Hinsegin Blús | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  それにしても、この急激な円安は一体どうなってしまうのだろう。米国景気が着実に回復日米の金利差がますます開きドルに対して円安になる、またはインフレ率が低く資源通貨でもある豪ドルに対し円安になるのは理解できるが、過去二番目の経常赤字に陥ってしまった日本は、他の国の通貨に対しても安くなってしまっているのが悲しい。

 

 Hinsegin BlúsIcelandで80年代に活動していたと思われるPiano Jazz Trio。Icelandの音楽といえば、個人的に真っ先に思い浮かぶのが70年代後半にReykjavíkで結成されて83年に“Garden Party”が英国をはじめ世界的にHitして日本でも人気を集めたJazz-Funk Fusion BandMezzoforteである。多分この曲はTVのCMや番組のBGMで耳にした方も多いだろう。80年代前半には英国のShakatakやオランダのFruitcakeと共に欧州産のJazz-Funk味のあるFusion Bandとして活躍し、それなりの人気を得ていたようである。この3バンドは80年代当時、来日公演まで行っているのであるから。さて、そんなMezzoforteのメンバーで上述の人気曲“Garden Party”の作者でもある鍵盤奏者Eythor GunnarssonとDrummerのGunnlaugur Briemが凄腕ベーシストのTómas R. Einarssonと組んだのがHinsegin Blúsである。残念ながらアルバム一枚を残しているのみだが、本日ご紹介する、その唯一のアルバムが実に素晴らしい。演奏技術の高さは言うに及ばず、何よりも北欧らしい冷ややかな空気と透明感を感じさせる優美な楽曲が良いのである。Eythor Gunnarssonは2曲のみで殆どの曲をTómas R. Einarssonが書いている。GuestでTenor Sax奏者のRúnar GeorgssonとDenmark出身の名Trumpet奏者のJens Wintherが参加しているが、WintherのTrumpetの演奏も極上である。ECMを思わせるCoolで抑制されたLyricismがアルバム全体に漂っている。そういえば、80年代のIcelandでもう一つ思い浮かぶのは、86年Reykjavíkに米ソ首脳が集まり中距離核兵器の削減に合意したレイキャビク会談である。冷戦の終結と核軍縮の布石となった歴史的な出来事として記憶されている方々もいるだろう。一日も早く平和な日々が戻ってくるのを祈るばかりである。

 

 『Hinsegin Blús』はHinsegin Blúsが87年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Rúmba, Samba Og Frjálst”。緊張感漂うイントロから、Rúnar GeorgssonのTenor SaxとJens WintherのTrumpetがヒンヤリした空気の中で鳴り響き、ピアノ・ソロが始まる。躍動するリズム隊が素晴らしい。最後のTenor Saxの演奏のみになるところも余韻を残してイイ感じ。

Veðrabrigði”も北欧らしいCoolで透明感のあるSynthesizerとピアノで始まり幻想的で深遠な世界が展開されていく。

Stutt Í Spuna”はTómas R. Einarssonのベースのみで演奏される1分少々の小曲。Einarssonの卓越した演奏が北欧らしい冷ややかな空気とと共にアルバムのアクセントとして効果を上げている。

Í Svefninum Ek Ég”も静かに奏でられるCoolで優美なナンバーでJens WintherのTrumpetが寒々としているけれど身の引き締まるような早朝を思わせる空気を運んでいる。

Vals”もJens WintherのTrumpetがCoolに歌い上げるLyricalで美しいナンバー。作者のEythor Gunnarssonのピアノ・ソロが最高である。

バンド名をタイトルにした“Hinsegin Blús”。Tenor とTrumpetの2管が奏でるThemeが心地良くSwingするフォービートにのってイイ感じ。ここでもJens WintherのTrumpetがキレ良く歌心タップリ。Gunnarssonのピアノ・ソロもSwingyだ。Einarssonのベース・ソロも歌っている。しかしBluesyなフレーズが飛び出しても、どこか北欧らしいCoolな味わいを感じさせるところが面白い。

Róandi Vals Fyrir Rassblautt Barn Og Píanó”はGunnarssonのElegantなピアノ独奏で始まりドラムスとベースが加わると冷ややかな抒情が香り立つ極上の味わいのPiano Trioとなる。

アルバム最後をシメるのは“Blúss”。これまたCoolにSwingする指パッチンなフォービートが気持ち良い。

(Hit-C Fiore)