bougainvillea”。イントロの2本のギターの絡みからたまらんすなあ。バックで微かに鳴らされているHammondもイイ感じでDickeyが雰囲気タップリに歌い上げている。後半のツイン・ギターのハモりが楽しい。
(Hit-C Fiore)