Ruphusは70年代に活動していたNorwayのRock Groupであるが、彼らの存在を知ったのは同国を代表するといってもよいギタリストTerje Rypdalを追いかけていた頃のことであった。68年にBig Band JazzやFree Jazzまで手を伸ばしたデビュー・アルバム『Bleak House』をリリースしたRypdalは、70年代にECMに数々の名作を残して同Labelを代表するギタリストの一人として知られてきたが、Composer、バンドリーダーとしてだけではなくJan GarbarekやGeorge Russell、Don "Sugarcane" Harrisのアルバムでもジャンルを越境したその卓越したImaginativeな演奏を披露して活躍してきた。そんなRypdalが母国のProgressiveなRock Band Ruphusの通算3作目のアルバムとなる本作でProducerとしてだけではなくSynthesizerも手掛けて彼らを大変身させているのである。Ruphasは73年に1stアルバム『New Born Day』をリリースした頃は男女VocalがShoutしOrganが攻めたてるHardでProgressiveな音楽性であったが、翌年リリースの2ndアルバム『Ranshart』になると2人のギタリストのうち1名が脱退しVocalがGudny AspaasからRune Østdahlに交代して、Symphonicな色合いも深めていった。本作では再び女性VocalのGudny Aspaasが復帰しており、ギターのKjell Larsen、ベースのAsle Nilsen、ドラムスのThor Bendiksenという1stアルバムから不動のメンバーと共にRypdalのProduceでSpacyでFunkyなJazz Rock路線を打ち出してきた。時代的にReturn to ForeverやWeather Reportの影響を受けたSpacyで浮遊感のあるSynthesizerやFunkyなエレピ、生命感に満ちた女性Scatに変拍子もまじえた躍動感に満ちたリズム隊が織り成す北欧らしい透明感のある硬質の抒情性を感じさせるJazz Rockの名作に仕上がっている。
『Let Your Light Shine』はRuphusが76年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Sha Ba Wah”。いきなりリズム隊が変拍子でスリリングに暴れまわり、Synthesizerとエレピが飛び交う。するとGudny Aspaasの天空を駈けぬけていくScatが炸裂。透明感を感じさせつつ力強く伸びやかなScatは最高に気持ち良い。Kjell Larsenのギター・ソロ、Håkon GrafのSynthesizerソロと続き、Strings Ensembleとエレピが生み出す幻想的な空間の中をGudnyのFalsettoをまじえたScatが鮮やかに駈けぬけていく。
“Nordlys”はTerje RypdalがSynthesizerを弾く北欧の寒々とした風景が思い浮かぶ2分足らずの抒情的なインスト曲。吹雪を思わせるSyntheが雰囲気を出している。
さり気なく変拍子を取り入れた“Corner”はエレピとピアノのEnsembleが優美でMellowなインスト曲。唸りを上げるギター・ソロもイイ感じ。
“Second Corner”はドラムが疾走し、SynthesizerがWeather Reportのような魔法をかけると、ギターがむせび泣く。ベースが激カッコよくソロをとる中、幻想的なSynthesizerソロが被さっていく。スピード感あふれる勢いに満ちたインスト曲。
タイトル曲“Let Your Light Shine”はSpacyで幻想的なSynthesizerで始まりGudnyの透明感のある伸びやかなVocalがFrola Purimを思わせる。Synthesizerソロもイイ感じ。
MysteriousなギターのArpeggioがベースと絶妙のEnsembleを奏でるインスト曲“Grasse”。
高揚感に満ち溢れたGudny AspaasのScatが最高な“Brain Boogie”。Funkyなリズム隊にSpacyなSynthesizerが鳴り響く中、ギターが唸りを上げ、エレピがCoolでFunkyなフレーズを繰り出す。GudnyのScatもビシバシと心地良いツボ突きまくり。
(Hit-C Fiore)