Blues For Herb/Emily Remler | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

Blues For Herb/Emily Remler

 Emily Remlerのギターを聴くたびに、その類まれなるImaginative情感豊かなソロに魅了されていく。上手いだけのJazzz Guitaristだったら、いくらでも世の中に存在する。ピック指を巧みに使い分けながら彼女らしい独自のMelodyやHarmonyを追求していこうとするEmilyのStoicな姿勢には感服する。BassのSteve BaileyもCanada生まれのDrummer Terry Clarkeもかなりのテクニシャンだが、この映像をみると見事にEmilyをひきたて、サポートしている。Emily RemlerはギタリストHerb Ellisに師事していて、Concordからデビューできたのも彼の力によるところは大きかったのかもしれないが、徐々に彼女本来の独創性が発揮されていったところをみると、ある意味で、遅かれ早かれ、その才能を見逃されることはなかっただろう。と同時にPat Martinoにも通じる旋律の組み立て方が顔を出し始めてくる。この曲は師であるHerb Ellisに捧げられているが、おそらくEmilyが最も影響を受けたWes MontgomeryやMartinoを彼女なりに研究し試行錯誤しただろうところがみられる。32歳の若さで人生の幕を閉じたEmilyであるが、その輝くような才能は、まだまだ素晴らしい可能性を秘めていただけに残念でならない。と同時に彼女が残してくれた素晴らしい作品は永遠に自分の中で美しく力強い光を放ち続けるであろう。

 

Blues For Herb/Emily Remler

 “Blues For Herb”はEmily Remler88年Concordからリリースしたアルバム『East To Wes』に収録されている。ピアノにHank Jones、ベースにはBuster Williams、そしてドラムスはMarvin "Smitty" Smithという布陣。タイトル通りWes Montgomeryに捧げられたアルバム。Clifford BrownTad DameronClaude Thornhillの楽曲に加えてBlossom Dearieのあの名曲“Sweet Georgie Fame”を取り上げているのが興味深い。当時M-Base周辺やDave Holland Quintetで叩いていたMarvin "Smitty" Smithがドラムスということで、あらぬ期待をせずに、ここではEmilyの女性らしい優美で繊細な感性を楽しむアルバムである。時にBossaな雰囲気を感じさせてくれたり、テクニックだけではない豊かな音楽性が感じられる。デビュー以来、かなりのスピードで走り続けてきたEmilyのそういう一面もまた、自分にとっては楽しめるアルバムである。

(Hit-C Fiore)