Visions Of Love/Earl Zero With The Soul Syndicat | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  Earl ZeroことEarl Anthony JohnsonKingstonGreenwich Town地区生まれのReggae Singer/Songwriter。Jamaicaで70年代に活動していたZeroは70年代末Northern Californiaに移住してしまったが、音楽活動を停止してはいなかったようで2000年代以降もアルバムを数枚リリースしている。Soul SyndicateのギタリストEarl "Chinna" Smithと幼馴染だったことから一緒にRush-ItというGroupを結成している。Chinnaの父親と名付け親がSound Systemの所有者だったというから、そういう意味では音楽的に恵まれた環境であったのだろう。当時Greenwich Townでは大半の人々が漁業で生計を営んでいたが一方でSound Systemも、この地で盛んとなり発展していったのである。Chinnaの父の方のSound SystemはBunny Leeが手掛けていたこともあってか、Rush-ItはLeeのもとで録音をするようになる。その時に同じEarlという名前のChinnaと区別するためにEarl Anthony JohnsonはEarl Zeroという芸名を名乗るようになったという。Zeroの書いた曲“None Shall Escape the Judgement”はリリースされることはなかったが、Johnny Clarkeが歌って74年にヒットした。Eral Zeroとして最初の成功は75年にリリースされたJah Wally Starsとの7", Single“Righteous Works”であった。翌76年にはJah BibleことErrol 'Don' MaisRoots TraditionにSingle“Home Sweet Home”、“I No Lie”の録音を残している。Tommy CowanArabからは“Please Officer”や“City of the Weak Heart”をリリース、またBertram BrownFreedom Soundsからは“Get Happy

”をリリースしている。この実り多き70年代の作品は本作にEarl Zero With The Soul Syndicate名義で収録されている。Earl "Chinna" Smithは勿論、Carlton "Santa" DavisGeorge "Fully" FullwoodRichard "Jamaka" JohnsonEnroy GrantArnold "Willie" BrackenridgeのSoul Syndicateの面々にAugustus Pabloとくれば演奏は文句なしである。

 

 『Visions Of Love』はEarl Zero With The Soul Syndicate名義で79年にリリースされたアルバム。

アルバム1曲目は“Home Sweet Home”。Minor Keyの泣きのChord進行ゆったりとしたTempoにのってZeroが語りかけるように歌い上げる。Augustus PabloPianicaの響きが詩情豊かに描き出す音世界が素晴らしい。

Shackles And Chains”もMinor Keyで哀感漂うZeroのVocalが切々と歌い上げる。Earl "Chinna" Smithのバッキングが渋い。

タイトル曲“Visions Of Love”もイントロのChinnaのギターがイイ感じで、Horn隊女性Chorus隊と共に心地良い仕上がり極楽気分

Please Officer”はドッシリ腰を落としたタメのきいたリズム隊にのって歌うZeroのVocalが沁みますなあ。Chinnaの泣きのギター・ソロも個人的にはツボである。

Righteous Works”はイントロのギターから惹きこまれてしまう。Chinnaの歪ませたギターOrganの響きがご機嫌だ。

I No Lie”は大らかなノリが楽しいナンバー。ChinnaのSlide GuitarやZeroの歌いっぷりも最高。

Only Jah Love”もCuteな女性Chorusを従えて、ゆったりマッタリ多幸感に満ちたナンバー。最高ですなあ。

City Of The Wicked”はタメの効いたリズム隊にのってZeroの説得力のあるVocalも真骨頂が発揮されている。

Get Happy”もまたZeroのもうひとつの側面であるピーハツで極楽気分な作品。個人的にはこの路線は大好物。

アルバム最後を飾るのは上述の“None Shall Escape The Judgement”。Horn隊が切り込む激カッコイイこの曲もChinnaのギターが最高である。

(Hit-C Fiore)