Afro関係を漁りまくっていた頃、勿論自分の本命はPrimitiveで黒光りするAfro Funkなのであるが、結構Funkだけにとどまらない面白い音盤に出会うことが多かった。当時はどうしてもHornがビシバシとキマり、ぶっといベースがウネりまくってPercussionがTribalに鳴り響き、FunkyでキレキレのHighligh入ったギターや呪術的なVocalやChorusが入ったAfro Funkな作品が一番の目当てであったこともあって、とりあえずAfroモノで買ってはみたが、自分の好みに合わないと、数回聴いただけで部屋の片隅に追いやってアッサリ通り過ぎてしまった作品が少なからずあった。そういった音盤も自分が年を重ねて、さまざまな音楽体験をしてきた上で聴きかえしてみると、中々興味深く、また年をとったからこそ、さまざまな味わいを感じ取ることができたりするから面白いものだ。本日ご紹介するアルバムも、そういったAfro関係の中の1枚である。Afro関係では珍しい女性VocalのAfro Discotiqueモノである。Oby Onyioha、ジャケットで笑みを浮かべているNigeriaのDisco Queenと言われている女性である。彼女との出会いは都内の中古レコード屋さんであった。店主が独自のルートで仕入れたというNigeria産の何枚かのレコードを購入して一度聴いたきりで上述のようにほったらかしにしていたのだった。そして、Mokili Productionsから2007年にリリースされた名Compilation盤『Rare Afro & Caribbean Funk Volume 1』を聴いていた時に、おや?これは聞覚えがあるなと、Creditを確認してみたら、そこには彼女の名前があった。CameroonのIdowu "Funkyman" FakeyeやConcoのJerry Malekaniとの並びで聴くと、Oby Onyiohaの“Enjoy Your Life”は結構イイ感じで響いてくるのだ。彼女の可憐なVocalが時を経て実に心地良く聴こえてきたのだ。確かにバックの演奏や曲調はAfro的ではないかもしれないが、コレはコレで楽しめる、そんな年齢になったのだろう。
『 I Want To Feel Your Love』はOby Onyiohaが81年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はタイトル曲“I Want To Feel Your Love”。Stringsが華麗に舞い、Synthe BassやHorn隊も所謂Afro的ではないけれど、このイナタくも土っぽい感じは中々得難いものがあるのである。勿論、Oby OnyiohaのVocalと女性ChorusはCuteでイイ感じ。欧米的なDiscotiqueにキメるバックの演奏にのって、女性Chorusが微かにAfroな香りを感じさせるところも良い。
“I'll Put It Right Again”はありがちな欧米Popsであるが、イナタいベタ押しのSynthesizerと歌メロをなぞるピアノが何ともいえない哀感を感じさせる。Obyの自作曲である。
上述の“Enjoy Your Life”。これまたFunkyなギターのカッティング、Synthe Bassに切れ込んでくるStringsが心地良いDiscotique。言ってしまえばCheryl Lynnのあの曲なのであるが、この少々頼りなげで垢抜けない感じはクセになるのである。この曲もObyの自作曲。
Funkyなギターのカッティングで始まる“Wait For Me”。Catchyなサビを持ったDiscotiqueなのだが、やっぱり耳元で囁くように歌われるObyのVocalが良い。それにしてもショボショボのSynthesizerソロが実に素晴らしい。
ピアノで始まる“Here We Are”は、Stringsが盛り上げる、ありがちなBalladと思いきや、ギターのところどころの音使いが結構クセになる。
アルバム最後を飾るのは自作曲“Nne N'enye”。ようやくAfroなRhythmとMelodyが哀感を誘うNigeriaの抒情を感じさせるナンバー。
Oby Onyiohaは次作『Break It』をKing Sunny AdeをExecutive-Producerに迎えて87年にリリースしている。
(Hit-C Fiore)