しかし、なんつうジャケットなんだろうか、これは。まあ自分にとっては、結構贔屓にしているフランスはParis生まれのHammond Organ奏者/Multi-Instrumentalist/Composer/VocalistのEddy Louissであるからして、問答無用で見かけたらゲットなわけである。しかし、仮にお顔に自信があるとしても、このアングルはないだろうし、まあ、わかってやってるわけであろうが、Louissを知らないJazz Fanは、普通に購買意欲はわかないジャケットではあるが。Louissといえば、男子Figure SkatingでLouissの87年リリースのアルバム『Sang Mêlé』に収録されていた“Blues for Klook”を採用する選手が結構いて、そっち方面のファンの方にはそれなりに名前が知られているのかもしれない。Jean-Luc PontyやDaniel Humair、René Thomas、Niels-Henning Ørsted Pedersen、John Surmanといった欧州の名手たちと素晴らしい演奏を残してきたEddy Louiss。以前ご紹介したLouissのアルバムは『Orgue Vol.2』であったが、そちらは本作と同じメンツの続編ということで、元々はこちらが最初にリリースされている。Eddy LouissのHammond、ドラムスにKenny Clarke、ギターに名手Jimmy Gourley、Guy Pedersenが2曲のみベースを弾いている。どちらも同時期にStudio Fremontel-Jacques Denjeanで録音されていたものを2枚に分けてリリースしたものらしい。自分が手に入れたのは順番が逆だったが、どちらも甲乙つけがたい欧州Hammond Organ Jazzの名盤である。それにしてもJimmy Gourleyのギターは何回聴いても素晴らしい。LouissのHammondも勿論ご機嫌なのはいうまでもないが、50年代にParisに渡り、それ以来欧州を中心に活動し続けてきた名ギタリストは優美で洗練された技巧を如何なく披露してLouissのCoolに燃え上がるプレイとの相性も抜群である。
『Orgue』はEddy Louissが71年にAmerica Recordsからリリースしたアルバム。
アルバム1発目はStandard“Night In Tunisia”で始まるが、やっぱりEddy LouissのキレキレのHammond Organは絶品でBop魂溢れるKenny Clarkeのドラミングにのって冴えまくり。Jimmy Gourleyの痒いところに手が届くバッキングも素晴らしい。
アルバムで唯一のLouissのオリジナル“Blusinef”。タイトル通りコテコテのBluesなわけであるが、ここでもLouissらしいEspritの利いたプレイは勿論すばらしいが、負けじと洒落た味わいで応戦するGourleyのギターがご機嫌である。
Dizzy Gillespieの“Tin Tin Deo”はいきなり激カッコイイClarkeのFillで始まり、16ビートのRhythmにのってHard-BoiledにHammondを弾き倒すLouissがイイ感じ。GourleyのCoolだけど熱さを秘めたプレイも冴えまくりである。
“Autumn Leaves”ではBluesyで機知に富んだLouissの真骨頂が発揮されている。そして勿論歌いまくるGourleyのギターも味わい深い。Octave奏法をまじえながら優美なラインを繰り出すところが良い。Clarkeもドラム・ソロで奮闘し、盛り上がりをみせている。
アルバム最後を飾るのは“Four And Six”と“Summertime”のMedley。Wes Montgomery作の前者ではClarkeのライド・シンバルで始まり、Gourleyの鮮やかな弾きっぷりが楽しめる。淀みなく流れるようなフレーズは優美である。後者ではLouissのHammondを思う存分楽しめる。Coolに始まり、後半にいくにしたがって徐々に燃え上がっていくような演奏が素晴らしい。
(Hit-C Fiore)